第九話
あれから5日間、俺達は〈迷宮〉に潜り続けていた。とくに変わったことは無かったので、ダイジェストでお送りしようと思う。
勇歴1000年6月6日土曜日。
スニアの〈迷宮〉16層の魔物は〈ポイズン・ビー〉だった。飛び回りながら〈毒針〉を飛ばしてくる厄介な敵だったが〈風魔法〉に滅法弱かった。〈風魔法〉が強すぎる気がする。
17層の魔物は〈スケルトン・セイバー〉、18層の魔物は〈スケルトン・ランサー〉、19層の魔物は〈スケルトン・アーチャー〉、20層の魔物は〈スケルトン・キャスター〉だった。ゴブリン達よりも高度な連携をしてくるが、〈光魔法〉に滅法弱かったのでなんとかなった。20層のボスはスケルトン達と〈スケルトン・ロード〉で、〈光魔法〉を連発して勝った。ボスは〈聖水〉1リットルを残した。土地の浄化に効果があるらしい。
本日の成果報酬18万円、ギルドポイント940ポイント。それと、冒険者ギルドにふらりと現れた〈魔導師〉から〈氷魔法〉をコピーした。
6月7日日曜日。
21層の魔物は〈ペッパー・スライム〉だった。なにか予想通りな気もしたが、サクッと倒した。やはり胡椒を残した。
また、銀鉱石が見つかるようになった。
22層の魔物は〈テラー・ドッグ〉だった。〈砲哮〉スキルで硬直状態にしてくるようだったが、精神が高いおかげか平気だった。〈テラー・ドッグ〉は毛皮を残した。
23層の魔物は〈カンフー・カンガルー〉だった。その名の通り〈拳法〉を使ってくるカンガルーだった。ちょっと可愛かった。
本日の成果報酬40万9000円、ギルドポイント660ポイント。これで1000ポイントずつ、2人分で合計2000ポイント溜まったので、Dランクに昇格した。昇格試験はボス攻略だったらしく、すでに2度倒している俺達はそのまま昇格となった。
それをきっかけにして俺は〈ステータスカード〉に〈転移魔法〉を表示した。いくらなんでも攻略スピードが速すぎたので目立っていたからだ。結果、さらに目立ってしまったが、〈異世界人〉の子孫なら、と納得もされた。どうやら過去にユニークスキル〈空間魔法〉を持っていた〈異世界人〉がいたらしく、俺はその子孫だろうと言われた。
6月8日月曜日。
24層の魔物は〈ダイナマイト・ビートル〉だった。〈爆発魔法〉で自爆特攻してくるいやな敵だった。しかも〈爆発魔法〉は自爆しかできないらしい。もちろんコピーしなかった。〈風魔法〉で爆発から身を守るだけの作業になった。〈ダイナマイト・ビートル〉は角を残した。
25層の魔物は〈ギャンブル・ブル〉だった。〈クリティカル〉と〈突進〉で角をこちらに差し込もうとしてくるのだが、避けられると壁まで一直線に進み、壁にめり込んで動けなくなった。その分スピードは速く、俺達はしばし闘牛士の気分を味わった。〈ギャンブル・ブル〉は牛肉を残した。味はそのまま牛肉らしい。
26層の魔物は〈エアース・ホーク〉だった。〈風魔法〉を持っているのでこちらの〈風魔法〉も効果が薄く、ガチで空中戦をやる羽目になった。いい修行になったのでよしとするが。
本日の成果報酬76万5000円、ギルドポイント750ポイント。
6月9日火曜日。
27層の魔物は〈リザードマン・アーミー〉、28層の魔物は〈リザードマン・ガーディアン〉、29層の魔物は〈リザードマン・フェンサー〉であり、〈リザードマン・アーミー〉は〈曲刀術〉を、〈リザードマン・ガーディアン〉は〈盾術〉を、〈リザードマン・フェンサー〉は〈細剣術〉を持っていた。連携はスケルトン達よりもさらに深まっていたが、〈氷魔法〉に弱かったのでなんとかなった。
本日の成果報酬68万4000円、ギルドポイント840ポイント。
6月10日水曜日。
30層の魔物は〈リザードマン・エンハンサー〉で、〈強化魔法〉の使い手だった。相変わらず〈氷魔法〉に弱かったが、強化されたパワーやスピードは凄かった。こちらもやり返してやったらおとなしくなったが。
30層のボスはリザードマン達と〈リザードマン・ロード〉だった。リザードマン達は〈氷魔法〉で倒したが、〈リザードマン・ロード〉の〈魔法耐性〉が高かった。5分間による攻防の末に〈リザードマン・ロード〉は倒れたが、今までで1番の激戦だった。
本日の成果報酬39万円。ギルドポイント900ポイント。
