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異変
「よし、町に着いたぜ」
町長は上機嫌で言った。
しかし、迎えに来る村人がいなかった。
町は静かだった。静かすぎるほどに。
耳を澄ませると鳴き声が聞こえた。
「おばあちゃん連れて行かれちゃったよ、西の洞窟に」
西の洞窟?学は首をかしげた。
確かあの老婆は町から出てはいけないといっていたはずだ。
「どうした、学?」
町長の問いかけに学が答える。
「町長、町の様子がおかしいです」
町はひっそりと静まりかえっている。家の明かりもまばらだ。
「あやの、翼、ハナ、気を付けろ」
「はい」
あやのと翼、ハナは身の回りを確認しながら馬車を降りた。
「あ、勇者様!」
警備兵を買って出ていた若者が駆け寄ってくる。
「申し訳ありません。老婆様を連れ去られてしまいました」




