エピローグ
アリーとヴァルバロイの魂を見送ると瞬は周りを見た。アルハザードが倒れている。
「アルハザードはあれどうしたの?」
「アルディスと魂が繋がっていたようです。アルディスが生きている限り不死ですが、アルディスが死ぬとアルハザードも死ぬ。そういう能力だそうです」
「つまり、神の器は事実上崩壊ですね。アルハザードもアルディスもいなくては大したことはできないでしょう」
「そっか、じゃあこれで戦いは終わりだね」
そして瞬達は戦いの終わりを告げ、戦争が終わる。魔物達は全て討伐され、エポドスの兵士たちには戦意はない。問題は王族という指導者が皆殺しにされ、国際的に言う戦争は新たな指導者が決まるまで終わらないことだろう。それでも戦いはおわったのである。これからは復興で忙しくなることだろう。
それから時が経ち、瞬とエアリアは教会にいた。エアリアは純白のドレスに身を包み、シュンは白い礼服を着て胸に薔薇を付けている。
そう。今日は2人の結婚式である。
そして2人を祝うため、サヴァードが神聖エルラント皇国の教皇様まで連れて来たため教会が修羅場と化したのはまた別の話である。
教会の外では明や水衣、宮松、戦乙女の面々、エライネにアリスと他にも見知った顔が並んでいる。彼等は瞬とエアリアご出てくると拍手で迎え、2人を祝福した。
そしてこの世界にもブーケトスがあり、エアリアのブーケを狙って婦女子達が目をギラつかせている。
「…じゃあいくね」
エアリアは後ろ向きでぽーんとブーケを投げた。そのブーケに群がる女性陣。しかしそれはお手玉のように手に手に弾かれ、1人の女性の手の中へ落ちた。
「え、私?」
なんと、それを手に入れたのはアリスだった。アリスはブーケを受け取ると喜んでマウテアに報告する。
「相手いる人に行くことないのに…」
エストは不服そうにブーたれていた。
そして母親は本を閉じる。その本の名は『グランデスサーガ』。グランデスの神器を巡る物語であったことからこの名が付けられていた。
「お母様、じゃあこの女の人は今もとても幸せなの?」
瞬たちの冒険は物語となり、今や世界で読まれる伝記として人気を博していた。当の母親は自分たちの冒険を子供たちに読み聞かせているわけだから、とんだ羞恥プレイである。
「…そうだよ。子供も出来てとても幸せにしてる。さ、パパがもうじき帰って来るわ。バァルもお出迎えしましょう」
「うん!」
バァルと呼ばれた少年は父親そっくりで愛らしい顔立ちをしていた。妹のユーシスは母親譲りの美貌で可愛いらしいと評判である。そしてその母親は今身重で、彼女が立ち上がるとメイドが慌てて飛んで来た。
「奥様、どうかあまり動かれませぬよう。旦那様が心配されます」
「…うん、そうだね。わかった。ここで待ってる」
母親はメイドのお願いに耳を傾けソファに腰を下ろす。もうじき瞬が帰ってくる。別に何日も空けたわけではないのだが、彼女の夫は夫人にベタ惚れであった。そのため身重である今はほんの僅かな負担ですらさせたがらないのだ。
バァルとユーシスも母親の横にちょこんと座りその膝に甘える。すると奥の方からドタドタと走る音が聞こえてきた。
「…帰ってきたみたいだね」
「ただいまエアリア!」
瞬は急いで部屋に入ると、愛する人の名を口にして彼女の元へ行く。そしてバァルとユーシスの頭を撫でた。
「そういえばバァルにお見合いの話が来てるよ」
「…バァルはまだ6歳だけど早くない?」
「うん、でもゼナがきっと2人は惹かれ合うはずだ、って自信を持って言うんだよね」
ゼナもエアリアと同じくゾーラントを離れ、今やベルムントの顧問魔導師として席を置いていた。
「…もしかしてアリア王女殿下?」
「そう。よくわかったね」
「…うん。初めてお会いしたときに2人とも見つめ合ってて動かなかったから」
「うーん、出来すぎな気もするけど信じちゃいそうだよ」
「…何が?」
「バァルがヴァルバロイの生まれ変わりでアリア王女殿下がアリーの生まれ変わりって話」
でももしそうなら、グランデスという神様は随分とサービスのいい神様なんだな、と瞬とエアリアは顔を見合わせてクスリと笑うのだった。
FIN
ここまでお付き合い下さりありがとうございました。
色々至らないところもあり稚拙な出来ではありますが、楽しんでいただけたなら幸いです。
SS1話追加して完結とさせていただきます。
僕の原点的な物語なので今度はちゃんとしたプロットを作ってサブキャラも魅力を感じられるような物語にして別の小説サイトで再構築したいと思います。
感無量、まぁまぁだったよ、と感じていただけたなら評価やコメントなどいただけると嬉しいです。
また、もうひとつ連載をしていますので宜しければそちらもお願いします(>人<;)




