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第一話

〈鑑定〉。


〈アメシシ川〉

セントパルメ大陸ノースペント地方を流れる川。源流に住む森人たちの努力によってこの一帯は飲用に値するほど水が綺麗に澄んでいる。


「よし!ちゃんと飲める水だな」


俺は両手を川に突っ込み、切れそうなその冷たさを我慢しながら、すくい取った液体を口に流し込んだ。


「ぷはー、生き返る」


命の水、とはこのことだろう。地球ではまず飲めないだろう甘露な水だった。………地球か。

ここは地球ではない。まだこの星、いやこの世界の名前は分からないが、セントパルメ大陸ノースペント地方………というところにいるらしい。


「ハハッ、聞いたことねぇよ」


まだ日は出ているのに自己主張している2つの月が恨めしい。そう、この俺、風岡空也、いや、〈クウヤ カザオカ〉はいわゆる異世界トリップしたらしい。

もともと天涯孤独の身、この世界で生きていく覚悟はすでに決めている。

とりあえず、この世界のことを調べて、それから今後のことを決めよう。

そのためにも、まずは自己評価からだな。

〈鑑定〉。


〈クウヤ・カザオカ〉

年齢:17

Lv.1

種族:人間

職業:学生


体力:10200/10200

魔力:100/100

筋力:30

耐久:30

器用:30

敏捷:30

智慧:30

精神:30


ユニークスキル

〈スキルコピー〉


レアスキル

〈鑑定〉Lv.10


スキル

〈剣術〉Lv.1

〈体術〉Lv.2

〈調理〉Lv.3

〈算術〉Lv.5

〈光合成〉Lv.10

〈生命力強化〉Lv.10

〈成長力強化〉Lv.10

〈体力回復力強化〉Lv.10

〈魔力回復力強化〉Lv.10


加護

なし


称号

〈異世界人〉



〈光合成〉Lv.10、〈生命力強化〉Lv.10、〈成長力強化〉Lv.10は〈トリネクの木〉からコピーしたもので、新しい〈体力回復力強化〉はヒーリン草、〈魔力回復力強化〉はマナヒーリン草からコピーした。

目覚めた場所から〈アメシシ川〉までの間に群生地があったのだ。ついでに10株ずつポケットに入れて持ってきている。薬草として売れそうだからな。そうそう、〈スキルコピー〉で消費する魔力量だが、スキルレベルの合計数×1だと分かった。

ただ、これは普通のスキルに限った話で、レアスキルや加護をコピーする場合はもっと魔力を消費しそうではある。

それと、〈体力回復力強化〉を〈鑑定〉すると、一秒間に体力を最大体力×Lv.×0.01%回復すると出る。〈魔力回復力強化〉は体力が魔力に変わっただけで一緒だ。

Lv.10で0.1%ずつだから、1000秒、つまり16分40秒で体力、魔力共に全回復するということである。

あえて言おう。チートも大概にしろと。〈光合成〉と合わせれば水さえ確保できれば持久戦なら負けなしだと言える。まだレベルが低い今は一秒あたりの回復量もたかが知れているが、レベルアップしていくにつれてその恩恵は計り知れないものとなるだろう。


「まあ、死ににくい分にはいいか。さて、川にはたどり着いたけどこれからどうするかな」


〈光合成〉と水があればとりあえず餓死することはないが、これからずっとこの森で過ごす訳にもいかない。

どうにかして他の人と接触する必要があるだろう。源流には森人とやらがいるらしいし。すると川沿いに下流に行くか上流に行くかしかないわけだが、森人とやらが人間に友好的かどうか分からない。ということは………下流に行くしかないか。


「よし、もう一頑張りしますか!」


俺は下流に向けて歩き出した。



歩き始めて体感で2、3時間ほど、そろそろ日も暮れてきてこのまま野宿か………と考えていると。


「ん?なんだあれ」


そこには燃え残ったと思わしき木片と、魚の尾らしきものがあった。


「誰かがここで野営したってことか?」


耳をすませてみるが、相変わらず川のせせらぎと風の音しか聞こえない。


「おーい!誰かいませんかー!」


しかし、応えるものは誰もいない。


「くそっ、誰かがここにいたのは間違いないのに………」


俺はもう少し周辺を調べてみることにした。すると………。


「あっ、これは足跡!?」


発見した足跡はどうも森の中のけもの道に続いているらしい。


「どうも足跡が小さいのが気になるが………せっかく見つけた手がかりだ。まだ日没までに時間はありそうだし、足跡を辿ってみるか」



訳もなく息を潜めながら足跡を慎重に辿ること小一時間。ついに前方から地響きのような音が聞こえてきた。


「これは………戦闘音?誰かが戦っているのか?」


どうやら少し開けた空き地のような所があって、そこで戦闘が行われているようだ。近づくと危ないので、手前の木に登ってみる。そこで見たのは傷ついた角のある猪のようなやつと、小柄な三人?の戦士だった。三人?の戦士は体が緑色で、頭に小さい角が生えていて、顔はしわくちゃな猿みたいだった。というかどう考えてもこれは………。