スニアの〈迷宮〉攻略完了である。
「スニアの〈迷宮〉攻略完了おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
「いやーここまで速く〈迷宮〉を攻略されるとは思いもしませんでした。私が知る限りでは最速の記録だと思いますよ」
「ははは、偶然ですよ。偶然」
「それでですね………〈迷宮〉の30層を攻略した人には新たな職業に就く権利が与えられます。新しい職業に就かれますか?」
「はい、就きます」
「では、こちらの部屋にお入りください。この部屋は全ての冒険者ギルドにあります、転職の儀を行うことができる部屋なんです。部屋にはお1人ずつお入りください。そこで意識を集中させると自らの新たな可能性を感じることができます。そこで表示された中でなりたいと思った職業に就くことができます」
「わかりました」
俺は転職の儀が使えるという部屋に入った。意識を集中させると、どんな職業になれるかが分かった。
〈学神〉〈武神〉〈エレメンタラー〉〈魔王〉が選べるみたいだ。〈鑑定〉を使ってみる。
〈学神〉
容量150の職業。全てのステータスが100%上昇する。ユニークスキル〈スキルコピー〉を覚える。
〈武神〉
容量150の職業。体力、筋力、耐久、敏捷の成長率を150%上昇させ、器用の成長率を200%上昇させる。ユニークスキル〈武芸者〉を覚える。
〈エレメンタラー〉
容量80の職業。
魔力、精神の成長率を120%上昇させ、智慧の成長率を160%上昇させる。
〈魔王〉
容量100の職業。体力、魔力、筋力、智慧の成長率を150%上昇させる。種族が魔王になる。
なんじゃこりゃ。どれもインフレしすぎだろ。とりあえず〈学神〉はないな。ユニークスキルがかぶっている。〈魔王〉もこれ魔物のスキル取り過ぎたからか?種族が魔王になったらヤバいだろ。これもなし、と。残るは〈武神〉と〈エレメンタラー〉か。………〈武神〉だな。俺は前衛だし、ユニークスキルも強そうだ。
すると、俺の周りが光り出し、体が熱くなったと思うと力が溢れてきた。
〈鑑定〉。
〈クウヤ・カザオカ〉
年齢:17
Lv.32
種族:人間
職業:武神
体力:31900/31900
魔力:13840/13840
筋力:3200+320
耐久:2200
器用:2510
敏捷:3200
智慧:1494
精神:1494
ユニークスキル
〈スキルコピー〉
〈武芸者〉
レアスキル
〈鑑定〉Lv.10
〈アイテムボックス〉Lv.10
〈隠蔽〉Lv.10
〈転移魔法〉Lv.10
スキル
〈剣術〉Lv.10
〈体術〉Lv.10
〈調理〉Lv.10
〈算術〉Lv.10
〈光合成〉Lv.10
〈生命力強化〉Lv.10
〈成長力強化〉Lv.10
〈体力回復力強化〉Lv.10
〈魔力回復力強化〉Lv.10
〈突進〉Lv.10
〈指揮〉Lv.10
〈投擲〉Lv.10
〈回避〉Lv.10
〈火魔法〉Lv.10
〈魔力操作〉Lv.10
〈気配察知〉Lv.10
〈気配遮断〉Lv.10
〈鷹の目〉Lv.10
〈風魔法〉Lv.10
〈短剣術〉Lv.10
〈騎乗〉Lv.10
〈操車〉Lv.10
〈契約魔法〉Lv.10
〈槍術〉Lv.10
〈弓術〉Lv.10
〈魔弓〉Lv.10
〈生活魔法〉Lv.10
〈水魔法〉Lv.10
〈土魔法〉Lv.10
〈光魔法〉Lv.10
〈剛腕〉Lv.10
〈俊敏〉Lv.10
〈解錠〉Lv.10
〈罠発見〉Lv.10
〈罠解除〉Lv.10
〈盾術〉Lv.10
〈斧術〉Lv.10
〈槌術〉Lv.10
〈武器防御〉Lv.10
〈性技〉Lv.10
〈精力増強〉Lv.10
〈鍛冶〉Lv.10
〈細工〉Lv.10
〈木工〉Lv.10
〈縫製〉Lv.10
〈物理耐性〉Lv.10
〈威嚇〉Lv.10
〈蟻酸作成〉Lv.10
〈吸血〉Lv.10
〈魔力耐性〉Lv.10
〈暗殺術〉Lv.10
〈クリティカル〉Lv.10
〈毒針〉Lv.10
〈氷魔法〉Lv.10
〈砲哮〉Lv.10
〈拳法〉Lv.10
〈曲刀術〉Lv.10
〈細剣術〉Lv.10
〈強化魔法〉Lv.10
加護
〈エルフの加護〉
称号
〈異世界人〉〈エルフの信愛〉
〈武芸者〉
ありとあらゆる武器に精通し、素手でも戦えるようになる。あらゆる武術、技術を見ただけで習得し、自分のものにできる。動体視力、反射神経、思考速度に大幅に補正。
