仕事
いつか私をお世話してくれた人達にお礼ができるような大人になれると思ってた。
でも、私の勝手な行動のせいでお礼どころかもっと迷惑を掛けて、見捨てられた。
ある日私は病弱なママのために病気に効く魔獣の血を街の外にいる小さな魔獣を倒そうと、夜に街の塀を乗り越えた。
するとこには大量の魔獣がいた。
後はもう誰でも予想がつく、魔獣に囲まれ何度も遊ぶ様に致命傷にならないほどの傷を付けられた、そして弱った私を仕留めるように顔に長い爪で深い傷をつけられた。
そして目が見えなくなった、その結果もっとママに迷惑をかけることになってしまった。
私は心の中で神様にお願いをした、ママにもう迷惑を掛けないように一人でも生きていける力をくださいって。
そしたら、ある日の朝目覚めた時私の枕元で人が死んでいた。
その人は毎日私を看病してくれていたお医者さんだった、最初村の人は私やママを狙った時にお医者さんが居たから殺したんだろうって言う話になって何人か街の人が護衛に来てくれたけどその人たちもみんな死んだ。
そんなことを何回も繰り返しているうちに私かママが殺したんじゃないかって街の人が言い出して。
私は違うって言ったのにみんな、私が目が見えなくなった時に悪魔に魂を売ったとかわけのわからないことばかり言って信じてくれなかった。
街の人は一晩だけ洞窟に閉じ込めて死んでなかった方をそのまま洞窟に閉じ込めるっていう話になって私とママは洞窟に閉じ込められた、その時にママは出ていいって言うまでこの洞窟から絶対に出ちゃダメって言ってた、だからずっと洞窟に居続けた。
そうしたら、ママが苦しみ始めて、喋んなくなった。
寝ちゃったのかな。
ママは寝ちゃったけど私はママを守らないと悪い人から守るんだママを。
それからずっと…ずっと…待ち続けた。
けど、誰も向かえにかなかった…ママは起き上がりもしない、疲れてるんだよね。
でも待ち続けた。
ママ、私…偉い?
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「お前…」
ストケシアはそんな悲しい話を笑いながら話している。
「だからね、早く戻らないと、ママに怒られちゃう…」
「なあ、それって…」
それってお前の母さん死んでるんじゃないのか、と聞こうとしてやめた。
そんなこと今のこいつに聞いても大丈夫なのか?
今こいつは現実を受け止められずに自分の妄想だけで創り上げた世界を見ている、母親が死んだこと自分が死なないこと。
そのことを今こいつに伝えたらどうなるんだ、こいつは現実を受け止めきれるのか。
無理に決まってる、じゃあどうすればいい、ここで何も言わずに帰るか?この少女のすべてを無視して帰るか?
俺には手に負えない帰ろう、俺には無理なんだ、俺には。
「それに、ママに早く伝えたいんだ、友達…が、できたって…」
俺、は…
「じゃ、じゃあ俺今時間ないからまた今度お前の母さんに挨拶させてくれ、な」
出来るだけ優しく、出来るだけ穏やかな口調で、なだめるように。
「う、うん…!じゃあまた、来てね…」
俺の声を聞いて、ストケシアの声はとても弾んでいた。
俺はここに通いつめることにした、何度もここに来てゆっくりと自分の母親の死について受け止めさせていけばいい。
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シウスは協会で仕事が発行されるまで机に頬杖をつき手持ちにある銀貨五枚を見つめながらこれからのことについて考える。
「銀貨五枚…パン一切れなら、いける…か?」
大きくため息をつくと左の方から声がした。
「なあ、お前なんで銀貨見てため息ついてんだ?」
声をかけてきたのは先程から頬杖をついている俺をじっと見つめていた男だった。
その男は筋肉質で背中には大剣を背負っている。
「いや、昨日稼げた金がこれだけだからこれから俺どうやって生きていこうかなって…」
俺がそう言うと男はその大きな手で俺の背中をバンバンと叩いてきた。
「おお、おお、仕事してないのか!」
「仕事してないって…」
こいつうるさいヤツだなあ。
「じゃあよお、俺たちのクエスト手伝ってくれよ!」
「え、それって…」
男は俺の肩を勢いよく組むと俺に返事の余地を与えずにまた大声で叫ぶ。
「おーい!こいつ手伝ってくれるってよお!」
「どうせまた人の話聞かずに勝手に決めたんでしょ」
「この、バカが…」
男が叫ぶと文句を言いながら二人の男女がこちらへ向かってくる。
「っせえんだよ!」
すると男二人が口喧嘩を初めてしまった。
この人たちが何をしたいのかがわからなくなってきた頃に呆れた顔で男達の喧嘩を見ていた女性が俺に気づき話しかけてきた。
「ねえ君さほんとにこんな奴らの仕事受けちゃっていいの?」
殴り合いの喧嘩をしている男達を指さしながら女の人はそう聞いてきた。
仕事って言っても魔獣の討伐手伝えとかだろ、そのくらいなら別にいいか。
「いいよ」
俺が短くそう答えた時には男達は喧嘩をやめていた、俺の方を見て声のでかい男はまたでかい声で叫んだ。
「そうか!じゃあよろしくな、荷物運び!」
「荷物…」
仕事内容がしょうもない。