〈鑑定〉。


〈ホーン・ボア〉

年齢:2

Lv.5

種族:角猪

職業:猪


体力:700/850

魔力:50/50

筋力:80

耐久:60

器用:20

敏捷:50

智慧:10

精神:10


スキル

〈突進〉Lv.3



〈ゴブリン・ソードマン〉

年齢:2

Lv.3

種族:子鬼

職業:剣士


体力:450/450

魔力:100/100

筋力:50+0.5

耐久:40

器用:30

敏捷:30

智慧:20

精神:20


スキル

〈剣術〉Lv.1

〈指揮〉Lv.1



〈ゴブリン・シーフ〉

年齢:2

Lv.3

種族:子鬼

職業:盗賊


体力:350/350

魔力:100/100

筋力:30

耐久:30

器用:50

敏捷:50

智慧:20

精神:20


スキル

〈投擲〉Lv.1

〈回避〉Lv.1



〈ゴブリン・メイジ〉

年齢:2

Lv.3

種族:子鬼

職業:魔法使い


体力:300/300

魔力:250/300

筋力:20

耐久:20

器用:30

敏捷:20

智慧:50

精神:50


スキル

〈火魔法〉Lv.1

〈魔力操作〉Lv.1



「うわ~、やっぱりゴブリンかよ」


他の人間ではなくてがっかりしたが、スキルをコピーできると考えれば悪いことではない。

早速もう一度〈鑑定〉。


〈突進〉Lv.3

Lv.×10メートルまでの距離を敏捷×1.5倍の速度で直線移動できる技能。スキルは任意で止められるが、途中で曲がることは出来ない。スキル発動中の体勢の維持に補正。


〈指揮〉Lv.1

支配下、または協力関係にあるLv.×10×個体数までの個体の意志の統率に補正がかかる技能。


〈投擲〉Lv.1

Lv.×10メートルまでの距離に物を投げる際に〈器用〉が2倍になる技能。スキル発動時に体勢の維持に補正。


〈回避〉Lv.1

Lv.×1メートルまでの距離に入ってきた敵対な攻撃の感知をする技能。回避体勢に補正。


〈火魔法〉Lv.1

Lv.×300度までの熱エネルギーを前方に発生させる技能。標的にした対象以外には熱が伝導しない。発生させた温度÷10の魔力を消費する。


〈魔力操作〉Lv.1

魔力で発生させた現象をLv.×10メートルまで操作する技能。操作性の限界は所持者の智慧に依存する。操作した秒数1秒あたり魔力を1消費する。


「よし、〈スキルコピー〉×4」


これは俺が発見した応用で、スキルコピーできる対象が複数いる場合は×数と指定すれば一気にコピーが可能になる。まあ、発声する必要はないのだが。

それよりも、この戦いだ。さっきまで睨み合いが続いていたが、状況が動きそうだ。

〈ゴブリン・シーフ〉が石を〈投擲〉して、〈ホーン・ボア〉の注意を引く!


「ボォォァァア!」


〈ホーン・ボア〉が〈ゴブリン・シーフ〉に〈突進〉する。しかし、〈ゴブリン・シーフ〉はこれを華麗に回避する!目標を見失った〈ホーン・ボア〉はそのまま木に激突する!


ズカァァーン!


森に小規模の地響きが起こる。俺が聞いたのはこれか………。


「ギィ!ギィギィ!」


〈ゴブリン・ソードマン〉が何事か喚き出す。そのまま木に角が刺さって動けない〈ホーン・ボア〉に向かって走り出した。おそらく〈指揮〉を使ったのだろう。その証拠に〈ゴブリン・メイジ〉が頭上に火の玉を作り出し、〈ホーン・ボア〉に放った!


「ボァ!ボァァア!」

火の玉が毛皮に命中した〈ホーン・ボア〉は苦しみにのたうち回っている。そこに〈ゴブリン・ソードマン〉が鈍く光りを反射する剣で斬撃を加える!