「転職出来たみたいです」
「何の職業に就けたか参考までに教えていただけますか?」
「武神です」
「武神ですか!?聞いたことのない職業ですが、神の名が付いた職業は特別だと言います。やはりあなたは特別なのかもしれません」
「次はエレミアだな」
「はい。行ってきます」
エレミアが部屋に入ると、しばらくしてエレミアが光り出した。
〈鑑定〉。
〈エレミア〉
年齢:15
Lv.31
種族:森人
職業:奴隷/エレメンタラー
体力:22200/22200
魔力:19600/19600
筋力:2220
耐久:1220
器用:1220+122
敏捷:2220
智慧:2270
精神:2050
レアスキル
〈鑑定〉Lv.10
〈アイテムボックス〉Lv.10
〈隠蔽〉Lv.10
〈転移魔法〉Lv.10
スキル
〈生活魔法〉Lv.10
〈火魔法〉Lv.10
〈水魔法〉Lv.10
〈風魔法〉Lv.10
〈土魔法〉Lv.10
〈光魔法〉Lv.10
〈魔力操作〉Lv.10
〈剣術〉Lv.10
〈体術〉Lv.10
〈調理〉Lv.10
〈算術〉Lv.10
〈光合成〉Lv.10
〈生命力強化〉Lv.10
〈成長力強化〉Lv.10
〈体力回復力強化〉Lv.10
〈魔力回復力強化〉Lv.10
〈突進〉Lv.10
〈指揮〉Lv.10
〈投擲〉Lv.10
〈回避〉Lv.10
〈気配察知〉Lv.10
〈気配遮断〉Lv.10
〈鷹の目〉Lv.10
〈短剣術〉Lv.10
〈騎乗〉Lv.10
〈操車〉Lv.10
〈契約魔法〉Lv.10
〈槍術〉Lv.10
〈弓術〉Lv.10
〈魔弓〉Lv.10
〈剛腕〉Lv.10
〈俊敏〉Lv.10
〈解錠〉Lv.10
〈罠発見〉Lv.10
〈罠解除〉Lv.10
〈盾術〉Lv.10
〈斧術〉Lv.10
〈槌術〉Lv.10
〈武器防御〉Lv.10
〈性技〉Lv.10
〈精力増強〉Lv.10
〈鍛冶〉Lv.10
〈細工〉Lv.10
〈木工〉Lv.10
〈縫製〉Lv.10
〈物理耐性〉Lv.10
〈威嚇〉Lv.10
〈蟻酸作成〉Lv.10
〈吸血〉Lv.10
〈魔力耐性〉Lv.10
〈暗殺術〉Lv.10
〈クリティカル〉Lv.10
〈毒針〉Lv.10
〈氷魔法〉Lv.10
〈砲哮〉Lv.10
〈拳法〉Lv.10
〈曲刀術〉Lv.10
〈細剣術〉Lv.10
〈強化魔法〉Lv.10
加護
〈エルフの加護〉
称号
〈追放者〉〈永久奴隷〉〈異世界人の信愛〉
「エレメンタラーにしました」
「エレメンタラー………これも高位の職業です。いやはや、ここまで凄いとは、私感服しました。………これなら資格は十分ですね。」
「資格?何のことですか?」
「転職の儀を終えた人の中で見込みがある人には迷宮都市への推薦状が書かれることになっているんです」
「迷宮都市、ですか?」
「はい、初代勇者様が大陸の中央に創られた最初にして最大の〈迷宮〉………その名も迷宮都市ラビリンス。今も攻略されていない最古の〈迷宮〉です。ラビリンスを攻略したものにはどんな願いでも叶えられるとか」「はあ、凄そうなところですね」
「凄そうなじゃなくて凄いんですよ!今も大陸の中心として最先端の技術が生まれていますし、ラビリンス内は治外法権なのでどんな国も出だしが出来ないんです。それに、最前線を攻略するような人達の中には貴族に叙される人とか、1から国を興した人だっているらしいですよ!」
「治外法権?じゃあ、中の法律は誰が取り仕切っているんです?」
「それはもちろん、冒険者ギルドですよ!あまりに多くの人種が集まるからっていうので、他ではあまり見られない、他種族間の結婚や、重婚まで許されているらしいですよ?」
「へえ………なかなか興味深い話ですね」
「興味を持ってもらえたようですね。それでは推薦状をお渡ししておきます。迷宮都市へ向かうかどうかはあなた次第。迷宮都市へ向かう定期便は4日後、6月14日です」
「わかりました。推薦状、ありがたく受け取っておきます」
迷宮都市か………そこでなら叶うかもな。
横のエレミアを見る。
「ご主人様?どうかされましたか?」
「いや、なんでもない。宿に戻ろうか」
「はい。わかりました」
俺達は冒険者ギルドを後にし、宿屋へと戻った。