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プロローグ
個人について話すとき、僕は少なからず罪悪感を覚える。仲が良ければ良いほど、僕は遠慮してしまう。見知らぬ人間には悪態をついてしまう。
そんな僕に彼女が出来た。彼女は優秀だ。天才を絵に描いたような人間である。天才とまではいかないもののそれでも僕よりは優れている。
全ての人が幸せになればいいと願った。僕を除いた全人類がこの願いを知ることはなく、知られたくもなかった。人が幸せになって、自分が不幸になることは無い。それだけの理由だった。得しようとは思わない。僕はただ不幸になりたくなかっただけだった。ただ、僕は世界を舐めきっていた。