このときより、我が教会は戦を回避するための戦場となる! 皆、死ぬ気で取り掛かれっ!!
またまた視点変更。
誤字直しました。ありがとうございました。
こんにちは、わたくし中立派司祭のクレメンスと申します。
尊敬していた先代教皇猊下がご逝去なさり早三年――――
次期教皇選定の儀。
あれは一体、なんだったのでしょうか?
神聖な、次期教皇様をお決めになる場で。次期教皇候補だった、と言うのも憚られますが……お二方が、とんでもない宣言をした後、醜い争いを始めました。
言葉によって決意表明、神へと宣誓する場で暴力に訴え・・・その結果、お二方共に正反対の意味で健康に悪そうな体格しておいででしたので――――
殴り合いの最中。片方は血を吐き、もう片方は鼻血を吹いて、回復魔術の甲斐も無く、お二方共ほぼ同時に神の身許へ旅立ちになられました。
その後、彼らの言動が神の不興を買い、天罰が下ったのだと誰かが言い出しました。
その通りだとわたしも思いました。一部、不謹慎な方はあの二人は地獄へ堕ちたのだと笑っておりましたけれど。
そして――――次期教皇として立候補していた方々が続々と辞退なさりました。
高位の司教様から、順に教皇猊下となることを勧められていましたが・・・その方々も次々に辞退なさり、ついには中堅の司祭にまで教皇へという話が出たところで、「年功序列で考えては如何でしょうか?」との声が上がったのです。
天罰を間近で見、怖気付いた方々は高齢の方を見渡し――――最高齢の八十九歳という年齢の現役司祭、ロマンシス様を教皇に決めてしまわれました。
ロマンシス様はボケの不安や健康面での不安などなど、泣き言や泣き落としでどうにかお断りなさろうとしていましたが……
あの方、いつも孤児院の子供達と戯れる姿を皆さんに見られていましたし。更に言えば、子供達と走り回るお姿も見受けられ、おまけに教会で保護している数百人はいる孤児達の名前を一人一人覚えていらっしゃるそうです。山に登るお姿も見られていたのだとか。
少なくとも、直前に亡くなられた候補お二方よりも健康面への不安はなさそうですね。数百名もの孤児達の名前……それも、名前すら付けられずに捨てられていた赤子に新しく付けられた名前まで、確りと憶えていらっしゃるそうなので。暫くはボケることもないのではないでしょうか?
と、このように次々と論破され、ロマンシス様は駄々を捏ねて嫌がりましたが、満場一致でロマンシス様が新たな教皇猊下となることが決定致しました。
すると――――
「菓子配りジジイが新しい教皇かよ」「あの爺さん、ガキにやたら甘いだろ」「チョロそう」「側近とかなったら、楽できそー」「でも、ジジイの介護とか嫌くね?」などなど、不謹慎且つ口の悪い若い人達がひそひそとロマンシス猊下を侮り、笑っていました。
けれど、その笑いは一瞬で驚愕と怒りへと変わりました。
「・・・では、わしが教皇となるのであれば、人事権、任命権は全てわしにあるということじゃな!」
ロマンシス様がそう据わった目と低い声で仰ると、
「現在上級司教、司祭の座に就いとるもんを総入れ替えじゃ!」
次いで、とんでもないことを宣言されました。そして、名前も聞いたことのない方や書庫の番、樵と称されている方、孤児院の運営に携わっているシスターや針子部屋のシスターなどなど、おそらくはご自身のご友人と思しき方々……それも、ご老人の方々の地位を無理矢理上げて行ったのです。
