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エポドスの新たな女王

今、世界中の人々が空を眺めていた。

映像魔法で空に映された仮面の女王の演説に聴き入り、明日の命を願ってヴァサーに祈りを捧げる。


「皆さんはじめまして。私がエポドスの新たなる女王、ピオルです。私を呼ぶときは畏敬の念を込め超魔王ピオルと呼ぶといいでしょう。ヴァサーの民の皆様方に申し上げます。あなた方に等しく絶望を! この世界に破壊と死を振り撒き、憎悪に満ちた美しい世界を共に作りましょう!

そしていずれはヴァサーをも殺し、私がこの世界の神となるのです。手始めに私はベルムント王国に宣戦布告をします。降伏は認めません。絶望と憎悪の嘆きを奏でることを期待します」


ピオルが高笑いをあげながら映像がフェイズアウトしていき演説は終わった。そして当然のごとくライオネスは瞬達を召喚し戦争の準備に入るのだった。





そして今瞬達3人はエポドスとの戦争準備のため城塞都市オエンスに来ていた。予定ではライオネス達も来ることになっており、明達も来る手筈になっている。

オエンスの兵の受け入れ施設はとてつもなく巨大でこの街の重要性を示唆していた。そしてピオルが太陽神ヴァサーに喧嘩を売ったことでその戦力は各地のヴァサー教会からも集められている。


瞬達はまずオエンスの領主邸に向かった。国王からの書状を渡すためである。その内容には超魔王ピオルとの決戦を瞬達に任せる旨も記載されていた。

つまりは兵士たちはその露払いに過ぎないということになる。しかし王命であれば従わざるを得ないのだが。


その後も瞬とエアリアは視察と挨拶を兼ねて各所を回る。そして傭兵達の集められた兵舎で懐かしい顔に出会った。


「おや? そこにいるのはシュンにエアリアじゃないか、久しぶりだねぇ。あんたらも傭兵かい?」


そこに居たのは戦乙女の面々だった。彼女達は瞬の加護を得ており、頼りになる事この上ないチームである。


「お久しぶりですエルザさん。それにエストさんとニャムさんも」

「…久しぶり。また会えて嬉しい」

「懐かしい顔ニャー。また会えて嬉しいニャ」

「久しぶりね。あなた達が来てくれるなら心強いわ」


5人は旧交を温め合うとハイタッチを交わす。これが仲のいい冒険者同士の挨拶でもある。


「…私たちは超魔王ピオルを討つためにここに来た。だから私達は決戦のときある程度は温存される」

「凄い大役じゃないか。でもそうだねぇ、あんたらなら勝てそうな気がするよ」

「でも勇者を押し退けての大役凄いよね。やっぱり英雄アリーの娘のネームバリュー?」

「うんまぁ、そんなとこ。僕はそのパートナーだからね」


瞬は敢えて叙爵したことやライオネスの直属になったことは伏せた。変に気を使わせたくなかったのだ。

5人はしばらく話すと瞬がせっかくだから、と武器を見せてもらうとミスリル製であったためそのまま神器創造により聖属性の武器にしてしまう。お代は終わったら飯奢れ、で十分であった。その後は再会を約束して兵舎を出るのだった。




それから日も経ち、ライオネス達一行もオエンスに到着し、他の領地からも続々と兵士や傭兵、聖堂騎士達が集められた。それまでも散発的は襲撃はあったが、大した損害もなく決戦の時を迎えようとしていた。


瞬とライオネスのいる天幕の中、瞬はサヴァードとの約束通り金の腕輪を使い呼び出しをかける。転移魔法陣が発生し、呼びかけに応えてサヴァードが姿を現した。


「お久しぶりですね、シュン。エアリアの姿が見えないようですが?」

「エアリアは教会側の旗印なので演説だそうです。なんといっても10年前にピオルを倒した英雄の娘ですから」

「なるほど、そういえばそんな約束もありましたね。おっと、ご挨拶が遅れました殿下。私、神聖エルラント皇国で神官をしていますサヴァードと申します。この戦い、エルラントとしても捨ておくことはできません。微力ながら私もお手伝いさせていただきます」


サヴァードはライオネスに気づくとひざまづいて参戦の意思を表明する。


「楽にしてくれ。ピオルとの決着にどうしても必要だとシュンから聞いている。行動を共にしてやってくれ」

「はい、このサヴァード。必ずや偉大なるヴァサー様の怨敵を打ち倒す剣となりましょう」

「ああ、期待している。さぁ、行こうではないか」


ライオネスに促され、2人は後に続いて天幕を出る。オエンスの城門前は兵士や傭兵、聖堂騎士がずらりと並んでおり、戦いの号令を待っていた。

そしてその戦士たちを前にエアリアが立つ。


「…はじめまして皆さん。私はエアリア=フォルティス。18年前に魔神王ヴァルバロイを倒し、10年前には大魔王ピオルを倒した英雄アリーの娘。私は第1等級冒険者としてヴァサー教会と共にヴァサーの民を敵視する組織と戦ってきた。幾つもの拠点を潰しはしたものの、組織の壊滅には至らずこのような最悪の事態を招いたことは私の失態でもある。しかし私はここに誓う。必ずピオルを滅ぼしてみせる。だからどうか皆も一緒に戦って欲しい。私は負けない。この手に勝利を、この世界に安寧を、そして悪魔共に鉄槌を!」


音響魔法を利用し辺りに声を響かせ、高くエウルードを掲げると、戦士たちの雄叫びが城門前を埋めつくした。


「全軍進撃せよ! これは人類の存亡を賭けた決戦である!」


ライオネスが号令をかけると全軍が一斉に歩き始める。エポドスの王都までの進軍は何もなければ2週間ほどかかる。

長い長い戦いの始まりであった。

おもしろいな、続きが気になる、と感じていただけたら、広告下の評価やいいね、ブックマークをいただけると嬉しいです(๑•̀ㅁ•́ฅ✨


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