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友達から  作者: 咲良
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球技大会2

 今日は5限目にロングホームルームの時間がとられ、球技大会のメンバー決めをすることになっている。この時間で終わらなければ自分たちで時間を作って決めなければならないため、この時間で決めてしまいたいものだ。


 時刻は昼休み、いつものように昼食を食終えた後、僕と和也、北条さん、木之元さんの4人で話をしていた。


 「ねえ、宇宙人って本当にいると思う?」


 「どうしたの?急にそんなこと聞いて」


 「いいじゃない、たまには夢のある話をしても。それで、雅はどう思ってるの?」


 「いてもおかしくはないと思うわ。でもそれが人と同じように知性を持っているとは限らないから、何とも言えないわね」


 「ああなるほど、生物はいる可能性はあるけれども、それが人と呼べるのかわからないもんね」


 「UFOだって私は否定はしないわ。だって、宇宙人がいたとして、彼らが私たちみたいに物を作れてもおかしくないもの」


 「へえ、北条はそういう考えなんだな。でも俺はいないと思うんだよ」


 「和也はそういう考えなんだ」


 「ただ、いないことを証明することはできない」


 「ああ、悪魔の証明ってやつだね」


 「そうだ。だからあえて言うならいない可能性が高いってことだな」


 「えっ、悪魔の証明って何?雅は知ってる?」


 「まあね。簡単に言うと、ない、いないことを証明することはとても難しいってことね。つまり可能性を全て否定しなければならないの。そうね、例えば地球上に人間以外に知性を持ってる生物はいると思う?」


 「えっ、それはいないでしょ?」


 「そうだと思う根拠を話しなさい」


 「えっと、それは特にないけど」

 

 「つまりは、いないことの証明になっていないということよ。いる可能性があるということになるわね」


 「なるほどねー、そういうことか」


 「これを宇宙規模で行わなければならないのよ、大変よね」


 話し終えるとちょうどチャイムが鳴り、昼休みが終わった。


昼休みが終わってすぐの授業は眠くなるのは当たり前だろう。その証拠に授業が始まってまだ20分経っていないが、ちらほらと眠っている生徒が見受けられる。なぜ眠くなるのかは諸説あるが、原因は何でもいい。どうしたって眠くなるのだから。その眠気に逆らって起きていられるものが多数であるが、その中で授業に集中しているものは少数であろう、僕だって授業中気を抜いてるほうが長いし、そんなに集中力が高いほうじゃない。しかし、ちゃんと板書さえしてればとりあえずテストは乗り切れるのだ。成績は悪いわけではない。ただし、勉強してもあまり変わらないのだ。何度か勉強したことがあったが、なぜか勉強したところしか頭から出てこない。または、問題を見た瞬間答えが頭から消え去るのだ。だったら、テスト範囲を全てを頭に叩き込めばいいのだが、そんなことはできっこない。なので、テスト範囲をある程度うろ覚えでこういうのやったな程度に覚えるのが1番よいとの考えに至った。そのため僕は勉強してもしなくても、成績がほとんど変わらないのだ。


 「勉強しても成績いいなんて羨ましい」なんて言われることがあったが、僕はそうは思わない。勉強しても無駄だといわれているみたいで嫌なのだ。僕は昔からなんでもそうなのだ。勉強だろうがスポーツだろうが人並み以上にできるのだが、どうやってもそれ以上にはならないのだ。スポーツでは、壁を超えるなどと言われているが、僕はおそらく人より壁の前に行くのが早いのだろう。ただその壁が人よりも高いのだ。ならば何かに熱中すればいいのだが、僕はその何かを見つけられていない。スポーツは今まで色々なものに手を出してきたが、どれもしっくりこなかった。僕にとってのその何かを見つけられる日が来るのだろうか。


 そんなことを考えていたらいつのまにか授業が終わってしまった。

 さて、次はロングホームルームの時間だ。僕は木之元さんのところへ行った。だが、木之元さんはまだ眠っていたため、起こすことにした。


 「木之元さん、起きて。次は球技大会のメンバーを決めないといけないから」


 すると木之元さんは「ううん」と、目をこすりながら、顔を上げた。


 「あれ、保科君、もう授業終わったの?」


 「うん、ほら、球技大会のメンバー決めないと」


 そろそろチャイムが鳴りそうなので、僕と木之元さんは黒板のほうに移動すると、ちょうどチャイムが鳴ったので、教室を見渡して、全員がそろっているのを確認し、メンバー決めを始めた。


 「えーと、それでは球技大会のメンバーを決めたいと思います。競技はみんなが知っていると思いますが、男子はソフトボールとバスケ、女子はミニサッカーとバレーです。うちのクラスは男子女子ともに20人なので、男子はソフトボール12人、バスケ8人のメンバーを決めます。女子は10人10人で分けるか、11人、9人で分けるかはそのとき考えるとして……」


 ここで僕は木之元さんを見た。すると木之元さんは「どうしたの?」と首をかしげた。


 「女子は女子で、男子は男子で決めちゃうかこのままこっちで進行していくのとどっちがいいかな?」


 「このまま進行していっていいんじゃない?」

 

 「うんわかった。それじゃあ男子のほうから決めたいと思います。やりたい競技のほうに手を挙げてください。ただしソフトボールには野球部が、バスケのほうにもバスケ部は出られないので、野球部の人はバスケ、バスケ部の人はソフトボールのほうに手を挙げてください。」