「そんなの横暴ではありませぬかっ!?」「ご友人だからと贔屓なさるおつもりですかっ!?」「このようなこと、許されるはずがありませんっ!?」「教皇の座に就いて早々権力の乱用かっ!?」と、役職を入れ替えられた方々から一斉に湧き上がる非難轟々。
その非難や文句、怒りに対し、
「そうじゃの。職権乱用じゃ。なれば、わしと代わってくれぬかの? わし、今すぐ教皇を辞してもよいのじゃが?」
ロマンシス様は、それはそれは非常に威圧的な笑顔でお応えになられたのです。
皆様、直前の天罰を恐れ、ロマンシス様の人事任命、職権乱用については沈黙しました。任命されて地位の上がった方々も一斉に口を噤み――――
新たな教皇、ロマンシス猊下の職権乱用の人事任命が罷り通った瞬間でした。
それからが、怒涛の展開。
「では、これより先の候補だった者らの後始末を開始するっ!!」
いつもの好々爺然とした面持ちではなく、険しいお顔での宣言でした。
「トム爺、其方はこれより黒曜の森にて魔獣討伐じゃ。一個大隊を連れ、まずは隣国へ抜ける道までの露払いをせよ。それから、順次周辺諸国までの最短ルート上の邪魔な魔獣を退けよ」
「へっ、この年になってまた戦場に戻れるとは思わなんだぜ」
低い嗄れ声が応えました。
トム爺という方は顔に深い疵痕があり、樵と称されているご高齢の方です。いつも、林近くの番小屋で薪割りをしている無口な方なのだそうです。
「呉々も、ギックリ腰には気を付けるのじゃぞ」
「誰にものを言ってんだ。俺は、お前と違って毎日薪割りをしてるんだ。ふっ、久々にハルバートが唸るぜ」
「張り切り過ぎて、要らん殺生をせぬようにの。シスター・マリッサよ、トム爺の露払い後の浄化を頼むのじゃ。アンデッドを出さぬようにの」
「……仕方ありませんね」
やれやれとお応えになったのは、若い修道女を指導していらっしゃる老シスター。
「レンブラントよ、其方は各国へ交渉と根回しをし、前候補の送り込んだ、他国へ害を及ぼし兼ねない人材の回収を急ぐのじゃ」
「マジかー。わし、悪魔祓い専門なんじゃけどのー」
レンブラント老は悪魔祓いのスペシャリストでしたが、十数年前に引退して後任を指導……する予定でした。しかし、指導が厳し過ぎて付いて行ける人が居らず、人材潰しと言われて指導員から閑職の書庫番へと回された方だったはずです。
「甘言を弄し、堕落を唆し、一歩間違えば宿主が取り殺される悪魔より、外交のがなんぼか楽じゃろ。さっさと行って来い。道中、片っ端から見掛けた悪魔を祓って恩を売っておくのもありじゃ。秘蹟の大盤振る舞いしても構わぬ」
「あ~……そんじゃ、見掛けたら適当に祓っとくわ」
「それから、グレゴリー。其方は直ちに疲労回復薬、魔力回復薬、解毒薬、気付け薬、酔い止め薬の量産に取り掛かるのじゃ。在庫を使い切る勢いで大量生産じゃ」
グレゴリー老は、居眠りばかりして医務室の置物と言われているよぼよぼのご老人です。
「ほいさ~」
と、ロマンシス猊下は矢継ぎ早に無理矢理地位を上げたお年寄り方に指示を出して行きます。
「元貴族、外国に伝手のある者は、親類縁者からどんな些細な情報でも集めるのじゃ!」
そう言って、
「とりあえず、リジェネを掛けておくでの。暫く……一週間程度は保つじゃろ」
議事堂全体へと大規模なリジェネを施されました。通常、リジェネは継続的な微回復の魔術ですが、数時間で効果が切れてしまうはずです。それを一週間も持続させることができるとは、回復魔術の名手ではありませんか!
