第3話 リレー小説
「リレー小説をしよう!」
「「え?」」
俺が言うと、二人は俺の方を見た。
優愛が部員になって数日。まあ特に前と状況は変わってない。
せいぜい俺の性欲が増したくらいだ、やっぱ俺気持ち悪い。
「何でリレー小説なの? 春樹」
「何か部活っぽい事したいじゃん?」
「『新聞部』でリレー小説……か……」
佑が遠い目をしてつぶやく。まあリレー小説してるくらいだったら、『新聞部』ぽい事しろよ。と思われるかもしれない。まあ、『新聞部』っぽい事は今度するよ、今度。でも文章力つけるためには小説書くって大事じゃね?
「何かありがちな展開……」
優愛が言う。べ、別にラノベとかに影響なんかされてないんだからね!? 勘違いしないでよね!?
「と、とにかくやるぞ!」
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「登場人物どうする?」
俺は自分の前に置いてあるノートを見ながら言った。
佑と優愛は「う~ん……」と悩む。すると優愛が言った。
「な、なら私と春樹でいいんじゃない?」
「は? 何で?」
「なんでって……。それは……。そのぉ……」
「ぼ、僕もそれでいいと思うよ!」
「む、そうか……?」
すると優愛はコクコクとうなずく。何か嬉しくなってない?
「じゃあまず俺から書くぞ」
――数分後――
「まあ、こんなもんかな……」
「じゃあ読むから貸して?」
「オッケー」
二人は俺の小説を読み始めた。
〈春樹パート〉
「はぁ……んむ……ちゅぷ」
優愛は俺の松茸をおいしそうに口に含む。
「アウトー!」
優愛は読むのをやめ、顔を赤らめて俺に言った。
「なんだよ……」
「いや、これはダメでしょ!」
「でもこういうのを書いちゃいけないって言ってねえじゃん」
「う……。それはそうだけど……」
「とりあえず最後まで見ろよ」
「わ、分かったわよ……」
「本当に春樹君は変態さんだ……」
〈春樹パート〉
「気持ちいい……? 春樹」
「ああ、最高だよ……! 俺、もうっ!」
「いいよ、我慢しなくて……。いっぱい出して?」
優愛がそう言った瞬間、俺は口の中で果てた。
「んっ、んっ……んちゅ……」
優愛は美味しそうに俺の松茸をなめる。うっ……! そんなになめたらもっと立派な松茸になってしまう……!
「きゃっ!」
俺は優美を押し倒した。
「なぁ、いいだろ……?」
「うん、春樹……。来て……」
「「……………………」」
「ふっふっふっ! どうだ!」
「た……」
佑がプルプルと肩を震わせる。
「た?」
「ただのエロ小説じゃないかー!」
「そこは官能小説と言ってくれ」
「なんなんだよ春樹君! これは!」
佑はノートを指さす。
「え、俺のノート」
「内容の事だー!」
「うわっ!」
佑はガタッっと立ち上がり俺に言う。
「で、でも書いちゃいけないとか言ってないじゃん」
「そ、それはそうだけど……」
「よし、次は優愛だな」
俺は顔を赤くして舌を向いていた優愛に言った。ふっ。やはり俺の小説は刺激が強すぎたか……。
「こ、これからどう書けって言うのよ……!」
「が、頑張って! 優愛ちゃん!」
〈優愛パート〉
やはりまだそういう事をするのは早いと思った俺は、そこから何もせず優愛に帰ってもらった。
俺と優愛は付き合ってまだ一週間。次のステップに進むのはもう少ししてからにしよう。告白は俺からした。『鈍感』な俺は優愛の好意に気づくことができなかったが、最近ようやく気づくことができた。
優愛があんなに俺の事を想ってくれていたとは……。これから『鈍感』な俺は一生、優愛を大切にしようと思ったのだった……。
「エロパート消滅したー!」
「あ、当たり前でしょ!? あんなのの続きなんか書けないわよ!」
「くそ……」
「そ、それより……」
「なんだよ……?」
俺は若干の恨みのこもった目で優愛を見る。優愛はモジモジして言った。
「こ、これを見て何か思う事ないの……?」
「ん? う~ん……。特にないな」
「え、ほんとに?」
「え……。そうだけど」
「そ、そっか……」
優愛はあきらめたように「ふーっ」とため息をつく。
佑は「最低だ……」とか言っている。何だよ! 俺なんかしたかよ!
「てかさ……。これ……」
佑はノートを見て言う。
「これ完結してない?」
「「あ……」」
確かにそうだ。優愛の終わり方は完結したようにも見て取れる。
「そっか……。僕だけ仲間外れか……」
「ち、ちがうのよ! 佑! これは偶然終わらせてしまう形になったわけで……!」
すると佑はもっと暗くなる。
「次に書く僕の事を忘れるくらい僕って影が薄いんだ……」
「多分薄くないよ!」
「多分……か……」
もっとどんよりする。なんか負のオーラが佑から出ている気がする。
「おい、何で悪化させてんだよ」
「う~。ごめん……」
「よし、俺に任せろ」
「うん」
優愛は俺がどう佑を元気づけるのか期待してるようで、目をキラキラさせている。
フッ。任せてくれよ。
「なあ、佑」
「どうしたの? 春樹君。僕みたいな奴に話しかけてきて……」
うっ。何かこちらまでやられそうになる。
「お前が元気出さないならな……」
「元気出さないなら……?」
「俺とお前のBL小説書くぞ?」
「はい! 元気になりました!」
急に佑は元気になった。俺に任せればこんなもん朝飯前よ……。優愛は「しょうもな……」とか言っている。しょうもないとかいうな。自分でも分かってるから。
あと言っておく。俺はホモではない。マジで。
結局二人しか書かないままリレー小説は終わった。
次書くときはもっと頑張るぜ!
誤字脱字があれば教えていただけると幸いです。
評価などお願い致します。