球技大会1
球技大会については、そちらがメインではないです。試合などについてはその描写は難しいのでおそらく書かないと思います。
今は放課後、そして僕というと、いつもは和也と遊んだりしているのだが、今日の僕はというと木之元さんとある教室へ向かっている。その理由はというと球技大会である。気が早くないかといわれるのかもしれないが、この学校は1学期のテストが始まる前に、球技大会がある。これは早いうちにクラス全員が打ち解けあうための配慮なのだろう。
この学校の行事は、生徒会が中心に立って運営、進行をする。そして、生徒会からの連絡を正確に行うため、各クラスから男女2人ずつ委員を選ぶのだ。そして委員には僕と木之元さんが選ばれた。正直に言って木之元さんでよかった。知らない女子と一緒だったら気まずいからな。球技大会はいつも種目が決まっているらしい。事前にクラスに配布された用紙によると男子はソフトボールとバスケ、女子はミニサッカーとバレーをやるらしい。まあこれでわかるだろうが、今日は生徒会からの連絡があるのだ。というわけで、僕は木之元さんと教室へと向かっているのだ。
それはさておき、このまま黙って教室に向かうのも少し寂しいので木之元さんに話を振った。
「そう言えば、木之元さんって部活に入ってなかったんだね。体育でもすごい動いてたし、何か部活でもやってるのかと思ってたよ」
「えっと、私はそのー趣味に時間を割きたい人なの。だから部活なんかに入るよりは趣味を選ぶわね」
「そうなんだ。そんなに熱中できる趣味があるのはうらやましいよ。僕は趣味っていうより時間をつぶしてるだけだから。どんな趣味なの?今度教えてほしいな」
「ええそうね、機会があったらね。っと、ついたわね」
集合場所についたためそこで話は終わってしまった。教室に入るとまだ時間までには余裕があるにもかかわらずほとんどの生徒がそろっていた。僕たちが席に着くとまたドアが開き、
全員がそろったことでまだ時間前だが始めることとなった。
「今日はお集まりいただいてありがとうございます。私は生徒会副会長の姫宮渚です。今日は皆さんに、球技大会委員の仕事について説明したいと思います。とはいってもほとんど仕事はありません。当日までにやる仕事は、クラスでだれがどの種目に出るかを決め、それ生徒会まで持ってきてもらうことくらいです。これに関しては、例えばミニサッカーでは女子10人もしくは11人のメンバーを決め、当日にその11人の中から7人選んで試合に出す形になります。ソフトボールは男子12人、バレーは女子9人もしくは10人、バスケは男子8人を選んでください。ただし、部活をやっている生徒はその競技に出ることはできません。たとえばソフトボールには野球部が出られません。ほかも同じです。
後は、当日になってほかの種目の人を試合に出すことは基本的にはできません。試合の人数に満たない場合のみ許可します。用紙にはクラス全員の名前を書いてください。ただ、どの学年も男女比が同じでないので基本的に人数は先ほど説明したのをもとにクラスで話し合ってください。ここまではよろしいでしょうか?」
と彼女は話を切るが、特に質問がなかったため、話を進めた。
「メンバー用紙は説明が終わり次第皆さんに渡します。メンバーを決め終わったら、用紙を生徒会に提出してください。その時にくじを引いてもらいます。これは対戦相手を決めてもらうためのものです。これまでが皆さんがこれから行う仕事です。できるだけ早くやっていただくとありがたいです。球技大会は2週間後なので、来週までには用紙を持ってきてください。質問等ありましたら挙手をお願いします」
彼女が、僕たちのことを見渡したが、特に質問はなかった。僕たちのクラスは男女比が1対1なので説明通りで大丈夫だ。2年生以上は初めてではないので、特に質問はないだろう。1年生も種目の人数プラス数人選ぶだけなのでそうむずかしいことではない。ただ、やりたい種目が重なったときは面倒だな。どうやって種目を決めさせようかな。後で木之元さんと話し合おう。
「質問がないようなので次に進みます」
おっと、話を聞かなくては。こちらの不手際で迷惑をかけることはできないからな。
「当日の仕事は、試合前に各クラスに用紙を渡しますので、事前に決めたメンバーからだれを出すかを書いて各試合会場にいる生徒会役員に渡してください。委員の仕事は以上になります。何か質問はありませんか?」
彼女は話し終え、先ほどのように僕たちを見るが特に質問はないようだ。まあ、委員のわりに仕事が少ないがこんなものなのだろう。審判などは部員に頼んでやってもらっているらしいし、試合結果なども、各会場に生徒会役員がいるので、しっかり把握できる。
はっきり言ってしまえば、このぐらいの仕事なら球技大会の委員などを作らなくてもクラス委員に任せてもいいと思うのだが、クラス委員ばかりに仕事を押し付けるわけにもいかないからなのかもしれない。
「それでは今日は解散になります。お疲れ様でした。帰るときにメンバー用紙を持っていくようにお願いします」
それと同時に僕は立ち上がり木之元さんに話しかけた。
「それじゃ、帰ろうか」
「そうね」
と、短いながらも言葉を交わし、僕はメンバー用紙を受け取った後、木之元さんと一緒に教室を出た。
教室を出て、廊下を歩きながら僕は木之元さんにメンバー決めをどうするかを尋ねた。
「どうやってメンバー決めよっか?」
「まあ、最初に希望を聞いて重なったら、じゃんけんするか、もしくは話し合って決めてもらうかよね」
「まあ、そうなっちゃうよね」
そのまま校門を出るがもともと違う小学校に通っていたのだ、すぐに別れることになった。
「じゃあね」
「うん、また明日」
木之元さんと別れた後、僕は木之元さんの趣味のことについて考えていた。
「木之元さん、没頭できる趣味があっていいなぁ。僕も何かそういう趣味が見つかるかな?」
別に僕だって趣味がないわけじゃない。自己紹介で言ったことは本当だ。ゲームだって読書だって好きだ、でも心からそれが1番好きなことなんだ、といえるものではない。ただ時間を消費するためだけにそれをするのではなく、時間を忘れるくらいそれを楽しんでみたい。そんなものが見つかるといいな。
そんなことを考えながら家に帰るのだった。