くっ、かぜのにぃににもてあそばれたっ!?
視点変更。
ふっふっふ、われらはつい先程……強大な力を手に入れたのだ!
上位精霊のにぃにとねぇね達の力とろまんしすの魔力のい~っぱい籠った聖剣。その名も、曙光の結晶という名を冠する『れいず・くりすたる・きゃんでぃー』! 粉々に砕け散ったそのキャンディーを、早い者勝ちで食べたのだ!
魔力たっぷりでおいしかった!
とっても食いしん坊で、昔からろまんしすと食べ物のことでよく喧嘩していたとますが、ぐれごりーのお部屋から聖剣『れいず・くりすたる・きゃんでぃー』と魔剣『びたー・すくりーむ・ちょこれーと』を、どこかへ持って行こうとしていた。
きっと、独り占めしようとしているに違いないと思った。普通の人間なら、あんなおっきいおかしは一人で食べられないけど、とっても食いしん坊なとますなら十分あり得る。
それに万が一、とますがろまんしすとぐれごりーの作ったおかしに異物混入をしないとも限らない。故に、そのおこぼれを狙っ……じゃなくて、見張りのために付いて行った甲斐があったぜ!
とますが『れいず・くりすたる・きゃんでぃー』を木に叩き衝けた瞬間、パキィィィンっ!! と澄んだ音を立てて、上位精霊達の力がぶわっ! とたくさん溢れ出した。
砕け散り、地面や草の上にキラキラと幻想的に輝きながら落ちたキャンディーを、われらはすかさず頂いた。
食べた瞬間、われは自身の力がすっごく進化したことを確信したのだっ!! えっへん!
ふっ、上位精霊のにぃにやねぇね達のすっごくすごい力と、ろまんしすとぐれごりーの魔力がみなぎるぜ!
これなら、われらを爆笑しあざわらう、あのにっくき風のにぃににも勝てる!
そう、思っていたときだった。
『な~んか、こっちの方ですっげー精霊の力が解放されなかったかー?』
すっごく聞き覚えのある声がした。
『『『かぜのにぃにっ!?』』』
『お~っす、チビ共。元気してたかー?』
いつもわれらを爆笑する、風のにぃにが現れた!
『かぜのにぃにがあらわれたぞーっ!? かかれーっ!!』
と、われは周囲の下位精霊達へと号令を掛けた。
『いまのわれらにてきはなし! にぃにをやっつけろーっ!!』
『『『おーっ!!』』』
周囲の下位精霊達と共に、風のにぃにに一斉に飛び掛かる。
くっくっく、強くなったわれらのぎゅうぎゅうの体当たりだっ!!
にぃにもさぞかしダメージを受けたことだろう。にぃにが、われらを爆笑したことをごめんなさいすれば、許してやってもいい……と、そう思った。
『はっはっは、お前らチビ共は相変わらず俺のことが大好きだなー! そ~んな寄って集っても、俺は一人しかいないぜ?』
なのにっ!? にぃには全く、なんの痛痒も感じていなかっただとっ!?!?
『よーし、よし、遊んでやるからなー。ちょっと待ってろよ?』
そう笑うと、にぃにはくるっと指先を回した。途端、ビュオォォォっ!! と轟風が吹き、強い魔力がわれらを巻き込みくるくると風が回った。
『『『きゃーっ!?』』』
『はっはっは、そうかそうか、楽しいか。よかったなー! ほれ、もっと回れ!』
数分もにぃにの魔力にくるくる回され、ぐるぐると目が回った頃。
『あ? あ~、なんだよ、ロマンシスの野郎水臭ぇな。そんなワクワクする聖剣と魔剣作りに俺を召喚ばないだなんてよー』
近くにいた精霊に事情を聞いた風のにぃにが、ちょっと不貞腐れた顔をしていた。
『んで、上位精霊達の力の籠った聖剣……という名の飴が砕けたのが、さっきの精霊の強い力が解放されたように感じた原因かー。あ~あ、俺も聖剣見たかったぜ。うん? 魔剣は残ってる? うっし、じゃあ魔剣の方見に行くか! っつーワケで、チビ共! じゃあ気が向いたらまた遊んでやるからな!』
『『『うん、にぃにまたねー!』』』
『あ、それと、遊びでも俺倒すつもりならもっと力付けろー。お前ら、めっちゃ弱いんだからさー。はっはっは!』
と、にぃにはまたしてもわれらの心を抉って、笑いながらろまんしすの厨房に保管された魔剣『びたー・すくりーむ・ちょこれーと』を見に行った。
『くっ、かぜのにぃににもてあそばれたっ!?』
せっかく手に入れた、すっごくすごい上位精霊のにぃにやねぇね達の力を以てしても、まだわれらはあの風のにぃにに届かないというのかっ!?
われの全力の加護、『危険な転び方をしたとき一回だけふわっと転ぶ』が、『危険な転び方をしたとき、三回までふわっと転ぶ』という、三倍のすっごくすごい加護に進化したというのにっ!?
われらはもっともっと力を溜め、いつか風のにぃににぎゃふんと言わせてやるのだっ!!
読んでくださり、ありがとうございました。
精霊視点再び。加護の回数三倍にパワーアップというすっごくすごい力を手に入れた下位精霊の風のにぃに襲撃……というか、むしろ襲撃された感じ? な話でした。(((*≧艸≦)ププッ
風のにぃに……風の中位精霊。下位精霊や微精霊がお菓子を育てようとして奮闘していたのを見る度、大爆笑した。
下位精霊達にちょびっと恨まれていて、顔を合わせる? 度にめっちゃ体当たり(攻撃)されている。しかし、本人は下位精霊達に好かれていると本気で思っている。
ちなみに、本人に悪意や悪気は一切無い。そして、一番持っていないのはデリカシーかもしれない。その大雑把さと気紛れさ故に、上位精霊に進化できていない。
風の精霊『あん? 空気読め? なに言ってんだ。俺が空気みたいなもんだろ? つまり、ヒト種や動物共は俺を読むんだぜ!』(*`▽´*)
『それにしても、ロマンシスの野郎水臭いぜ。俺も召喚でくれりゃ、聖剣と魔剣作るのに手ぇ貸したってのによー』( ・`ω・´)
下位精霊『かぜのにぃには、おおざっぱすぎるからよばないってロマンシスいってたー』(ヾノ・∀・`)
『ねー? それににぃに、ちゅーいせいれいだし。せーけんとまけんは、じょーいのにぃにとねぇねにしかたのまないってー』♪( ´∀`)人(´∀` )♪
『さぎょーがせんさいだから、おおざっぱなかぜのにぃに、じゃまってー』ꉂ(ˊᗜˋ*)
風の精霊『はっはっは、それならしょうがねぇな! 俺、繊細な魔力操作とか苦手だしなー』(*`▽´*)
カイト「うおっ! なんか今日、いきなりめっちゃ風強くなったな? 洗濯物大丈夫か?」(´・ω・`)?