表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

SS集05 鏡花とマサツグ

 (まこと)と旅行に行って来たので、篠原(しのはら)さんにお土産を買って来た。夕方ぐらいに行けば大体起きているので、適当に良さそうなタイミングを狙って部屋を出て隣に行く。

 呼び鈴を鳴らせば起きていたらしく鍵を開けて貰う。そして玄関まで来てくれた篠原さんの腕には…………小さな可愛らしい子猫が抱かれていた。


「え、えっ!? 可愛い!? ど、どうしたんですかこの子!?」


「いらっしゃい鏡花(きょうか)ちゃん。この子はね~最近飼い始めたマサツグだよ」


「わぁ! 可愛いなぁ~」


 篠原さんが抱いている子猫を見せてくれた。私は犬派だけど、猫だって嫌いじゃない。可愛い生き物は何だって好きだよ。

 たぬきとかミニ豚とかも可愛くて良いと思います。それにしても小さくて可愛いなぁ~マサツグ君、ペルシャ猫だよね。

 ちょっと鼻ぺちゃな所が可愛らしくて良い。まだ生まれて半年ぐらいらしくて、体はまだまだ小さいままだ。

 だけど毛はしっかりと伸びて来ていて、十分モフモフしている。とっても可愛いし三角の耳がピクピクしているのも良い。

 初めて会ったからまだ警戒されているのかな? 早く慣れて欲しいなぁ~犬と違うのは人懐っこくない所だよねぇ。


「でも良くペットなんて飼おうと思いましたね?」


「今は咲人(さきと)が居るからね!」


「あ、なるほど」


 今となっては(あずま)君が居るから、篠原さんの家は以前ほど散らかっていない。それでも空のペットボトルがリビングの床に転がっているけど。

 捨てれば良いのに、なんて篠原さんに向かって言うだけ無駄なんだよね。それが出来たら最初からやっているから。

 それをこれまでの付き合いで、嫌と言う程思い知らされている。今更私がどうこう言う事じゃないし、東君がそれで良いなら良いんだよ。

 大体そんな事を言ったら真だって物好きだからね。私の様な地味な女子を相手に本気で恋をしてくれたのだから。


「マサツグ君、よろしくね!」


「にゃ~」


「わ! 返事してくれましたよ!?」


 篠原さんは笑いながら、マサツグ君をリビングの床に下す。見に来ていない間に増えていた猫関連のアイテム群から、私は猫じゃらしを受け取る。

 マサツグ君の前でヒラヒラと振ってみると、興味を示して猫パンチを繰り出している。とても良い、非常に可愛いですよコレは。

 サクラちゃんとも遊びたいけど、マサツグ君ともこれからは遊びたい。そして私も早く犬が飼いたい。

 それには大学を出て、真と同棲を始めるまでお預けなんだよね。今の家は篠原さんに借りているだけだから、ペットを飼う訳にはいかないし。

 気持ちとしては今すぐにでも飼いたいけど、まだもう少し我慢しないといけないよ。


「あ……順番が逆になっちゃったけど、これお土産です」


「おお~ありがとう! 良いねぇ温泉饅頭!」


「東君の分もありますから、2人でどうぞ」


 真と先日の連休で行った温泉のお土産は、ベタだけど温泉饅頭にした。前にも行った温泉に、再び2人で行って来たんだよね。

 就活とかインターンとか色々と大変だけど、それでも真と2人の時間はちゃんと取っている。

 そのせいで篠原さんに会う機会が減っているけど、今の篠原さんには東君が居る。たまにこうして会いには来ているけれど、お邪魔にはならない様にしているつもり。

 来ないなら来ないで、会いたいって言われるから配分が難しい。私達が大学生になっても、篠原さんのそう言う所は変わらないままなんだよね。

 本当に結婚しても会いに来て欲しがるのかな? そうなりそうな予感は結構あるけど。これまでを見ている限り。


「あ、そうだ。真がまた4人で遊びにいきましょうって、言ってましたよ」


「おお、良いねぇ~咲人と鏡花ちゃんで両手に花だ」


「いやそうはなりませんから」


 相変わらずの言動だけど、雰囲気は少し変わった様に感じる。女性は恋をすると変わるって言うけれど、前より色っぽさが増した気がするなぁ。

 元が美人だからか、余計にそう思ってしまうよ。私も高校の頃に、変わっていたのかなぁ?

 変化は色々あったけれど、こんな風に魅力的に見えていたのかな? 真は何をやっても褒めてくれるから、実際どうだったのかは分からない。

 少なくとも篠原さん程では無かったのは自信を持って言える。こんなに魅惑的な空気が、私から出る事はきっと無い。


「プールは行きましたし、遊園地とかにします?」


「これから冬だからねぇ~スキーとかも有りじゃないかな」


「え、篠原さん滑れるんですか?」


「私は出来るよ~咲人は聞いてみないと分からないけど」


 東君は見た感じ出来そうな気がするなぁ。このメンバーだと私が一番下手なんじゃないかな。真は絶対に出来るだろうし。

 出来ればスポーツ関係は避けたいけれど、長野に行っておばあちゃんに真を紹介する切っ掛けにはなる。

 これはしっかりと話し合いをして、改めて予定を決めないとかなぁ。東君が本当に滑れるかも分からない訳だしね。

 篠原さんとそんな話し合いをしながら、私は遊び疲れて眠るマサツグ君の写真を沢山撮って帰った。

 サクラちゃんフォルダも一杯あるけど、これからはマサツグ君フォルダも充実させちゃおうかな。可愛い動物の写真はどれだけ沢山持っていても損はしないからね!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