嬉しくない
お父様が、私のことを抱いたまま屋敷に入るとお母様が駆け寄ってきた。
「クレスタ、どこにいたの?心配したわ」
「ごめんなさい」
ここは大人しく謝っておいた方がいい。
お父様は言わないでくれると言ったのだから、木の上にいたことを知られてしまわないように黙っておこう。
「まぁまぁクレスタも反省してるんだから、許してやろう?」
「あなたがそうおっしゃるなら」
と家族でほのぼのしていたところにとうとうやって来てしまった。
第一王子ルーカス・フェルナンド様
が婚約者候補として。
「この度は、お招き頂きありがとうございます、皇家ルーカス・フェルナンドです。フーラスご夫妻、そして君がクレスタ嬢かな?」
確か年は一歳上だったはず。
何だろう。この負けたって思うほどの完璧王子は。顔はイケメン。礼儀作法も完璧。
性格は・・今のとこ分からないけど完璧何だろう。
「クレスタ?」
私を抱えていたお父様に見つめられハッと我にかえる。
慌ててお父様から降りて挨拶をした。
「クレスタ・フーラスです。初めましてルーカス王子様」
「初めまして、クレスタ嬢」
笑顔がまぶしい。髪は、シルバーでキラキラと光に照らされて半端ないオーラが漂っている。
「こんな可愛らしいお嬢様と婚約できるなんて光栄です」
候補だったと思っていたのだが、決定事項だったらしい。
逃げても意味なかったみたいだ。
そっと2人を見るとお父様もお母様も、私のことを褒められ満更でもなさそう。
ここでもう一人ルーカス様の後ろで不機嫌そうにしている存在を伝えておこうと思う。
私の一つ上のランセル兄上だ。
ランセル兄は、今の今まで一言も言葉を発していない。
何故なら第一王子を睨み付けるように見ているからだ。
「ランセル?」
ちなみに兄と第一王子は、初めましてではない。学院で一緒だからだ。
幼児期の6歳から16歳まで学院に通うことになっている。
私は今年6歳のためこれから通う予定。
ランセル兄は、1歳年上のため、学院でルーカス様と一緒だ。
だから私自身は、第一王子とは面識はない。
睨みつけていた。兄のことをやっと振り返り声をかける。
さぞ今気づきましたとのように。
「うるさい。お前と仲良くしたいとは思ってない」
「そんなこと言わないでくれよ。ランセル」
「可愛いクレスタの婚約者なんて誰がきても願い下げだ」
「君の妹好きもここまで来たら大したものだね」
こんな話をしていても周りは、にこやかに眺めている。
ちなみに私も婚約はしたくない。
何故なら私はこの王子に捨てられるのは、決まっているから。
だから会いたくなかったのに。
こんな運命受け入れる必要ありますか?
それにしてもクレスタ嬢は可愛らしいね。ランセル
当たり前です!世界一可愛い妹です。あなたに勿体ないくらい
君ぐらいだよ。僕にそんなこと言う人なんて
そりゃクレスタの婚約者になるんですから、私が義理の家族です!皇家とか関係ない
へぇ。義理の家族って。婚約者と認めてくれるんだね
認めたくないですが、仕方ないですから。
いつか破棄させるかもしれませんが。今は我慢してあげます
そんなことには、ならないと思うよ。
そんな2人の会話を聞いていたのは、護衛騎士のみだったとか。
第一章ってどこまで一章か忘れてしまいそうですね
加筆修正