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決戦前夜

ポリネスの攻略はすんなり終わった。あの魔獣の大軍で戦力をほぼ使い切ったようで、大悪魔がいたが今更それは物の数ではない。


すんなりポリネスの解放に成功し、いよいよ後は王都ファランに乗り込み超魔王ピオルとの決戦であった。

この一戦が実質人類の存亡を賭けた戦いであり、超魔王の居城ともなればかなりの抵抗が予想された。


「まず前提条件としてシュン、エアリア、サヴァード、ゼナの4人を温存してピオルの前まで連れていかなければならん」

「いえ、城の前まで行けば空を飛んで直行すればいいと思います。外壁ぶち壊して中へ入ります」


瞬の提案に部隊長達がおお、と感嘆の息を漏らす。居るとすれば謁見の間だろうから大体の場所など予想つきそうなものであった。確かにわざわざ中を走る理由もない。


「…効率的。シュンが私を抱えて行けば大丈夫」

「そうなるとそこまでの護衛戦力だけでいいのか」

「その役目、是非このエライネに」

「剣の聖女と名高いエライネ殿なら適任でしょう」


エライネがその大役を買って出ると、他の部隊長達も納得してエライネを推す。

そうやって部隊の編成を慎重に決めていった。




「…シュン。明日はいよいよ決戦になる。シュンと2人ならアリーだって越えられる。私の深淵気アビスオーラとシュンの神光気ディバインオーラがあればアリーの使っていた終焉ウルティムス浄滅プルガディオも使えるはず。でも多分それを使うと私のダルクアンクレプリカは耐えきれず壊れてしまうかもしれない」

「えっ、そんなの使えないよ!」


レプリカが壊れると聞き瞬は使用を反対する。そんな状態で陽の光を浴びれば灰になるかもしれない。そうなるとサヴァードに相談しなければならなかった。


「…だから、その時はシュンの力で直して欲しい。私のレプリカはここにあるから。この位置を忘れないで」


シュンの手を取り、右の胸に触れさせる。胸が大きいので背中からの方が近そうである。


「わかった。でも一応サヴァード様に相談しよう」

「…うん、そうだね。シュン、必ず生きて帰ろう」

「…うん」


2人は両手を重ねると、自然と顔が近づき唇を重ねる。エアリアが瞬を押し倒すとしっかり封絶ディメンジョンシールで音も漏れず邪魔も入らないようにするのだった。




朝になり、瞬は早速サヴァードに相談を持ちかけた。


「ふむ、なるほど。事情はわかりました。救世主メシア以外の人があれを使えたという例はありませんが、後継者という恩恵ギフトも初めて耳にするので使えるのかもしれませんね」


サヴァードは終焉ウルティムス浄滅プルガディオの話を聞きかなり驚いていた。話によるとそれは神代創魔師ですら使うことが許されていない特殊な魔法であり、深淵気アビスオーラ神光気ディバインオーラが揃えば使えるものでもないらしい。


「わかりました。今から事を成すまで浄滅の加護を停止いたします。それならダルクアンクレプリカが壊れても消滅することはありませんし、本物のダルクアンクが手に入れば死んでも生き返らせることも可能です。永遠の命すら可能ですからね」


これはサヴァードとしてはかなりの優遇措置である。浄滅の加護は神の座に座った者のみが使える世界魔法であり、一旦停止させると再開には膨大な魔力を必要とする。その魔力の何割かは瞬に要求するつもりであった。

しかし瞬としてはダルクアンクが死んだ人間を生き返らせることすらできると聞き、そっちに驚く。


「え、ダルクアンクってそんな凄い神器なんですか?」

「ええ、グランデス様は生命と魂を司る原神のトップですからね、あの神器にはそれだけの力があるんです。これは他言無用ですし、使用も今回限りにさせてもらいます。終わったら封印をお願いしますね」


確かにそんなことが知れ渡れば戦争の火種になりかねない代物である。それだけにサヴァードの圧も凄かった。


「あれってレプリカみたいに埋め込むんじゃないんです?」

「違います。正しい使い方を知ってるのはもう私しかいませんが、あなたなら1回見たら使えてしまいそうですね。手に入れたらすぐに私に渡してくださいね?」

「わかりました」


そしてその強い圧に瞬はちょっとだけ怯んでいた。しかし想像以上に色良い返事を貰えたので、この神様なら信仰してもいいかもしんないとさえ思うのだった。





その後朝食を取り、少し休憩してからポリネスの北門の方で最後の決戦に向かうため配置に着く。

そしてライオネスより最後の演説が始まる。


「諸君、ここまで良く頑張ってくれた。後はファランに攻め入り、ピオルを討つのみである。この一戦は人類の存亡を賭けた世紀の一戦となる。もし我々が敗れればピオルを討てる者は存在しないだろう。ピオルとの決着はスオー子爵とエアリア、神聖エルラントからの使者サヴァード、大賢者ゼナの4人で行われる。皆の役目は道を作ることである。この4人を無事に送り届ける名誉ある大役を果たすことを期待する。最後にスオー子爵からも言葉がある。私の言葉と思い、聞くといい」


ライオネスが引き、瞬が前に出る。もはや知らない者のいない相手ではあるが、なぜ旗印となったエアリアでないのか不思議そうな顔をしている者もいた。


「皆さん、僕がシュン=ディ=スオー子爵です。僕は元々異世界から来て、ここに来てからまだ3ヶ月程度です。でもその間に色んな人たちと出会い、話し、そして嫌なことも嬉しいことも経験してきました。僕はこの世界を気に入っています。骨を埋める覚悟もできています。でもまだ骨を埋めるには早いですからね、当然勝って、またベルムントに帰りたい。そしたら新しい日々が始まって、また嬉しいことも嫌なことも経験するでしょう。でもそれがいい。そんな日常が幸せなんだと僕は思うんです。だからみんな、勝って帰ろう! 新しい日々を迎えるために。愛する人の元へ帰るために!」


瞬が演説を終えると割れんばかりの拍手が巻き起こる。その拍手に応え、瞬は右手を高々と掲げた。


「ではこれより、ファラン攻略に入る! 全軍進撃せよ!」


ライオネスの号令で全軍が動き始める。

人類の存亡を賭けた最後の戦いがはじめろうとしていた。


さて、いよいよ最終章です。ここまで来たら最後までお付き合いいただけるよう頑張るのみです。

そしてここからたたみかけるようにラストに向かいます。今更雑魚の中ボスとか茶番でしかないので。ドラマがあるなら書くけどないんだよな…(ll๐ ₃ ๐)


おもしろいな、続きが気になる、と感じていただけたら、広告下の評価やいいね、ブックマークをいただけると嬉しいです(๑•̀ㅁ•́ฅ✨


また、もっとこうして欲しいなどの要望や感想などのコメントをいただけると励みになります꒰ঌ(๑≧ᗜ≦)໒꒱⋆⸜♡⸝⋆

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