始まりの村
始まりの町に戻ると学たちは、聖女フローレンスのもとへと向かった。
「こんにちは、学です」
聖女フローレンスは町長の家にいた。
「ちょうどおまえさんの話をしていた所だよ」
町長はビールではなくお茶を飲みながら学ぶに話しかけた。
「この国のことをちゃんと話しておいた方が良いかと思ってな」
町長は学たちをソファーに座らせると、話を始めた。
「まず、この国には冒険者ポイントというものがあり、冒険者ランクが判断される」
「はい」
「私たちは今どれくらいなの?」
翼が訊くと町長は答えた。
「スライムを倒したのと、ドラゴンの卵を取得したんだろ?それで5000ポイントくらいだから、冒険者レベルとしては並よりちょっと上くらいだろう」
「ノースシティについて教えてほしい」
学がそう言うと聖女フローレンスが答えた。
「ノースシティは文明が進んだ街じゃ。神殿があり、そこからはどこへでも行けるということじゃ。ワシは若い頃住んでおったが、戦争が絶えなく逃げ出して来たのじゃ」
「戦争というと何処と争っていたんですか?」
「サウスシティじゃ」
「サウスシティ?」
「この村とノースシティの間にある街じゃ。サウスシティは荒くれ者のたまり場になっておった」
「僕たちが元の世界に戻るにはどうすれば良いんですか?」
「ノースシティの女帝に頼めばあるいは帰れるかもしれん」
「ノースシティの女帝ですか?」
「ああ、その名はシスティーナという」
「ノースシティに行くにはどのくらいの冒険者レベルがいるの?」
あやのが訊くと町長が答えた。
「そうだな、ハンナのビストロで依頼をあと二つ三つこなせば上級者レベルになれるだろう、お前たちなら」
「まずは冒険者の館で登録しないと、ポイントが有効化しないぞ」
町長はそう言ってお茶をゴクリと飲み干した。
「冒険者の館?」
「ハンナのビストロのすぐ隣だ」
「ほかに訊きたいことはないか?」
町長は学に訊ねた。
「いいえ、今のところはありません」
学はそう言うと立ち上がった。
「セントラルパークにもどろう、ハナ、精神力は大丈夫か?」
「はい、またドラゴンに変化して飛んでいくんですね」
「ドラゴンに変化できるのか?」
聖女フローレンスは驚いた表情でハナを見つめた。
「はい、みんなを乗せて飛んでいけば一時間くらいでセントラルシティにつけます」
ハナは得意げに聖女フローレンスに答えた。