学院へ
第一王子との婚約が正式に結ばれた一週間後私は、学院に入学した。
新入生挨拶はルーツという他の公爵家の嫡男が行った。
ルーツ・アルバース
三大貴族の一つ。
フーラス家、アルバース家、ウォグレン家
これがこの世界の三大貴族。
ちなみに私ことクレスタ・フーラスは、フーラス家長女。
ルーツ・アルバースは、上に二人の姉がいる。
そしてまだ出てきていないウォグレン家については・・・また今度。
「クレスタ様」
ボーッとしている間に馬車に乗っていたらしい。侍女のマーリーが不思議そうに私を見ていた。
「どうしたの?マーリー」
「いえクレスタ様。学院への入学で疲れたのでしょう。屋敷に戻ったら、クレスタ様の好きな紅茶をご用意しますね」
私は紅茶の茶葉にうるさい。いやうるさいといってもこだわりがあるだけで、文句をいったことなんてないけれど。
6歳で紅茶好きってずいぶん大人びているの思われるかもしれないけど、まぁ実際私は。
これもここで話すにはまだ早いこと。
「楽しみにしてる。ありがとうマーリー」
「いえ。クレスタ様の気分が少しでも良くなれば私としてはそれだけで幸せです」
「マーリーは、大げさなんだから」
入学式では、特に目立ったこともない一日だった。
その翌日
平和な日が続くはずもなかった。
ヒロインであるミルナー男爵令嬢の登場だ。
彼女は、この世界のヒロインだ。
さてそろそろ私のことを話す必要がありそう。
クレスタというのは今世の名前。
前世は絢と呼ばれていた。
前世の私は、病弱で17歳で病死。
そのため外で遊んだことや家族で過ごした思い出もない。
家族がいなかった訳じゃない。ただ入院してばかりで、学校も行くことなく、家族旅行なんてもってのほか、それもそのはず両親は不仲で、家に帰れてもバラバラの家族な一緒に過ごすことはなかった。
この世界のことは、私の愛読書『クレスタ王国幸せ回収。運命を司る女神がここに』を読んで知っていた。まぁ私は、この漫画しか読んだことがなかったから、知らないことも多い。
よく分からないのは、この国の名前はフェルナンド王国のはずなのに、漫画の題名がクレスタ王国だということ。
その真相は、ゲームで明かされているらしい。
といっても私はゲームを、買ってもらえる環境ではなかったので、看護師さんから聞いた情報ばかりだ。
そう死んで《転生して》この世界にきたのに、クレスタは悪役令嬢だった。
ミルナー男爵令嬢が、攻略対象《意中の相手》と結ばれるヒロイン役。
攻略対象は、第一王子のルーカス。
兄のランセル。
今回の代表生のルーツ。
まだ会ったこともない、ウォグレン家のコロラド。
最後にマル秘攻略対象がいるらしい。
マル秘というのも私が知らないのだから仕方ない。ちなみにこれも看護師さんからの情報だ。
物語の中では、第一王子ルーカスは、物腰柔らかく、にこやかな笑みを浮かべる腹黒王子だ。
にこやかなまでは良かったって?それは、本当にいい性格をした王子だったから仕方ない。
漫画は、本人の心の声とか描かれているから分かりやすい。
ランセル兄は、クレスタの兄だが妹が嫌い。
ヒロインと出会ってからはクレスタをいないものとして扱っていた。
ヒロインには、優しく好青年の一人である。
コロラド・ウォグレンは、影のある男の子でウォグレン家では姉に苛められて幼少期を過ごす。
しかしその笑みは、幼い頃より色気ありの破壊力で、ファンクラブが多くあったぐらいだ。このファンクラブは、こちらの世界でのだけでなくという意味だ。
最後にマル秘攻略対象については、漫画からゲーム化したときに追加された設定だ。
漫画では、クレスタがよくある愛されヒロインに嫉妬して苛めや悪質な嫌がらせを行い、ルーカス王子より婚約破棄。
婚約破棄後は、国外追放となる。
王子はヒロインであるミルナー男爵令嬢と婚約し、王妃になる。
まぁぶっちゃけヒロイン至上主義な世界観だ。
これまでが漫画だけを見て知っている大まかなあらすじ。
ゲームはしていないため看護師さんからの情報として知っているのみ。
王子以外と結ばれた場合の話は全く分からない。
それを踏まえた上で私とランセル兄の関係は意外と良好だ。
クレスタ達の幼少期は漫画で描かれてなかった。もしかしたら学院へ入ったあとに、関係が崩れ私のことを嫌いになってしまうのではないかと不安でいっぱいだ。
これから日々をどう生きていけばいいのか、色々心配がつきない。
明日から毎日お兄様と一緒だね。クレスタ
一緒に学院に行くだけですよね?
うん?だから一緒だね?
いやだから一緒に行くだけで。
うん。だからお兄様とだけ一緒に学院へ行って、お兄様と一緒に昼食べて、一緒に帰るでしょ?
えっ?
えっ?
お兄様とずっと一緒にいるんだから、アイツといる時間なんてないよね?
アイツ?
うん?あの性格悪ガキもとい王子ね
お兄様。ルーカス様のこと嫌いなんですね
兄がヒロインに出会ったか出会ってないかも分からない。その日の夜の話である。
一回書いたものが全て消えた結果。
再度加筆修正しました。
少し気にくわないのでまた修正かけるかもしれません。