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友達から  作者: 咲良
3/6

日常

 早いもので、中学に通い始めてからもう2週間がたった。この2週間のことを簡単に述べると、まずはクラス委員を決めたことだ。委員には北条さんが選ばれた。明るいし、新入生代表にも選ばれたため能力もあるのだろう。


 後は男子たちとも仲良くなったことだろう。小学生のころは伊織と一緒のことが多かったので女子と遊んでいる男子ということで男子たちとは仲良くなれなかった。ただ男子たちと仲良くなれたことはうれしいが、伊織がいなくなったことにより男子と仲良くなったことにどこか釈然としないものがあった。仲良くなったといえば、北条さんとも少しばかり話すようになった。クラス委員の仕事を手伝ったことがきっかけだ。もう1人女子で仲良くなった人が、木之元さくらさんだ。木之元さんとは北条さんの友達で北条さんと話をしているときに仲良くなった人だ。性格は、北条さんと同じように明るく、男女分け隔てなく接する人だ。おそらく北条さんと話していなくても、いずれ話していたことに違いない。

 

 授業も僕が思っていたものよりも楽だった。授業内容は難しいが教師陣がやさしいためだろう。そのため早いもので授業中に寝る人が出ていて、そんな人たちを見ていると、テストは大丈夫だろうかと心配になる。

部活は僕も和也も入らなかった。和也に「運動ができるのになぜ入らないにか」と聞いたら、「めんどくさいから」と一蹴された。


 2週間もあれば人は変わるものだと感じた。学校生活には慣れてきた、他校からの生徒とも仲良くなった、授業にも慣れた、だが伊織のいない生活にはまだ慣れていない。今まで、ほとんど一緒の時間を過ごしてきたのだ、2週間でなれるわけがない。だが、伊織のいない生活もこの2週間のようにいずれ慣れてしまうのだろうか。それがひどく恐ろしいものに感じた。


 「おーい、もう昼休みだぞ。どうする?」


 「ああ、じゃあ学食に行こうか」


 この学校では給食ではなく、学食か購買、もしくは弁当なのだ。そして僕は基本的に学食です済ませている。


 「また考え事してたよな、お前。中学に上がってから多いよな。そんなんでテスト大丈夫か?」


 「大丈夫だよ。そういうのは寝てるやつに行ったら?」


 「まあ、お前なら大丈夫か」


 そんな話をしながら学食へ向かい、昼食を食べた。


 学食から戻ると、木之元さんが僕の机でご飯を食べている。これは僕と話すようになってからいつものことで、北条さんの隣の僕の机を借りているのだ。


 僕たちが教室に入ってくるといつものように木之元さんが話しかけてきた。


 「机借りてるね」


「いつものことだから気にしないで」


「ありがとう、あ、そうだ数学の課題うつさせて」


 「僕はいいけど、いつもは北条さんに見せてもらってるのに今日はどうしたの?」


 「自分でやる癖をそろそろつけないとテストのとき泣くって言われたのよ」


 「あー、それなら僕も貸さないほうがいいかな?」


 「そうね、ねえさくらテストのときに泣くのと、今泣くのどっちがいい?」


 「テスト前に頑張るからうつさせてー」


 「はいはい、わかったわよ」


 そういいながら北条さんは数学のノートを木之元さんに貸した。それを受け取った木之元さんは、自分の机に戻り数学の課題をうつし始めた。

 

 「相変わらず仲がいいよね」


 「そうね、私たち幼馴染みたいなものだから」


 「やっぱり、そういう感じがしたんだよね」


 「そんなに仲良く見えるかしら」


 「うん、親友って感じがするよ」


 「そう、それはうれしいわね」


 北条さんはは笑いながらそういうと立ち上がり、木之元さんのところへ歩いて行った。

 

 学校が終わり家に帰ると、昼休みのことが頭によぎる、僕たちはどうだったのかな?伊織は僕と幼馴染でよかったと思っているのだろうか、嬉しかったのだろうか。

 

 僕は伊織と幼馴染でよかったと思ってる、そしていなくなって初めて伊織が僕にとって大切な存在であったと実感している。たぶん僕は伊織のことが好きだったのだろう。でもこの気持ちもいずれ色褪せてしまうのだろうか、いずれ伊織がいないことに慣れてしまったときに、昔伊織が好きだったということで終わってしまうのだろうか。伊織のことはただの思い出になってしまうのだろうか。

 

 



 



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