「このときより、我が教会は戦を回避するための戦場となる! 皆、死ぬ気で取り掛かれっ!!」
有無を言わさぬ……まるで、軍人のような威圧的な命令。そこには、『お菓子配りおじいちゃん』や『徘徊老人』呼ばわりされても、にこにこと笑っていた好々爺然とした面影はありません。
「高位の回復魔術を使える者は蘇生魔術を行使できる者に習い、できるだけ早く習得せよ! 転移、転送魔術が使える者は、伝令係じゃ! これから直ぐに関所、周辺諸国の基点教会へ移動し、転移、転送陣を刻んでとっとと戻って来い! 馬に乗れぬ者は、騎士に乗せてもらえ! そうでなくば、馬車に詰め込まれて運ばれろ! 馬車酔いする者は気絶させて突っ込んでおれ! 魔力回復薬、体力回復薬、酔い止め薬、気付け薬をありったけ持って行け! 特に魔力は、枯渇する前に回復を忘れるでないぞ! 馬も適宜回復させ、潰すでないぞ!」
転移、転送魔術は使える方が稀少な高位の魔術です。他人を転移させるより、物や自分を転移、転送する方がまだ魔力消費が少ないのだと聞いたことがあります。とは言え、転送自体が高難度で魔力を食う魔術なのですが。
「魔獣討伐部隊はわしが編成し直し、トム爺の指揮下に順次送り込む。聖騎士は、転移、転送魔術師達の護衛。そして、道中の賊共を討伐せよ!」
「教会総本山であるこの地の守護はどうなりますっ!!」
「五月蠅いわ! そんなの、短期間なれば結界張ってりゃどうにでもなる! シスター・アガタよ。結界魔術が得意な者らで、一月は持ち堪える結界を組むのじゃ!」
「無茶振りですが……仕方ありませんわね。仰せのままに」
「食事を作り続けよ! 片手で食べられる軽食を、常に用意せよ! 茶、コーヒーも切らすでないぞ! 資金が無いなら、前候補の集めておった宝飾品を売っ払って作れ!」
こうして、教会に所属してより経験したこともない……阿鼻叫喚の修羅場な数週間が幕を開けたのです。
ロマンシス教皇猊下はまず、猛然とあちこちへお手紙を書くことからなされました。
「ぁ~、しんどいわー……」
愚痴を零しながら、書類から顔を上げることなく片手で食事をし、コーヒーや紅茶、ハーブティーをがぶ飲みし、トイレへ駆け込み、偶に血を吐いてはご自身で回復されたり、回復薬を飲んだり、回復魔術を掛けてもらったりして、手を動かし続けます。
三日程徹夜が続いた頃でしょうか。
「猊下、司教様が気絶しています!」
「スリープ掛けて、三十分経ったら解呪して戻せ!」
と、眠気がマックスに達した人は強制昏倒と強制起床。
「猊下っ、司祭様の心臓が止まっていますっ!?」
「心臓叩いて蘇生魔術掛けておけ。死んでないなら生き返る。起きたら回復魔術掛けて作業を再開させよ」
という、鬼の如く非情な命令。かと思えば、
「逝かせはせん! 逝かせはせんぞ! 貴様一人死んで楽になどさせて堪るかっ!?」
このようにご友人方を、とても情熱的に現世へと繋ぎ留めるのです。
「ぐわ~っ!!」
「ヘンリックが発狂したぞ~っ!!」
「スリープで昏倒させ、外で鎮静魔術と水ぶっ掛けて、その辺に転がしておけ。風邪はひかせるでないぞ。手が減るからの」
と、穏やかに眠ることも、死ぬことも、発狂すらも許されず、黙々とロマンシス教皇猊下の命令に従いました。
六日程経った頃。
「ぁ~……しんどっ、なのにまだまだ終わる気配が無いとかあり得んわー……」
低い声で呟かれた後、
「チョコレートと飴玉を持って来い! かき集めるのじゃ!」
という意味不明な命令。けれど、この頃にはロマンシス猊下の命令に疑問を持つ人は少なく、すぐに教会中の……孤児院などの子供のおやつ以外の、教会関係者の私物のチョコレートや飴玉までもがかき集められました。
「猊下、一体なにを?」
