女神
本日は魔力測定と魔法契約の日である。
私やランセル兄は、公爵家の教育のため魔法は使えるが、普通の家庭では学院で魔法を習うのだ。
魔法、魔法と何度も連呼したが、魔法は契約する必要がある。
魔法契約というと魔法が独立しているかのように聞こえるが、魔法は精霊からの祝福だ。
色々な精霊と契約を結べばそれだけ使える魔法は増える。
フーラス家は、風魔法を得意とする。
そのため1番最初に風の精霊と契約を行う。
その他の精霊とは、公爵家では契約はしたことがないため、学院で契約は結ぶ。
しかし相性があり、全ての人間が全精霊と契約できる訳ではない。
ヒロインであるミルナー男爵令嬢は、精霊に愛されているため、全精霊と契約を結ぶのだ。
それを嫉妬したクレスタに目をつけられるというところから第一王子攻略が始まる。
ちなみに漫画は第一王子攻略目線で行われるため、第一王子のことしかほとんど分からない。
他のキャラのことは、看護師さん情報だ。
「それでは、魔力測定から始めます」
アルバース家は、代々宰相を行っている。
その嫡男であるルーツの魔力も高いらしい。
ミルナー男爵は、その上をいっていた。
そのおかげで全ての精霊からの祝福を受けられるのだろう。
私はというと
「フーラスさん。あなたも魔力最大値ですね」
あれれー?どういうことー?
おかしい。私の魔力測定は最低ランクだったはずなのに。
「それでは魔法契約を行っていきます。といっても精霊が表れなければ契約できません。フーラスさん。こちらへ」
「はい」
私は先生に呼ばれ皆の前に立つ。
「彼女は風魔法を習得しています。そして今回水魔法を習得のために、水の精霊と契約していただきます」
「えっ!?」
「大丈夫です。あなたの魔力値でしたら、簡単です。風の精霊と契約をしたときみたいに皆の前でお願いします」
おぉっと!?この先生人任せだ。やる気なしー?
さっきから私の口調が軽いって?
それが素なんだから仕方ない。
家では猫被ってないからこれでよし!
「分かりました」
文句を言っても始まらない。
とりあえず集中を行い手に魔力を込める。魔力が高まった瞬間に水の精霊を心で呼び掛ける。
「私を呼び出したのは、そなたか?」
びっくり。上位精霊ではないですか?
「はい。私クレスタ・フーラスです。水の精霊様契約を申し出てもよろしいでしょうか?」
「うむ。よかろう」
契約とは、名前をつけることだ。
「ウォーリー」
「ウォーリー。よかろう。クレスタ・フーラス。そなたに祝福を」
そう上位精霊が言った瞬間。目の前で噴水が起きた。力出しすぎた。
驚いた瞬間
自分の魔力を爆発させてしまったせいで、私は気絶してしまった。
「絢。少しは思い出しましたか」
「えっ?」
私は目を開けるとそこには異彩を放つ女性がいた。
金色のオーラがまぶしい。
「もう。まだ思い出してないんですか。もう6歳なんですから」
「女神さま?」
「そうですよ。私があなたを転生させた女神です。そしてあなたに会うのは2度目ですね」
「2度目?」
「絢としての生を終えたときに会いました。そしてあなたと契約を果たし、この世界に送ったのです」
「契約?」
「そうです。契約内容は話せません。ですが年を重ねるごとに思い出すはずですよ。なので6歳になったあなたはもう少し思い出していてもおかしくはなきはずなのに、肝心のことも全然思い出さないため、私が夢に出てきたという訳です。
絢?いえクレスタ・フーラス。もう契約事項は始まっています。早くしないと手遅れになりますよ。あなたの手助けをしてくれる方はきちんと動いてくれています。早く・・・」
女神様の姿がぼんやりとした瞬間。
ハッと目が覚める。
「クレスタ。大丈夫ですか?」
「クレスタ!?」
ランセル兄とルーカス様が私のことを覗きこんでいた。
「大丈夫です。私はどうしたのでしょうか」
「ここは、保健室です。魔力が爆発したので気絶してしまったのです」
「私のところにすぐに連絡がきてここに駆けつけたということだ。無茶をするな。心配した」
ランセル兄が優しく頭を撫でてくれる。
頭が混乱していたのか、ランセル兄の優しい行動に涙が出てきた。
何をしないといけないのかまだ分からない
協力者も本当にいるかも分からない。
でもこの二人の優しさだけは胸に沁みた。
ここは私だけでいいよ。ランセル?
いえいえ家族である私の役目です。私に連絡が来たのですから、王子のお手を煩わせる訳にはいきません。ここからとっとといなくなって、もとい早く教室に戻って下さい。
ランセル?それ言い繕えてませんから
何の話でしょうか?
あー早く僕とクレスタの2人だけで過ごしたい
これこそ婚約者である。私の特権だろう?
いえいえ兄である僕だけの特権なので。
妹のこととなるとルーカスに早く帰れというランセル。
婚約者のためと言いながら、自身が二人でいたいと願うルーカスの言い争いはクレスタが目覚めるまで続いたとか。
王子もランセルも普段から敬語でお互いに話すことはないです。
もっと砕けた話し方をします。
威圧的に追い出したい心境の2人の心の声が少し漏れ出したのが最後の語りです。