ノースシティ
ノースシティへの道は思っていたより険しかった。
途中ゴブリンやスライムの大群に遭って、学たちは消耗した。
「結構遠いですね」
あやのが言うとハナが言った。
「やっぱりドラゴンに変化した方が楽じゃ無いですか?」
「いや、今は余計な危険を増やしたくない」
サウスシティからノースシティへの道のりは時々傭兵らしき人とすれ違う程度だった。
学たちは野営をしながらノースシティに向かう。
そして、とうとうノースシティに到着した。
「お前たちは何者だ」
門兵に聞かれた。
「学騎士団よ」
そう言って、翼はゴールドメダルを差し出した。
「そうか、入ってよし」
門兵がそう言うと門が開かれた。
学たちはまず冒険者の館を探した。
「ここじゃ無いですか?」
あやのの指さす方向に、確かに看板が見える。
中に入ると、冒険者があふれかえっていた。
「はじめまして、あなた方は?」
「学騎士団です」
「そのバッチはセントラルシティの物ですね」
物腰の柔らかい30代くらいの男性が店主らしい。
「今は、システィーナ様がご病気のため、戦争は中止しているんですよ」
「システィーナ様に合うにはどうすれば良いんですか?」
学が訊ねると店主は首をひねった。
「どういったご用件で?」
「異世界への扉を開いてほしいんです」
「異世界ですか」
店主は何か頷きながら、建物の奥へと進んでいった。
「異世界への扉はノースアイランドにあります」
「そうなんですか」
「ですが、今は魔物たちの巣と化しています」
店主の言葉に学は頷いた。
「ノースアイランドに閉じ込めていた魔物が封印を破って目覚めてしまったのです」
「だから、世界中で魔物が増えていたんですね」
「はい」
学は考えながら、ほかのことを聞くことにした。
「システィーナ様の容態はいかがなんですか?」
「たいしたことは無いのですが、日頃のお疲れもたたって寝込んでいる状況のようです」
「しばらく滞在しても大丈夫ですか」
「はい、宿屋ならいくらでもありますよ」
学たちはしばらくノースシティに滞在することにした。