「そろそろわしのリジェネが切れる頃じゃからの。上質なチョコレートは結晶構造が均質化しておって、魔力を長期間籠めるのに向いている。飴は結晶構造が不均質で、長期間魔力を留めるには向かぬが、飴自体を殻に見立てることで中に魔力を閉じ籠めることができる。また、透明な飴だと可視化できるため、魔力を籠める練習には透明な飴の方が向いている……」
ぶつぶつと魔力講義のようなことを呟いて、かき集められた大量のチョコレートと飴玉にせっせとリジェネの魔力を籠めていらっしゃいました。ロマンシス様の魔力を帯びて仄かに光る透明な飴玉は、芸術品のようにも見えました。
「遠征に行った者達へ配るのじゃ」
転送魔術の使える伝令係に大量の飴玉とチョコレートを託し、
「教会に残っとる者には、直接掛けるかの……よっこらせ、っと」
魔力回復薬をがぶ飲みし、顔色を悪くしながらもよたよたと立ち上がり、初日のように大規模なリジェネを皆さんへと掛けてくださったのです。
リジェネで段々と体力は回復して行くのに、終わりの見えない作業に絶望する人が後を絶ちません。
最初の教皇候補だった……俗物な方のシンパだった方達などは、ロマンシス様を見るだけで身体がガタガタ震え出す程に恐れるようになってしまいました。
初日にロマンシス様をチョロいなどと言っていた若者も、恐ろしい化け物でも見るような目を……ロマンシス様と、無理矢理要職に就けられたご老人方へ向けています。
そう言えば……誰か、年配の方が言っておりました。ロマンシス様は、元々魔獣討伐部隊の僧兵なのだそうです。
後方支援部隊の副指揮官にまで上り詰めた優秀な方だった、とのことです。それを耳にし、軍人のような威圧的な号令と少々荒っぽい命令の数々にも納得致しました。
なんでも、最前線にいた……魔獣の血に幾度も塗れ、鎧に黒い血がこびり付いて落ちない様から黒血の聖騎士と称される聖騎士トマス様、現在は樵のトム爺と称されているお方ですが。と、食糧配給を巡って何度も対立し、各々得意な魔術と拳とで語り合った、互いの実力を認め合う仲なのだとか。
ご両名の現在のお年寄り然とした様子からは信じられない話なのですが、人は見掛けに寄らないものですね。
また、「どこが穏健派だよ、バリバリ武官じゃねぇかあのジジイ」という誰かの文句には、「真の穏健派とは、穏健であることを守るために修羅となる」と、年配の誰かがそう答えておりました。
まさに、ロマンシス様の在り様を的確に示しているお言葉ですね。
こうして、まるで生きる屍……ゾンビのような顔色となりながら、ある種の地獄のような修羅場が続いて行ったのです。
漸く、長い、果てしなく長かった――――地獄の後始末の終わりが見えた頃。
どこぞの国の王太子ゲスナーが、「本物の聖女との結婚を認めろ。そして、真の聖女を虐げた聖女を騙る偽者を処刑しろ」だとか言う、頭のおかしなことを主張して教会に乗り込んで来ました。
ロマンシス様は……神聖魔術を駆使し、簡易的な神前裁判を行い、本物の聖女を騙るシスター・カスリンの虚偽とシスター・カスリンの施した禁術に溺れた王太子ゲスナーに房中術の危険性を説き、偽者として処刑を望まれたシスターをお救いになられたのです。
それでロマンシス様が本物の大聖者であらせられることが判明。なぜ、大聖者であることを明かし、教皇の座に就かなかったのかと問うも……我が教会には、なにげに隠れた聖者や聖女が昔からいたということも判明致しました。
確かに、神聖魔術の行使ができるからと、同じく神聖魔術の行使ができる目上の方を尻目に、ご自分が教皇に立候補するなど、できようはずもありませんが……非常に複雑な気分です。
こうして、ロマンシス様が真に教皇猊下に相応しいことが証明されたのです。
