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イザック
「それじゃ、いきますよ」
ハナはそう言うとドラゴンに変化した。
ハナの背に乗れば、セントラルパークまでは一時間でいける。
「きもちいいね、学」
翼が抱きついてきた。ライトブラウンのショートヘアが鼻先をくすぐる。
「ちょっとこわいです、学さん」
あやのも抱きついてきた。黒髪のロングヘアーがなびいている。
「あれ?下を歩いているのイザックさんじゃありませんか?」
ハナはそう言うと道の端に降り、変化を解いてから人の形に変化した。
「イザックさん?」
学が声をかけるとイザックは驚いて声を上げた。
「学さんじゃないですか」
よくみるとイザックは大きな本を持っていた。
「それ、何ですか?」
「魔道書だよ。ハンナの依頼で、聖女フローレンスに届けに行くんだ」
イザックはそう言って、大事そうに魔道書を抱きしめた。
「最近は盗賊もいないし、魔物も姿を消したし、僕にもできるだろうって」
イザックの胸元を見ると、銅色のバッジが付いていた。
「そのバッジは何ですか?」
学が訊ねると、イザックは得意げに言った。
「冒険者の館で冒険者登録をしたんだ。まだ駆け出しだけどね」
どうやら、冒険者の証らしい。
「それじゃ、いそぐから」
そういうとイザックは手を振って走り出した。




