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友達から  作者: 咲良
2/6

未定

 伊織が引っ越してから数日が経った。今日は入学式だ。僕が通う中学は僕が通っていた小学校ともう1つの小学校の生徒が集まるため、全校生徒の人数はとても多い。新しい友人ができるかも、と少しばかり期待している。

 そんな考え事をしながら、僕は制服に着替え、リビングにおりるといつものように母さんが声をかけてきた。


 「おはよう。今日は入学式ね。緊張してない?」


 「おはよう。別に新入生代表でもないし、してないよ。」


 いつものように会話をしながらの食事を済ませて家を出た。


 家を出ると、自然に隣の家に視線が向く。しかしそこから出てくる人影はない。そのことに寂しさを感じ、それを吹き飛ばすかのように首を振った。そう、これからはこれが普通なんだと、自分に言い聞かせるように何度も自分にしか聞こえないように言葉に出していた。通学路を歩いていても、隣に伊織がいないことを不自然に思いながら歩き続けた。


 中学校につくとやはりだろうか、クラス分けの掲示板の前に人があふれていた。当然その中には僕の友人もいた。


 「和也おはよう、クラス替えどうだった?」


 「夏弥か、おはよう。俺もお前も1組だったよ。お前と同じクラスでよかったよ、仲のいい奴がいて助かった」


 「僕の分も見てくれたんだ、ありがとう。和也と同じクラスなのは僕もうれしいよ」


 などと僕は親友といえるほど仲のいい、椎名和也と話をしながら教室へと向かっていった。この学校は1クラス40人で、5クラスあり、1学年で約200人が在籍している。その中で和也と同じクラスになれたのは僕としては本当にありがたいことだった。

 和也は、僕と伊織のことをからかってきた男子のことを注意してくれたことをきっかけに仲良くなった。ときどき3人で遊んだりしていたが、和也と2人で遊ぶことが多かった。


 教室に入ると、黒板には名簿順に座るように書かれており、僕は和也と別れ席に座った。

 少しすると、先生が教室に入ってきて、体育館に移動するように指示を出した。


 体育館に移動し、席に座り入学式が始まるとなぜだろう急に眠気に襲われる。

 校長先生の長い話も終わり、新入生代表あいさつのときに近くで人の動く気配がして、ハッと目が覚めた。

 新入生代表あいさつをしている生徒を見ると、知らない女子生徒だった。ほかの学校から来た生徒だろう、などと考えているといつの間にかあいさつも終わり、僕たちは教室へ戻った。


 教室に戻ると、自己紹介が始まり、すぐに僕の番になった。僕が立ち上がるとなぜか女子たちがしゃべりだしたのを見て、女子は仲良くなるのが早いなと思いながらも自己紹介を始めた。


 「えっと、保科夏弥です。趣味はゲームや読書、あとは音楽を聴いたりします。これから1年よろしくお願いします。」


 無難な自己紹介でいいだろうと思い簡単に済ませた。そのあとも自己紹介が進み、女子の自己紹介に入る。そのまま自己紹介が進むと僕のとなりの女子が立ち上がるのを見ると、新入生代表だった人だった。


 「北条雅です。趣味は音楽を聴くこと、後は体を動かすのも好きです。これからよろしくお願いします。」

 

 彼女が元気よく自己紹介を終える。僕とほとんど変わらない自己紹介なのに、話し方で変わるものだと感じた。明るく周りとすぐ打ち解けあえる人なのだろう。こういう人がいるとクラスの雰囲気がよくなるんだよなぁ、などと思った。

 自己紹介をが終わるとすぐに解散となった。

僕は和也の所へ歩いていき、話しかけた。


「これからどうしようか?」


「本屋にでも行こうか 」


「そうだね、何か面白い小説出てないかな」


僕と和也は話をしながら教室を出ていった。

校門を出たあたりでふと僕は和也に聞いた。


「そう言えば僕の自己紹介の時に女子が喋ってたけど僕がそんなに面白いのかな?」


「はぁ?何言ってんだ。みんなお前のことかっこいいって言ってたんだよ」


 「ぼくが?ないない、それを言うなら和也のほうでしょ」


 「俺のときはお前のときみたいにならなかっただろ、それで納得しとけ」


 「うーん、まあいいや。それよりも新しい友達ができるといいな」


 「まあそうだな、クラスの雰囲気も悪くないようだし結構うまくいくんじゃないか?」


 そんな会話をしているとなぜかふと伊織のことを考えてしまう、伊織は仲のいい友達ができるだろうか?知らない人ばかりで大丈夫だろうか?

 なんだろう今日はやたらと伊織のことを考えてしまう。きっと大丈夫だろう、と考えることをやめた。


 結局本屋では面白そうな本が見つからなかった。家に帰ると部屋に戻り一息ついた。今日はやたらと伊織のことを考えていた幼馴染として心配しているのかそれとも

 

 「僕は子供ながらにきみに恋していたんだろうか?伊織」


 そんな言葉に答える人はいないし、ましてや自分でも答えのわからないこの問いに答えられるわけがない。そんなとき「御飯よ」という声によって現実に引き戻された。まあ、伊織の心配よりも自分の心配をしなければいけない、そんなことを考えながら居間へと向かった。

 さあ、明日から中学生活が始まる。





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