そして王太子ゲスナーは……禁術に近しく、色情狂いになったり性病に罹ると言った危険な副作用を伴うが故に廃れた、房中術系統の回復魔術を行使するシスター・カスリンを自国に寄越した責任を教会に問い、国際問題とする、と脅すようなことを言って自国へ帰られましたが――――
普通に無理ですね。
冷静に考えて、です。王太子ゲスナーは、房中術で不特定多数の男性と関係を持っていた身持ちの悪いシスター・カスリンと関係を持っていた上、そのシスター・カスリンを王太子妃に望んでいたのです。
どう考えても、通称下の病の危険性を心配されるはず。更に言うと、シスター・カスリンを我が聖女と言って寵愛し、傾倒していたことは明らか。
王太子ゲスナーには以前の婚約者がいたはずですし。その方がどうなったのかは知りませんが……最悪、シスター・カスリンの産んだ子に王家を差し出すため、王家乗っ取りに加担したと見做される可能性だってあるのです。
元とは言え、末端の貴族子息であったわたしでも、このくらいのことは予想できるのです。逆を言えば、このくらいのことすら判らなくなるくらい、王太子ゲスナーはシスター・カスリンに傾倒していたということです。
王太子ゲスナーの国がまともであれば、シスター・カスリンとの結婚を認めるよう、教会に出向いた時点で、ゲスナー殿下の王太子位は剥奪されていることでしょう。
周辺諸国へ訴えるなど、自国と己が恥を晒して吹聴して歩くようなもの。なんだったら、もう王族ですらないのかもしれません。引き連れていた一行諸共、国に帰ると捕縛されていたり……など、するかもしれませんね。
まあ、他国のことですし。どうなるかなど、その国の偉い方がお決めになることですが。
教会に害が出るようなことにならなければいいのです。
というか……ロマンシス様は、あのような愚かでアンポンタンな花畑王族が色情狂いなどになり、国を乱すことを予見されて、元教皇候補であった俗物の手の者を各国からの回収をお命じになられたのですね。
なんたる慧眼でしょう!
こうして、地獄のような後始末の日々は一段落したのでした。
神聖魔術の行使。及び、ここ数週間の疲労が一気に限界に達したのか、ロマンシス教皇猊下は後のことをその場にいた者に任せ、寝室で爆睡されています。
ロマンシス様が爆睡されている間に、我が国の国王陛下から勅使が遣わされ、ロマンシス教皇猊下からのお返事を迫られました。
猊下はただ今、非常にお疲れのご様子なので、お返事は明日まで待ってください。と、どうにか陛下の勅使にお帰り願い、毛布に包まり爆睡されている猊下から毛布を引っ剥がし、国王陛下へのお返事をされるよう頼んだのですが――――
まさか、猊下が国王陛下の大叔父で、且つ元侯爵家の血筋という驚きの事実が明かされました。そして、国王陛下のご用事がまさかのお菓子の催促とは……
少々呆れながらも、ふと……猊下が国王陛下の血縁であると知っている方は、かなり少ないのでは? と思い至り、妄りに口にしないと心に誓いました。
そして・・・疲労困憊で倒れそうな方から順に休養し、比較的回復の早い若い人達が集まり、猊下のお付きや侍従、護衛をどうするかという相談がなされました。
結果。集った若い人は、誰一人やりたがらないという事態に。
曰く、「あんな鬼ジジイに付き合うの無理」「軍隊の訓練の方がましってどういうこと?」「お付きになったら、絶対過労死する……」「ヤだ、教皇怖い、あのおじいちゃん教皇怖い……」「ジジババ怖い」「まだ死にたくないんだっ!?」「俺、還俗しようかな……」などなど。
全くお話にならなかったですね。
なんとも失礼な話です。ロマンシス教皇猊下は、本物の大聖者であらせられるのですよ? それも、他宗教との戦争や周辺諸国の情勢悪化を、心身共にあれだけぼろぼろになりながらも食い止めた、素晴らしいお方です。
お仕えすることを光栄に思うどころか、本気で恐怖するなど。失礼極まりない!