 

 僕がこういうと、おそらく野球部や、バスケ部の人、女子のほうでもバレー部の人が残念そうにしていた。だがこれは仕方がないだろう。その部活の人が出られるのであれば、その部活の人が多いクラスが一方的に勝ってしまう。ある程度、クラス内も静かになったので僕は話を進めた。


 「えーと、それではまず野球部の人は手を挙げてください」


 野球部の人が手を挙げるのを見て木之元さんが確認のため名前を聞きながら黒板に名前を書いていく。この後、バスケ部の人たちに手を挙げてもらい名前を書いていく。黒板に野球部、バスケ部の人の名前を書き終えたのを確認して話を進める。


 「まずはソフトボールから決めたいと思います。バスケ部の3人決まっているため、残りは9人です。では、ソフトボールに出たい人は手を挙げてください」


 すると、6人が手を挙げた。6人全員の名前を書き終え、次に進む。


 「では、次にバスケを決めたいと思います。野球部の3人が決まっているため、残りは5人です。では、バスケに出たい人は手を挙げてください」


 手を挙げたのは5人だった。つまり僕を含めると3人が手を挙げなかったことになる。その中には和也も含まれていた。僕は確認を取った。


 「手を挙げなかった人はソフトボールになりますがいいでしょうか」


 2人が頷いたのを確認して、ソフトボール、バスケともに名前を書き終えた。


「先ほどと同じように女子も決めたいと思います。まずは、ミニサッカーから決めます。バレー部の人は手を挙げてください」


 女子4人が手を挙げ、その人たちの名前を書いていく。


 「それでは、ミニサッカーに出たい人は手を挙げてください」


 女子6人が手を挙げる。その人たちの名前を書き終え、次に進む。


 「えーと、ミニサッカーのほうが10人だったのですが、ほかの人はバレーということでいいですか?」


 特に何もなかったので、名前を確認しながら、メンバー票に書いていく。全員の名前を書き終え、最後に確認を取る。


 「これで、各競技のメンバーが決まりました。自分の出る競技を忘れた人や違う競技に出たい人はいませんか?」


 特に何もないことを確認して、


 「それでは、これで決まりました。試合に出る人は各競技で話し合ってください。これで終わります」


 



 「おつかれさま」


 僕が席に着くと北条さんが話しかけてきた。


 「うん、ありがとう。北条さんは手を上げないでバレーだったけどよかったの?」


 「ええ、別に私はどっちでもよかったから」


 「僕もどっちに出てもよかったけど、どっちに出るにしても楽しければいいかな」


 「ええ、私も楽しければいいけど、結果はどうなの?別に優勝しても特に何もないけど、勝つに越したことはないんじゃないの?」


 「勝てればいいなとは思うけど、僕はちょっと勝ちにこだわるのは苦手なんだよね」


 「あら、そうなの。スポーツは結果がつくものだからその結果にこだわってもいいじゃない。って言っても、私もあまり勝ちにこだわるのは好きじゃないのよね」


「そうなんだ。じゃあ楽しんだもの勝ちってことで」


 「そうね」


 僕と北条さんは笑いあった。


 「そうだ。北条さんって木之元さんの趣味について何か知ってない?」

 

 「えっ、さくらの趣味のこと知ってるの?」


 「いや、この前話の流れで趣味に時間を割きたいって言ってたから。そんなに好きなことがあるのが羨ましいから、どんなものなのか気になって」


 「そう、でもそういうのは本人に聞かなきゃだめよ。私が何か言ったらさくらからいろいろ言われるもの」


 「そうなんだけど、木之元さん、聞こうとしたら話を濁すんだもん。そうなったら余計に気にならない?」


 「それならますます私からじゃなく、さくらから聞きなさい。でも、そろそろだれか、さくらの趣味を知っている友達が私以外にもいてもいいんじゃないかしら」


 「えっ、木之元さん、友達いっぱいいるのに趣味について知ってる人いないの?」


 「ええ、さくら、休みの日に遊ぶのは私くらいだもの」


 「そうなんだ、意外だなぁ。木之元さん、だれとでも仲良くしてるから」


 「そうなんだけど、さくら、なかなか人に気を許さないのよ。でも、なんでかしらね、保科君と椎名君には気を許しているのよね。だからいずれ話すと思うけど」


 「そっか。じゃあ待ってるのがいいね。でも、中学に上がってすぐに仲のいい友達ができてうれしいよ」


 チャイムが鳴ったため、そこで話は終わってしまった。この後、連絡事項などを聞き終え、帰宅することとなった。


 僕は北条さんに「じゃあね」といい、和也のもとへ向かった。北条さんからも「じゃあね」とかえってきた。


 「ねえ和也、結局手を挙げなかったけどよかったの?」


 「まあな、お前と一緒ならどっちでもよかったからな」


 「そうなんだ僕も和也と一緒で嬉しいよ」


 「知ってるやつがいるほうが気が楽だからな」


 「うん、そうだね」


 僕と和也は教室を出た。


 「そういえば、メンバー用紙出さなくてもいいのか?」


 「うん、期日まではまだあるし。早く出すように言われたけど、もし種目変えたい人がいたらそのほうが面倒くさいから、2,3日待ってから出すよ」


 「そうか、生徒会に迷惑かけるのも悪いからな」


 

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