灰色の夏
窓辺に立ち、風に吹かれると思い出す
灰色の猫を抱いていた
白いワンピースの君が
夏を感じさせる、爽やかな空の下
不釣り合いなほど暑い日差しに刺されていた
目の前が 赤に染まって遠ざかっていく 君の背
残された 灰色の毛の塊が泣き喚いて 僕も泣いた
そして いつしか涙が枯れて風に消えた
ふっと思い出す 君の思い出
透明な姿の君がそこにいるような
幻に 取り憑かれている
──コンコン。静かに 扉が叩かれる
そっと開けるとそこには あの夏の──