ということで、ロマンシス教皇猊下のお付きとして立候補したわたしが、当面の間は一人で猊下のお世話をすることに決まりました。
では、早速……猊下が冷たくなられていないかご確認を。なにせ、あの修羅場の最中、猊下も何度か心臓が止まってしまいましたからね。
合い鍵を使い、猊下が呼吸していることを確かめ、安心致しました。
それから、猊下が一日半も寝続けてとても心配になりましたが。無事に起きてくださってほっと致しました。
こうして、わたしは猊下のお付きになったのですが・・・これから先も、猊下の言動の数々。そして、猊下の隠しておられた真の実力の数々に振り回されることになるのです。
読んでくださり、ありがとうございました。
視点変更苦手な方はすみません。(´-ω-)人
ヤトヒコ作品初見の方や、短編は読んだことあるという方はあまり知らないでしょうが、実はヤトヒコは連載では視点変更し捲る系の作者です。(*ノω・*)テヘ
というワケで今回は、内心ではロマ爺をめっちゃ尊敬しているツッコミ属性、ツンデレ科目なクレメンス君視点。そして、地獄の後始末死の行軍中の出来事。
なんか、割とハッスルした僧兵(軍人)モードなロマ爺の自業自得感が……でも、ロマ爺が張り切ったから、無事に戦争回避できました。ꉂ(ˊᗜˋ*)
ロマ爺「ち、違うんじゃ! わしはただ、戦争回避に必死だっただけなんじゃよ! 無実じゃ! 普段はあんなマッチョな思考はしとらんのじゃ! 信じとくれ!」ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿
樵のトム爺……魔獣殺し、黒血の聖騎士トマス。魔獣のスタンピードで住んでいた地域が壊滅。家族や近隣住民の殆どが殺されたことで魔獣を憎み、血の滲む努力で教会の魔獣討伐専門部隊に入隊。
国ではなく、教会の魔獣討伐部隊に入隊したのは、請われれば周辺諸国や貧しい地域など、場所を問わず赴くから。
常に最前線でハルバートを振るい、魔獣を叩き斬り、魔獣の血が乾く間もなく鎧にこびり付き、鬼気迫る形相から魔獣殺し、黒血の聖騎士などの異名を付けられる。
ロマ爺とは、魔獣討伐部隊所属の若かりし頃よりの付き合いで同い年。
後方支援部隊(補給物資を届けに、普通に最前線まで行くよ)のシスとは食糧配給を巡り、
トマス「もっと食い物寄越せ! 足りねぇんだよっ!? ブチ殺すぞコラァっ!!」L(゜皿゜メ)」
シス「ふざけるな! これ以上減ったら、次の食糧補給まで保たないって言ってるだろっ!? 部隊全員を餓死させる気かっ!?」(っ`Д´)っ・:∴
と、拳や攻撃魔術で語り合い、実力を認め合った仲。
現在は、林の近くの番小屋に勝手に棲み付き、薪割りをして暮らしている寡黙なおじいちゃん……と思われている。現役時代より衰えてはいるが、ちょームキムキ。偶に一人でこっそり魔獣を倒しに行ってる脳筋ジジイ。
魔獣討伐ヒャッハー! と張り切り過ぎて、修羅場終了後は筋肉痛で寝込んでいる。
ちなみに、若かりし頃のシス君は餓えた蛮族騎士(トマスとか)から食糧を守ってくれる食糧庫の守護者なんて呼ばれていたり……(((*≧艸≦)ププッ