第二十一話
「恒例の、第3回お風呂タイム~!いえーい、パチパチ」
「ご主人様?どうされたんですか?」
「エレミア殿、ご主人様はときおり変になるでありますよ。放っておくであります」
「さすがに異世界のノリにはついていけないわ」
「な、なんなのだ?お風呂タイム?」
「お前ら覚えとけよ………そうだ。お風呂タイム。つまりみんなでお風呂に入るんだ」
「そうか、湯浴みか。すでに裸も見られているしな。抵抗はない」
「そうか………では、翼も洗うので、〈偽装〉を解除してくれ」
「ええっ!わ、わかった」
俺達はお風呂場にいた。
「ほう、これは広い湯殿だな」
そういうヒルダの背中には純白の翼が広がっていた。………美しい。超絶して美しい。最初見たときは気づかなかったが、翼の生えたヒルダは神秘的でとても美しかった。
「よ、よし。ではさっそくだが体と翼を洗わせてもらうぞ」
「うむ。よろしくたのむ」
俺はヒルダの体を隅々まで洗った。翼を洗おうとすると
「ん。な、なんだかこそばゆいな」
翼の付け根から先までを丁寧に洗う。
「んんん。………少しずつ気持ちよくなってきたぞ」
翼の毛が生えているところも丁寧に洗う。
「んー。そこは特に何も感じないな」
な、何故だろう、特にエロいことはしていないのに背徳感を感じてしまうのは。やはり天使の神々しさを俺の手が汚してしまうのだろうか。
「よ、よし。洗い終わったぞ」
「ありがとう主殿。とても気持ちが良かったぞ」
ヒルダの笑顔が眩しかった。
「い、いや、こちらこそなんかすまないな」
「?何を言っているのだ、主殿?」
「それでは、ご主人様をお洗いしますね」
「自分も洗うであります」
「うふ。これも恒例よね」
そういって体を擦り付けてくる3人。
「な!な、なにをやっているのだ?」
「ご主人様にご奉仕しています」
「ご奉仕であります」
「ご奉仕よ。ヒルダもやる?」
「わ、私もか?………これも従者の勤めか」
そういって翼を擦り付けてくるヒルダ。
「ヒ、ヒルダ。翼を使うのは………」
「むう。やはり体を直接触れさせたほうが良かったか?しかし、こうしないと届かないのだ」
お、俺の良心が痛むんです。勘弁してください。
しかし、はっきりとそう言うことも出来ず、悶々とした気分を味わうのだった。
俺達は風呂に浸かっていた。
「はぁー、疲れがとれるなー」
「はいー」
「極楽でありますー」
「あったかいわねー」
「先程の疲れが癒やされるようだな」
「ふふふ、今夜はもっと疲れるぞ」
「ぽっ、ご主人様ったら」
「エロいでありますー」
「エロいわねえ。そこが好きよ」
「う、うむ。あれ以上か………そういえば、エレミア殿は何という種族なのだ?」
「?見ての通りエルフですけど………」
「なんと!いやしかしその胸は………私と同じくらいないか?」
「は、はい。もうすぐEカップになると思います」
「エレミア殿は伝説の巨乳エルフなのであります。自分もEカップになったのでありますが、もうすぐ追いつかれてしまうであります」
「凄いわよねえ。私もここに来てから5ミリくらいおっぱい大きくなった気がするけど、エレミアは目に見えて大きくなっていくんですもの」
「お、大きくなっているのか?いったいいつからその大きさに?」
「ええっと………」
「エレミアに会ったのは6月2日だ。その時はまだAカップだったな」
「「「ええ~~~!?」」」
「えっと、今日は8月25日だから、3ヵ月で9センチもアップしたでありますか?」
「あり得ないわ………あたしだって、9歳の頃から胸が膨らみ始めてこれよ」
「まさか、本当に伝説の巨乳エルフなのか………?」
「ん?どういう意味だ?」
「伝説の巨乳エルフも、初代勇者と婚姻した時はエルフとして標準体型だったという。しかし、結婚してから1年後には、Fカップの巨乳エルフになっていたそうだ」
「伝説の巨乳エルフが何歳の時に嫁いだか知っているか?」
「確か………18歳だ」
「そうか………ならばやはりエレミアは奇跡の爆乳エルフになれるかもしれないな」
「な、何故ですか?」
「簡単な計算だ。18歳から19歳でFカップになれるなら、15歳から19歳ならさらなる飛躍が望めるとは思わないか?」
「ハッ、た、確かにその通りであります」
「現に3ヵ月で9センチも大きくなっているしね」
「大きくなるほど体積も増えるから、成長スピードは鈍化するだろうとはいえ………後3年以上成長の余地があると考えると………」
「な、なんですか?」
「どんな姿になっても、エレミア殿はエレミア殿であります」
「そうよ。エレミアは後衛なんだし、おっぱいが揺れる心配もないわ」
「エレミア殿のおっぱいは私が守ろう」
「み、みなさん………人をなんだと思ってるんですか!?」
「まあまあ、おっぱいが大きくなるのはいいことじゃないか。エレミアも実は嬉しいんだろう?」
「そ、そんなことは………」
「この間、鏡に向かってポーズを取っているのを見たであります」
「うっ」
「夜の戦いの時、おっぱいを使って攻める時間が増えているわ」
「ううっ」
「ほうほう。そういえば貸していただいた服も胸のあたりが緩めに作られていたような………」
