初めてのヒッチハイク
詰んだ。
ここで、次の日の朝まで待たなきゃいけない。
言葉が通じないこと、今まで行ったことのない
何も知らない場所で、本当に頼れる親友や家族がいないことはより恐怖を駆り立てる。
それよりも怖いのが...
携帯が使えないこと。
日本でも携帯を忘れただけでちょっとした緊張や焦燥感があるはず
海外という舞台ならそれが10倍にも20倍にもなる。
外はすっかり暗くなり、冷たい夜風が森をざわめかせるが、心の臓がバクバクと早いテンポで体中へ血液を巡らせた
te pukeに行く手段も
putaruruに帰る方法もない。
絶望と仲良くしている最中、
ガソリンスタンドのおばさんが声をかける
「are you going to te puke right? 」
(テプーケに行くよね?)
テプーケという言葉が聞こえたので
脱力ながら「yes」と答えた。
僕の答えを聞いた後
ガソリンスタンドのおばさんがお店の中で
いろんな人に声をかけてまわっている
まさか...!
僕のためにヒッチハイクをしてくれる人を探している...?
おばさんが話してる横に行き、
聞き取れないながらも話してるのを聞く。
...
「We won’t be te puke」
(テプーケに行かないよ)
背の高い目のぱっちりした男性は答える
Won’t は will not の短縮したやつで beってなんや?
とりあえず、will not te puke
Not だから行かないのか!
重要なところはなんとなく理解できた気がする
おばさんよりもわかりやすいアクセント
人によって、何を話しているか
聞き取りやすい聞き取りにくいというのがある。
とりあえず、やっぱり!
おばさんは乗せてくれる人を探していたのだ!
本日、2人目の神さま
前回の神さまは違う種の神さまに近かった..
今回は仏に近い神さまだ...!
おばさんは何人もの人に、僕のために
声をかけてくれて胸の奥がじんわりとした。
僕なんかに優しくしてもなんも与えられない
見返りをあげられない
なのになんでこんなに優しくしてくれるの
今回の事で本当の優しさの形はこういう形なのかなって
その優しさをもらえる側は
心の奥底の方まで暖かさを感じることが出来るって
感動して、目元にまで暖かさを感じた。
これを幸せ。とも呼ぶ事が出来るのかな。
ガソリンスタンドのおばさんは次は...
夫婦?と話している
数分間ほど話して僕にこう言ってくれた。
「they will be te puke 」(テプーケにいくよ)
夫婦?はテプーケに行くらしい!
最初に、車に乗りなよと言ってくれた人は
見かけから完全に怪しいやつらだった
今回は..
優しそうなアジア顔の夫婦?
いや夫婦だ
彼らは、レンタカーを借りてニュージーに観光に来ているらしく
te puke近くの都市、Tauranga
そこには観光名所のキウイの大きな看板があって、
それを見てみたいからte pukeに寄れるよ
僕を車に乗せてあげられるよ、とのことだ。
同じアジアの人だし、もう断らない他ない
僕は、夫婦に「please」とお願いした。
ほんとうに本当に今回のバスハイク失敗騒動で、
人の優しさに本当に触れられる。
この暖かい気持ちを大切にする
忘れないニュージーランドの想い出に
そしていつか、誰かにこの優しさのバトンを渡せたら..
ヒッチハイクさせてくれる夫は
車の中を綺麗にしたいから少し待ってて、
と言って車へ向かい、
僕はヒッチハイクさせてくれるお礼に
フラットホワイトのコーヒーを求めレジへ向かう。




