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悪役令嬢世に憚る  作者: 神茅 朱琳
第一章
2/5

嬉しくない


お父様が、私のことを抱いたまま屋敷に入るとお母様が駆け寄ってきた。



「クレスタ、どこにいたの?心配したわ」


「ごめんなさい」



ここは大人しく謝っておいた方がいい。

お父様は言わないでくれると言ったのだから、木の上にいたことを知られてしまわないように黙っておこう。




「まぁまぁクレスタも反省してるんだから、許してやろう?」


「あなたがそうおっしゃるなら」



と家族でほのぼのしていたところにとうとうやって来てしまった。




第一王子ルーカス・フェルナンド様


が婚約者候補として。



「この度は、お招き頂きありがとうございます、皇家ルーカス・フェルナンドです。フーラスご夫妻、そして君がクレスタ嬢かな?」



確か年は一歳上だったはず。

何だろう。この負けたって思うほどの完璧王子は。顔はイケメン。礼儀作法も完璧。

性格は・・今のとこ分からないけど完璧何だろう。



「クレスタ?」



私を抱えていたお父様に見つめられハッと我にかえる。

慌ててお父様から降りて挨拶をした。



「クレスタ・フーラスです。初めましてルーカス王子様」


「初めまして、クレスタ嬢」



笑顔がまぶしい。髪は、シルバーでキラキラと光に照らされて半端ないオーラが漂っている。



「こんな可愛らしいお嬢様と婚約できるなんて光栄です」


候補だったと思っていたのだが、決定事項だったらしい。

逃げても意味なかったみたいだ。



そっと2人を見るとお父様もお母様も、私のことを褒められ満更でもなさそう。



ここでもう一人ルーカス様の後ろで不機嫌そうにしている存在を伝えておこうと思う。

私の一つ上のランセル兄上だ。

ランセル兄は、今の今まで一言も言葉を発していない。

何故なら第一王子を睨み付けるように見ているからだ。



「ランセル?」



ちなみに兄と第一王子は、初めましてではない。学院で一緒だからだ。

幼児期の6歳から16歳まで学院に通うことになっている。

私は今年6歳のためこれから通う予定。

ランセル兄は、1歳年上のため、学院でルーカス様と一緒だ。

だから私自身は、第一王子とは面識はない。


睨みつけていた。兄のことをやっと振り返り声をかける。

さぞ今気づきましたとのように。



「うるさい。お前と仲良くしたいとは思ってない」


「そんなこと言わないでくれよ。ランセル」


「可愛いクレスタの婚約者なんて誰がきても願い下げだ」


「君の妹好きもここまで来たら大したものだね」




こんな話をしていても周りは、にこやかに眺めている。

ちなみに私も婚約はしたくない。



何故なら私はこの王子に捨てられるのは、決まっているから。



だから会いたくなかったのに。


こんな運命受け入れる必要ありますか?






それにしてもクレスタ嬢は可愛らしいね。ランセル

当たり前です!世界一可愛い妹です。あなたに勿体ないくらい

君ぐらいだよ。僕にそんなこと言う人なんて

そりゃクレスタの婚約者になるんですから、私が義理の家族です!皇家とか関係ない

へぇ。義理の家族って。婚約者と認めてくれるんだね

認めたくないですが、仕方ないですから。

いつか破棄させるかもしれませんが。今は我慢してあげます

そんなことには、ならないと思うよ。


そんな2人の会話を聞いていたのは、護衛騎士のみだったとか。



第一章ってどこまで一章か忘れてしまいそうですね


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