「うううっ」
「大丈夫だ。エレミアのおっぱいは必ずや奇跡の爆乳エルフと呼ばれるまでになる」
「ご、ご主人様、その根拠のない自信はいったい………」
そんなこんなで少しのぼせた俺達は寝室にいた。
「そ、それじゃあヒルダ。邪魔だろうからその翼は仕舞おうか」
「何故だ?今日は私が生まれ変わった日だから、この姿で愛して欲しいのだが………」
「い、いや、しかし………わ、わかった。わかったからその捨てられた子犬のような目は止めてくれ」
「う、うむ。では………不束者ですが、よろしくお願いします」
俺はヒルダにキスをした。
朝目覚めると、エレミアの成長中のおっぱいと、リサのダイナマイトおっぱいに挟まれていた。しかし、そんなことが吹っ飛ぶような光景が目の前にあった。………ヒルダが空中に浮かんでいたのだ。
「ヒ、ヒルダ?どうやってるんだ?それ」
「おお主殿!おはよう。これか?これは今朝起きたら急に出来る気がしてやってみたのだ。どうもこの翼からは浮力がでているらしく、それを自分の意志で調節出来るらしい。これも器用が上がったおかげだろうか」
「そ、そうなのか。凄いな」
「………うーん。おはようでありますご主人様………って浮いてる!?」
「………なんですか?朝から………浮いてる………私まだ夢みているのでしょうか」
「………夢じゃないみたいよ。しかし、凄いわねえ。あたしにも羽根はあるけど、浮くのは無理だもの。〈偽装〉すればできるのかしら?」
「んー無理だと思うぞ。〈偽装〉はあくまで外見だけを変える技能だからな。となると、浮けるのは私だけか。なんだか嬉しいな」
「ん?どういう意味だ?」
「長年、私は人よりも出来ないのが当たり前だったからな………優越感に浸っているのかもしれん」
「………そうか。しかし、外で飛んでみたりもしたいだろうが、面倒ごとが起きる気しかしないな」
「うむ。私もそう思う。残念だが、外では〈偽装〉しておいたほうがよさそうだな」
そう言うと、ヒルダは人間に〈偽装〉し、服を着始めた。………俺も着替えるか。
「さて、再びラビリンス1層から30層までを再攻略する訳だが」
「また時間がかかりそうですね」
「今のところ17日かかっているであります」
「まあ、仕方ないわね。どうしてもラビリンスって広いし」
「私は〈迷宮〉に入るのは始めてだが、そんなに広いのか?」
「ああ。単純に移動に時間がかかるな。まあ、この探索でシルヴィアのランクも上がるだろうし、のんびり行こうぜ」
そんなわけで、ラビリンスに潜ること4日、今日は8月30日日曜日。ナターシャの料理教室の日である。
「おーい、ナターシャ、いるか?」
「はーい、いるわよー。あら、クウヤ君、また新しい女の子捕まえたのー?ホント、モテるわねー」
「ブリュンヒルデという。ヒルダと呼んでくれ。今後ともよろしくたのむ」
「よろしくね、ヒルダちゃん。そうねー、せっかく新しい娘がクウヤ君の仲間になったんだから、今日はどこかに遊びに行きましょうか」
「遊びに行くのはいいが、どこに行くんだ?またプールか?」
「そうねー、東区の観光区画にはいろいろあるけど、今日は暑いし、プールにしましょー」
「そうだな。ヒルダの水着姿も見てみたいし」
「主殿、ぷーるとはなんだ?」
「みんなで泳ぐところだ。いろいろあって楽しいところだよ」
俺達は再びのプールに来ていた。
「おお!これは凄いな!主殿、あの大きな滑り台のようなものはなんだ?」
そう言うヒルダは金色のビキニを着ていた。髪や目の色と相まってとてもゴージャスであった。
「あれはウォータースライダーだよ。本格的に遊ぶ前に、いくつか泳ぎ方を教えようか」
俺はヒルダに現代泳法を教えると、みんなで流れるプールに移動した。
「よーし、今日は流れに逆らって泳いでみようか」
「はい!負けませんよ」
「ぶっちぎるであります」
「ふふふ、面白そうね」
「なんだ、勝負か?私も負けないぞ」
「あら、私に勝てるかしらー?」
俺達は充分に泳ぎ、プールを楽しんだ。
「あー、遊んだ。遊び倒した。1年分は遊んだ気がする」
「そうですね。今日は楽しかったです」
「遊び疲れたであります………」
「シルヴィアはウォータースライダーの乗り過ぎよ。いくら何でもね」
「ははは、しかしあのウォータースライダーというものは凄かったな!私はあのようなもの始めて見たぞ」
「みんな楽しめたようでよかったわー。どう?ヒルダちゃんもみんなと打ち解けられたんじゃないかしら」
「あ、ああ、そうだな。今日はみんなのことがよくわかった気がする。気を使ってくれてありがとう」
「なんだ、そんなこと考えていたのか?心配してくれたのはありがたいけど、ナターシャはギルドマスターなんだから、一組の冒険者パーティーに入れ込んでいいのか?」
「いいのいいの、どうせギルドでの仕事なんて判子を押すくらいなんだから、お友達を優先するくらいで丁度いいのよー」
「お友達、ね」
「あら、なにかいったー?」
「いや、なんでも。さて、もう充分遊んだし、今日はもうお開きにするか」
そうして、俺達は家路につくのだった。




