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2人で…

「なるほど、あのアリスの肉体を乗っ取ったわけですか。道理で身体能力が高いと思いました」

「ええ、本当に素晴らしいわぁこの身体。強く、しなやかで美しい。そして潜在能力も高いわ。だから…!」


ゼナを狙ってピオルがはしる。振り下ろす剣をサヴァードが割って入り、錫杖で受け止めた。


「うふふふふ、邪魔な神様ね」

「義体とはいえ舐めないでもらいたいですね! 光よ!」


サヴァードが浄滅魔法を放つと光が広がりピオルを飲み込む。しかしその中でもピオルがサヴァードを蹴り飛ばすとゼナを巻き込んで後ろへ飛ばされた。

そこをさらにピオルが追撃に入る。そこへサヴァードをやらせまいと瞬が瞬間移動テレポートで割って入った。


「死にな!」

「お前がな」


ピオルの目の前に転移すると、即座に体重を乗せたスローイングパンチを放つ。ピオルは止まれず、まともに顔面に受けると吹っ飛んで玉座を破壊し、壁に体を打ち付ける。


「やったか?」


しかしピオルはすぐさま立ち上がると瞬を睨む。


「男のくせに女の顔を殴るものじゃないわよ坊や」


ピオルの鼻が潰れ、口から血が垂れている。しかしそれはみるみるうちに治っていき、元の美しい顔に戻っていった。


「素晴らしい肉体よねホント。超回復のおかげでその程度の傷ならなんてことないのね」

「魔王でさえノックアウトしたのに耐えるかよ…」


いよいよもってまずいな、と瞬は思い始める。一撃入れるだけでも苦労するのに防御力も高いときた。しかも超回復つき。


次はエアリアがピオルに斬りかかる。技量はエアリアが上だがピオルもその高い身体能力でもって互角に渡り合う。


「あのピオルの肉体がアリスのものなら、アリスが意識を取り戻してくれるといいんですけどねぇ…」

「私たちの声は届かないでしょう。何せ敵対してましたから」


サヴァードの呟きにゼナが答える。それを聞き、瞬はマウテアのことを思い出した。そう、瞬の無限収納インベントリの中には石化したマウテアがそのまま残っているのだ。そのことを思い出し、瞬は石になったマウテアを取り出す。


復活リヴァイブ


そして石化を解くと、マウテアの意識が戻る。


「? こ、ここは!?」

「マウテア、後ろを見て。今エアリアと戦っているのはアリスだ。2人の戦いを止めたい。協力してもらうよ」

「な、なんだって!」


マウテアは縛られたまま後ろを向く。仮面は被っているが確かにあれはマウテアから見てもアリスだった。


「一体全体訳がわからんぞ。説明したまえ」

「手短に話すよ。アリスはピオルという悪魔に肉体を乗っ取られている。お前が死んだと思って絶望したんだ。でもお前が生きているとわかればなんとかなるかもしれない」

「なるほど、つまり私の愛でアリスを取り戻せばいいという事だな! 任せたまえ!」


マウテアは凄いやる気になっていた。瞬が縄を解くと立ち上がり、アリスに向かって声をかける。


「アリス! 私だ! マウテアだ! 私は生きている!」

「ぐっ!?」


マウテアの声にアリスが反応したのか動きが鈍り、ピオルは軽く呻くと距離を取った。そして仮面を押さえ、苦悶の表情を浮かべる。


「アリス! もうやめるんだ! 私はここにいる!」


マウテアは声をかけながらピオルに向かって歩く。


「マウ…テア…?」

「なにっ!?」


アリスの意識が呼びかけに応えマウテアの名前を呼ぶとピオルが驚き、動きが止まる。そしてピオルの手から剣をが落ち、涼しい音がした。


「ああ、マウテア…! 生きていて嬉しい!」

「アリス! ああ、私のアリス!」


マウテアはアリスに駆け寄る。その隙にエアリアは瞬の横に行き、成り行きを見守る。、


「マウテア…、ごめんね。もうあまり持たない。このままピオルに身体を奪われたままなんて嫌」

「アリス、私が必ず…!」


アリスは首を横に振る。わかっているのだ。このままだと魂ごと食われてしまうと。


「だから、エアリア! 私を殺して! 今のうちに! お願い、最後くらい人として死にたい…」

「アリス…!」


アリスの悲痛な訴えを聞き、エアリアは瞬の手を取る。マウテアは自分の無力さに唇を噛み締め俯く。


「…シュン、お願い」

「わかった」


アリスに向けたエルウードを2人で持ち、その手を重ねる。そしてもう一方の手もお互いの意思を確認するように握りしめ合った。

そして詠唱が始まる。


闇の母 根源の母たる者よ 生命と魂の守護者よ

忌まわしき魂をその手に返し 救済を求めるなり

我は彼の生命を祝福し 穢れを祓うことを望む


ピシ…

エアリアのレプリカに亀裂が入る。しかし顔に出すことなく詠唱を続ける。


「アリス、お前一人を死なせはしない。私も逝こう」


マウテアは落ちていた剣を拾うとアリスを抱きしめる。マウテアの頬を一筋の涙が伝う。本気で愛した女性の最後の望みに自分はどう応えればいいのか。マウテアはそれを理解し、その望みに応えるべく覚悟を決めた。


「ありがとう、最後にあなたに会えてよかった…」


その気持ちが伝わったのか、アリスはそう伝えると目を閉じてマウテアを求める。

2人は口付けをかわす。そしてマウテアはアリスを背中から刺し、自分の心臓を貫いた。それでも離れまいと2人は抱き合ったまま、涙を流す。


母なる神はその翼を持ちて魂を抱くだろう

終焉は始まりであり この光は救済の光たらんことを


「…終焉ウルティムスの…」

浄滅プルガディオ…!」


パキン、とエアリアのレプリカが割れた。

2人のオーラはエウルードで更に増幅され、灰色の太い光線がアリスとマウテアを飲み込んでいった。


光の中で2人の意識は薄れゆき、消失する。

そしてその跡には、黄金の結晶体だけが残されていた。


「…ごめんね、アリス。救ってあげられなくて…」


エアリアの頬を涙が伝うと、エアリアは血を吐いて倒れてしまった。


「エアリア!」


瞬は急いでレプリカの修復に入り、サヴァードは急いでダルクアンクの回収に向かった。

昨日新連載始めました。「最強のサポートスキル拡大解釈で僕たちは底辺パーティから這い上がります」もよろしくお願いします꒰ঌ(๑≧ᗜ≦)໒꒱⋆⸜♡⸝⋆


おもしろいな、続きが気になる、と感じていただけたら、広告下の評価やいいね、ブックマークをいただけると嬉しいです(๑•̀ㅁ•́ฅ✨


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