第2話
俺に浮かんだ天才的な考え。それは、「別に、ダンジョン運営しなくてよくね?」ってことであった。
ぶっちゃけ、世界征服にダンジョン経営は邪魔だ。
ダンジョンマスターは別にダンジョンの外に出ても問題ないみたいだし。
ダンジョンマスターは人間と違う固有の種族のため不老であることと、配下のモンスターの経験値が入ってくることはもちろんうまく利用していくつもりだ。
運営しないといっても放置しておくわけにはいかない。
ここで、俺の注意を引いたのは、
チュートリアルのダンジョン拡張についての説明文『システム上、入口から祭壇まではつながっている必要があります。』という一節だった。
この『システム上』というのは、ダンジョン拡張の機能では、ということだと思ったのだ。
そこで俺は、ダンジョン鑑定眼スキルでダンジョンの地質が玄武岩に似たものだと確認して、アイテム作成で生み出した『玄武岩っぽい土 1P/ℓ』で洞窟を埋めてしまった。
さすがにすべて埋めてしまうと、モンスターを召喚しようとしても土の中に呼び出してしまうみたいなので、入口のスペースは残しておいた。
想像以上の土が必要だったみたいで、15000P消費してしまったのは残念だったが、ただのくぼみにしか見えなくなったので、誰にもダンジョンだとは気付けないだろう。
こうしてダンジョンの安全を確保した俺は、町へ向かうことにした。
そして、俺は町についた。
……特に語るべきことはなかった。
洞窟の外にある草原をちょっと歩けば街道があり、街道沿いに2時間くらいのところに城壁都市があった。
ミュリエルという都市らしい。かなり治安がいいみたいだ。
入るときに、門番に『身分証(偽) 30P』を見せたら何も言われなかった。手ぶらなのは自分でも怪しいと思うが、もしかしたらほかの商隊の仲間だと勘違いされたのかもしれない。
ちなみに俺の格好は『普通の服 10P』である。
ほんと、アイテム作成さまさまだ。
町についた俺は、早速冒険者ギルドに向かうことにした。
冒険者ギルドが異世界ファンタジーの定番だから ということもあるが、
「世界征服をするためにはまず基盤となる国が必要だ。そして国を持つ方法は、王位を継承するか、簒奪するかの二つ。もちろん俺は王族でも貴族でもないので、簒奪するしかない。簒奪するには、実力・名声・コネなどが必要だ。それらを手に入れるためには冒険者になるのがベストだろう」という考えもあってのことである。
この話はダンジョン経営ものなのかって?
大丈夫。これからどんどんダンジョン機能が活躍するはず(汗)