剣は〈ホーン・ボア〉の首を深く傷つけ、大量の血を流した〈ホーン・ボア〉はやがて動かなくなった。


「ギィギィ!ギギギギィ!」


〈ホーン・ボア〉に勝利したゴブリン達が〈ホーン・ボア〉の解体を始める。

どうやらその場で焼いて喰うようだ。


「さて、これからどうすっかね」


スキルはコピーしたのでもう用はないのだが、今の状況は俺にとても有利だ。こちらは高所から不意打ちできるし、あちらは肉に夢中で警戒が疎かになっている。それに、あのゴブリン達を倒せばおそらくレベルが上がる。スキルをコピーできる俺にとって足りないのは高いステータスだろう。称号〈異世界人〉や〈成長力強化〉によってステータスは上がりやすいだろうからレベルアップすれば一気に強くなり、死ににくくなるだろう。


「よーし、そうと決まれば!」


ゴブリン達は解体した肉を焼いている。〈ゴブリン・メイジ〉は炎を維持しているからすぐにまた魔法を使うのは難しそうだ。ならば狙うはゴブリン達のリーダー格である〈ゴブリン・ソードマン〉!

俺は300度の炎を球の状態に固定した。


「いけっ、ファイヤーボール!」


炎の球は肉を喰っている〈ゴブリン・ソードマン〉に向かっていき、見事命中した。


「ギィャァァア!」


炎の球が命中した〈ゴブリン・ソードマン〉は転げ回り、その拍子で鞘に収められていた剣が飛び出した。


「今がチャンス!」


俺は木から飛び降りて、転がっている剣に向かって〈突進〉を使った。スプリンターもかくやという速度であっという間に剣までたどり着き、剣を拾って転がっている〈ゴブリン・ソードマン〉を斬りつける!


「ギャッ!」


〈ゴブリン・ソードマン〉が動かなくなったのを確認する間もなく、驚いて動けない〈ゴブリン・メイジ〉に迫り、その首を跳ね飛ばす!

そのまま少し離れた所にいた〈ゴブリン・シーフ〉に向かって〈突進〉する。その勢いのままに突きを繰り出した!

しかしその突きはすんでのところで避けられる。そのまま一閃、二閃と剣を繰り出すが当たらない。


「くそっ、これならどうだ!」


俺は〈ゴブリン・シーフ〉の足下に100度の炎を火炎放射のように放った。〈ゴブリン・シーフ〉が飛び上がって避けたところを、俺の剣が切り裂いた。


「ハアッ、ハアッ、ハッ、フー、やっとおわった。」


”レベルアップしました!Lv.1→Lv.2”


「お、レベルアップか。」

〈鑑定〉。


〈クウヤ・カザオカ〉

年齢:17

Lv.2

種族:人間

職業:学生


体力:10630/10630

魔力:490/530

筋力:73+1.46

耐久:73

器用:73

敏捷:73

智慧:73

精神:73


ユニークスキル

〈スキルコピー〉


レアスキル

〈鑑定〉Lv.10


スキル

〈剣術〉Lv.2

〈体術〉Lv.2

〈調理〉Lv.3

〈算術〉Lv.5

〈光合成〉Lv.10

〈生命力強化〉Lv.10

〈成長力強化〉Lv.10

〈体力回復力強化〉Lv.10

〈魔力回復力強化〉Lv.10

〈突進〉Lv.3

〈指揮〉Lv.1

〈投擲〉Lv.1

〈回避〉Lv.1

〈火魔法〉Lv.1

〈魔力操作〉Lv.1


加護

なし


称号

〈異世界人〉



「おお、ステータスが上がってる」


体力、魔力が430、他が43ずつ上がっているようだ。職業〈学生〉で15%アップの1.15倍、〈成長力強化〉Lv.10で100%アップの2.15倍、称号〈異世界人〉で2倍の4.3倍だと考えるのが自然か。すると普通の人間は体力、魔力が100、他が10ずつ上がるということになる。


「またまたチートだな、こりゃ」


初めて生き物を斬ったが特に何も感じなかった。この世界に来るときにそんな感性は無くしてしまったらしい。俺は〈ゴブリン・ソードマン〉の死体から鞘を回収し、その場を後にした。

〈アメシシ川〉まで戻ると日がもう暮れていた。


「あーもう今日は疲れたなあ」


俺は明日に備えて木の上で眠ることにした。

こうして俺の異世界一日目が終了したのだった。

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