第十六話 「ちゃんとした装備、揃えます」
「.....よし」
スマホをポケットにしまう。
「とりあえず行くか」
家を出る。
向かう先は――以前も来た装備屋。
扉を開けると、カランと音が鳴る。
「いらっしゃい」
店の奥から落ち着いた声。
「.....あ」
リナがこちらを見て、一瞬視線が止まる。
「.....へぇ、この前とちょっと違うね」
「え?」
「雰囲気」
ゆっくり近づいてくる。
「一回、ちゃんと潜ったでしょ」
「.....分かるんですか?」
「分かるよ」
リナが少し笑う。
「無傷じゃないし、でも無理もしていない」
「いい潜り方してる」
「.....」
少し驚いた。
「なんかすごいですね」
「まぁ、見るのが仕事でもあるからね」
軽く肩をすくめる。
「で、今日は装備?」
「はい」
「いいタイミングだね」
棚の方へ案内される。
「今のままだと多分.....」
少しだけ考えてから言う。
「次、同じ運でも危ない」
「やっぱりですか.....」
ストーンボア戦を思い出す。
「ギリでした」
「でしょ」
リナが頷く。
「じゃあ、ちゃんと整えよっか」
武器を手に取る。
「今のあなたなら、軽さ優先の方がいい。重いのはまだ扱いきれない」
「確かに.....」
すぐ納得できる。
「振りが素直なやつ」
そう言って一本渡される。
「使ってみて」
振る。
「.....これ、いいですね」
「でしょ」
少しだけ笑う。
「次、防具」
並べながら言う。
「昨日みたいな相手だと、一発もらったら終わり」
「だから、”耐える”より、”避ける前提”」
「.....」
「軽めで動けるやつにする」
「はい」
迷いがない。
「あとこれ」
小さなポーチ。
「回復用。多分あなたは後回しにするタイプだから強制。」
「.....バレてますね」
苦笑する。
「大体分かる」
リナがさらっと言う。
一通り並べられる。
「この装備が、今のあなたの”ちょい上”」
「.....いいですね」
素直に思う。
「無理して上行くと死ぬからね。ちゃんと段階踏む」
「.....はい」
支払金額を見る。
「.....いけます」
「いいね」
リナが頷く。
報酬を受け取る。
少し重い。でも。
「.....なんかしっくりくるな」
「でしょ。ちゃんと合ってるやつ選んでるから」
その後軽く挨拶をして、店を出る。
外の空気。
「.....」
店の窓で少し装備を見る。
「.....強くなれる気がするな」
小さく呟いた。
その時、スマホの通知が鳴った。
登録者数。
「.....1500。まだ増えてる.....」
その時。
『白井ミオ』
「準備できてる?」
「いつでも行けるよ」
装備を見る。
「多分大丈夫です」
送信。
少しの間。
「いいね」
「じゃあ次、前のダンジョンのさらに奥行こっか」
「.....奥」
少しだけ緊張する。
でも。
「はい!」
スマホを閉じた。
「.....やるか」
「次はちゃんと戦う」




