ラトア攻略戦
進軍は好調であった。第2陣のエライネ=リコー率いる聖堂騎士団と戦乙女のメンバーのいる傭兵団の活躍で無事オエンスから最も近いマーレーの悪魔達を排し、解放に成功していた。
そこを新たな拠点としてエポドスの王都ファランとマーレーの中間にある都市ポリネスを目指す。
瞬達は第1陣に参加し、マーレーの結構西にある大都市ラトアの攻略に向かっていた。
マーレーよりも激しい抵抗の予想されるラトアには瞬達の他にも主戦力となる明、水衣、宮松他10年前に召喚した勇者達も在籍している。その指揮をライオネス自らが執っており士気は高かった。
瞬達を先頭に鋒矢の陣が敷かれ、戦端は開かれる。ラトア周辺にはオーガやトロル、グレーターデーモンの他にも黒い竜が確認されていた。
「氷砕の竜巻!」
先陣を切るのは瞬。接敵まで10メートル程のところで氷の竜巻を敵陣に突っ込ませる。巻き込まれればオーガだろうがトロルだろうがたちまち全身を凍らされ、巻き上げられて粉砕されていく。
「シュンはあの黒い竜を倒してきてもらえますか? 雑魚は私がやりますよ」
「わかった。エアリアは大悪魔が出てきたらお願い」
「…まかせて」
ゼナは未だ動いていない竜の討伐を瞬に任せると、詠唱を始める。
「光あれ!」
それより早くサヴァードが錫杖を地面に突き立てると光が広がり、その光に触れた魔物が次々と浄化されていく。
たったこれだけで魔物の大軍の大半が消滅した。義体とはいえそもそもが神なので下級の魔物など物の数ではないのだ。
その様子を見ていた後続が神の奇跡だと囃し立てる。
「俺たちには神がついている! 恐れるな!」
そのことで更に戦意は高揚され、戦士たちが魔物の軍勢を押し返していく。
瞬は飛翔で空を飛ぶと飛んでいるグレーターデーモンやハーピー達を撃墜しながら黒い竜目指して一直線に向かう。その体長は実に20メートル以上はありそうであった。
「魔竜たる我に挑むか人間…!」
その魔竜が瞬を認識すると言葉を発する。瞬は魔竜から10メートル程離れた位置で止まると神光気を纏う。
「ほう…。なるほど、いいだろう。我が相手ぼぉっ!?」
「悪いけど聞いてやる義理はないよ」
瞬は飛翔で勢いをつけ魔竜の腹を思いっきり殴りつける。腕は腹を貫通し、周囲ごと破壊して穴を空けるが魔竜のサイズを考えれば致命傷には程遠い。
「神気閃光」
ならばとそのまま閃光魔法を放つと魔竜の肉体を光が貫通し、直径3メートル程の大穴が空いた。
「に、人間ごときに…」
魔竜は血反吐を吐くとそのまま街中へと墜落していく。乗っかってい外壁も音を立てて崩れ、中にいる魔物達を巻き込む。
「死んだかな?」
魔竜の上に降り立ち、収納を実行。できなかったのでまだ息があるらしかった。
「んじゃもう1発」
魔竜の首を殴りつけると首が爆ぜ、絶命する。そしてしっかり収納するのだった。
魔竜があっさり墜落するのを見ていた戦士たちは更に勢いづき、魔物達を駆逐していった。
先陣の部隊が門の中から街中へと侵入していく。
街の中は魔物達が跋扈しており、家は破壊され瓦礫が至る所に転がっていた。門の近くからは人の気配も感じられず廃墟のようである。
「これは酷いですね…。街の人たちは生きているんでしょうか」
サヴァードが街の破壊された様を見て愕然とする。ここラトアはエポドスでも一二を争う発展した街だった。そしてエポドスのヴァサー教会最大の拠点でもあったのだが、そのせいで見せしめのように破壊されたのである。
「魔物達を排除しながら回りましょう」
「どのみち排除は必要ですからね、行きましょう」
ゼナとサヴァードが二手に別れると、その後を追随するように部隊も別れ街中での戦闘が始まる。
一方の瞬は、というと上空から街を眺めると領主邸らしき建物がほとんど破壊されていないのを見つける。それどころか、どうやら破壊されている区画と破壊されていない区画がきっちり分かれているようだった。それでも街の3割くらいは破壊されており、侵入経路となる南門近辺は壊滅状態である。そして壊滅されている部分とそうでない部分の間には石壁ができていた。そこでその石壁目指し、飛翔する。
石壁付近にも魔物がいたが、魔物たちは不思議なことにその壁を越えようとか破壊しようという気はないらしい。つまりそれは統率されている、ということになる。実は統率していたのはさっきの魔竜なのだが瞬はそのことを知らない。
「統率されているなら雑魚から掃除した方がいいか」
千の光矢で矢の雨を降らせ、辺りにいた魔物達を蹴散らしながら石壁の側に着地する。仲間も侵入しているようなので効果範囲の広い魔法は使えない。
残った魔物の掃討にかかった。
魔物の掃討は順調に進み、街の内外の魔物も2時間とかからず殲滅が終わる。殲滅が終わった後はライオネスが護衛として瞬とエアリア、ゼストを連れて無事な区画へと入りこの街の領主に話を聞きに行った。ベルムント軍は魔物を殲滅したことで歓迎され、領主とも会談の場を設けることができたのである。
「魔物や悪魔どもを追い払っていただきありがとうございました」
話し合いのテーブルに着くなりラトアの領主は深々と頭を下げた。応接室ではラトアの領主とライオネスが向かい合って座っており、護衛である瞬、エアリア、ゼストはその後ろに立っている。ラトア側にも護衛は付いているが警戒している様子もない。
「本当に参りました。ある日突然悪魔達が押し寄せ、教会周辺を破壊した後超魔王ピオルを破壊神として崇めよ、と要求をされまして。崇めないのであればこの街は廃墟となると言われれば従うより他はありませんでした」
「なるほど、その条件を呑んで見逃してもらったわけですか。それは賢い判断です。殺されては何もできませんからね。我々はこれからポリネスを目指し、その後王都ファランに入って超魔王ピオルを討ちます。できる範囲でかまいません。支援をお願いします」
「勝てるのですか? もうあの英雄アリーはいません。エポドスの勇者や精鋭達も何もできず殺されたと聞いています」
領主は怯えながらライオネスを見る。直接その脅威を見たわけではないが、この街にも悪魔退治に特化した聖堂騎士団が存在する。その彼等も容易く全滅し、恐怖を植え付けられていた。ピオルに従えば命の保証はされる望みがある。しかしここでライオネスに協力すれぱ当然反逆者として無慈悲に皆殺しにされる危険があった。
「勝ちますよ、我々は。彼女は英雄アリーの娘、エアリア。彼女とその仲間がついていますからね」
「…シュンと2人ならアリーだって超えられると思ってる」
「…わかりました。どのみちこのままではどんな目に会うのかわかりません。家畜としての安寧より人として戦うために剣をとりましょう」
「勇気ある決断に感謝します」
ライオネスと領主は手を取り合い、戦うことを誓った。ベルムントはラトアの街の支援を受け、ポリネス攻略のために舵を切ることとなる。
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