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君が悪い 短編集

不本意ながら君の命を奪おう。

作者: 柏 紫清




昨日 こんな夢を見た。

私は君に ナイフ突き立てる。


「君なんか、大嫌いだよ。」


私は君に 突き刺すナイフを持つ手に家からを込めた。



それからこんな夢まで見た。

私は君の首に手を添えた。


「君は本当に気味が悪いから」


気味が悪い君が悪いんだ と。

あぁ、なんだか洒落みたいだね。

そう言って、

私は君の首に添えた手に力を込めた。



これは、授業中に居眠りしてた時の夢なんだけど。

授業をちゃんと受けろだなんて、真面目に説教しないでよ。


私は交差点で君の背中に手を置いて囁いた。


「君は今から血塗れになる。」

なーんて、小説よろしくカッコつけて、

私は手に力を込めた。

押し出す先は車行き交う赤信号の横断歩道。



私は君を殺そうとする。 そんな夢を何年も見た。

毎日、毎夜、夢を見る隙があればいつなん時も。

一万回見た所で数えるのをやめたこの夢。


最初は恐ろしくて堪らなかったこの夢。

今ではもう飽きてしまった。

何万回も私は私を過ごした。何万回もこの夢を見た。

もう気が狂いそうだ。狂ってるかもしれない。


ねぇ、



君を本当に殺せば、この夢を見なくて済むだろうか。


「だから。ねぇ、もう死んでよ。」

もう 疲れちゃったの。


私は君にナイフを突き立てる。





そして、 君は言った。


ナイフを突き立てる私を見て不思議そうに。


「僕を殺したい君は…何故」


  何故、泣いているの?


そう言った。

ただただ、不思議そうに。

その真っ赤な目の

虚ろとも言えるガラス玉の目の君は、ただ、そう言った。



今日も君を殺せないまま、私は目が覚めた。

そして、今日も変わらずに、私は



    君が 好きだ。





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