未体験なこと
前回の作品のファンタジーの続きの話です読んでない方はそちらもよろしくお願いします。
ユノン·イルマこれは俺が好きな人の名前。
俺はこの人にいろんなことを教えてもらい、生きる意味をもらった。
この人に一生ついていき尽くすつもりだった。
だがあの人はどこかへ連れ去られた、あのフードの男に。
あの男からユノンを連れ戻す、そして、この右手の傷の復讐をアイツに!
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「どこだここ」
深い森の中、俺は迷っていた。
「街の場所くらいユノンに教えて貰っとけば良かったな…」
約2日、師匠であり俺の好きな人はある男に連れ去られた。
俺はどこに行ったかもわからない人を探すために村から出てきてここまで来た。
まあ、あのフードの男が去ったあと自力で村にもどったが村は炎に包まれていて俺の過ごしていた場所は無くなっていたんだが。
二日前から何も食ってない。
早く街を見つけて何か食えるものを。
「あ…あった」
しばらく歩いているとキラキラと輝く灯りの集りを見つけた、街だ。
とりあえずあそこで宿に泊まるか。
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「銀貨十枚になります」
「えっ?」
盲点だった、俺には今金がない、金がないということは何も買えないということ、何も買えないというのは腹を満たせるものがないということ。
「餓死寸前だっていうのに…」
飲まず食わずで三日目…マジか
とりあえず今日は地面で眠ることにする、明日は仕事でも探すか。
仕事やだなあ。
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「仕事は無いですね」
「えっ?」
仕事ないって、そりゃそうだ、七歳だもん生まれて七年だもん七歳に任せられる仕事なんてないよ。
はあ、昨日もこんなことしたな…また野宿か。
「あっちょっと待ってください」
「え?」
お姉さんは手に紙を持っていた。
「ここに行ってみてください、仕事が見つかるかもしれませんよ」
仕事!と思い、紙に飛びつく。
「冒険者協会?」
とりあえず紙に書いてある場所に行ってみることにした。
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「ここが冒険者協会か」
協会は木材で出来ており屋根の上には大きな剣が建っている。
協会と名乗るからには神聖で綺麗なものかと思っていたが想像と大幅に違っていた。
「とりあえず入るか」
大きな扉を開けるとその先には協会と名のつくものには無縁そうなガタイのいい人達ばかりが集まっていた。
「あ?」
椅子に座って大笑いしていたガタイのいい男達は一斉に黙ってこちらを向いた。
人の視線が怖い、あんまり見ないようにしよう。
カウンターと思われる場所に早歩きで向かいお姉さんから貰った紙を見せる。
「ここだったら仕事が見つかるって聞いたんですけど」
「はい、ありますよ」
カウンターの女性はニコッと微笑む。
良かった、仕事が見つからなかったらどうしようかと思った。
「では協会員カードをご提示頂けますでしょうか?」
なんだそれ。
「え?ごめんなさい協会員カードって言うの持ってないです…」
「左様でございますか、では協会員カードを発行ということで宜しいでしょうか?」
「あ、お願いします」
「では、銀貨五十枚になります」
「えっ?」
くっそまたか、カード作るのにも金がいるのか、どんなもんにでも金かあ、 まあそりゃそうだよな。
とりあえず協会員カードがなくってもできる仕事をもらったけど…仕事の報酬が銀貨五枚とか、パンも買えねえ。
しかも仕事の内容が街で噂になってる洞窟のおばけ退治…
おばけ苦手なんだけどなあ、はあ、でも仕事だしやるしかないか。