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魔王ヴェールVS瞬 前編

だだっ広い闘技場の中魔王ヴェールと瞬は対峙する。観衆のいないこの闘技場は魔王が異空間に作りあげた舞台であり、決戦の場であった。

2人の間の空気は張り詰め、瞬の聖光気セイクリッドオーラと魔王の深淵気アビスオーラが静かに押し合う。


「さぁ、私を満足させてみろ少年!」

「悪いけど神になるつもりは無いよ。でもお前はここで倒す!」


瞬は先手必勝とばかりに氷砕アイシクル竜巻トルネードを2つ放ち、魔王を牽制する。


「おもしろい、ならば轟炎フレイム竜巻トルネード!」


それに対し魔王は炎の竜巻を2つ巻き起こし、瞬の竜巻にぶち当てる。すると水蒸気爆発が起こり、2人を爆風が襲った。お互いがお互いのオーラで身を守る。そして爆風が止まぬうちに瞬間移動テレポートで魔王の背後に回ると瞬が全力の右ストレートを打つ。


しかしその一撃は魔王の障壁に阻まれ受け止められる。カウンターで魔王が前蹴りを放つと瞬は半身で逸らし、脚を掴んで後ろに引っ張り、強引にバランスを崩させる。


「うおりゃあああっっ!」


片脚を掴んでの強引なジャイアントスイングで魔王を振り回すと壁に向かって放り投げた。勢いのついた魔王は姿勢を直す間もなく頭から闘技場の壁にぶち当たる。

轟音をたてて石壁を破壊し、魔王を瓦礫に埋める。さらに瞬はそこに聖光気セイクリッドオーラを魔法として放つ。


聖気閃光セイクリッドバスター!」


増幅されたオーラは極太の光線となり魔王に直撃する。辺りの瓦礫ごと吹き飛ばし、地面をえぐる。そうしてできたクレーターの中には魔王が1人倒れていた。

しかし直撃していたにも関わらず魔王はのそりと立ち上がると身体についた埃を払う。


瞬間移動テレポートで魔王の前に姿を現すと、瞬は更なる連打を放つ。しかしその全ては魔王の障壁に阻まれ届いていなかった。


「小うるさいハエだな」


魔王は瞬のパンチなど気にせず身体を捻ると思いっきりパンチを放つ。しかし動きの大きいパンチなど瞬には当たらない。さらに回し蹴りを放つがそれもしゃがんでかわす。


聖気閃光セイクリッドバスター!」


そこから収束砲撃魔法をゼロ距離で放ち、魔王を極太の光線で飲み込む。

魔王は立ったまま勢いで押され、後ろへと滑っていく。魔王の両足に沿って2本の線が地面に刻まれていた。途中から防御態勢に入ったらしく顔の前で両腕を交差させている。


「むぅ、ちょっと痛かったぞ。ところで、まさかそれが全力とは言わんよな?」


しかし魔王は平然としており、さほどダメージはないように見えた。瞬の額から一筋の汗が流れていく。息を整え、身体をリズミカルに動かす。


「さぁ、どうかな?」


正直なところ、全力である。さほどダメージは与えられていないが、それでも瞬に焦りはない。急がなければいけない状況なのは間違いないのだが、初めての格上との戦いに魂が歓喜に打ち震えているのを感じていた。


「今度はこちらから行くぞ!」


魔王が深淵気アビスオーラを膨れさせ、瞬に迫る。

蹴りにパンチにと連続して繰り出すが瞬はそれをことごとくかわす。そして魔王が顔に貫手を放つと瞬はそれを首を傾け、最低限の動きでかわすと前へ出て魔王のみぞおちにショートアッパー。しかしそれも障壁に阻まれ届かない。


そして魔王がお返しと膝蹴りを放つが、その頃には既に瞬は距離を取り離れていた。そしてすぐまた距離を詰め、ジャブを当てにいく。それはやはり障壁に阻まれ届かなかった。魔王もすぐに蹴りやパンチで迎撃に出るのだが、その頃には既に瞬の姿はなく空回りしている。


「ちょこまかと鬱陶しいヤツめ!」

「うーん、力で負けてるかぁ。技術的には勝ってるんだけど」


その一言に魔王が青筋をたて、眉が釣り上がる。そして歯ぎしりをたてて瞬を睨みつけた。


「技術は勝ってるだと! 舐めるな小僧が!」

「うん?」

「魔王の力見せてやろう!」


数百を超える闇の球を生み出すと、その1つ1つがランダムな動きで瞬に迫る。避ける隙間がないと判断し、瞬間移動テレポートで魔王の横に出る。


「かあっ!!」


その瞬間を見計らって魔王が自らを中心に闇の波動を爆散させ、周囲を吹き飛ばす。その波動に巻き込まれ、吹き飛ばされると瞬の身体は壁に打ちつけられた。

聖光気セイクリッドオーラで身を守っているとはいえ、結構効いたらしくすぐには動けない。それを見逃す魔王ではなかった。助走をつけた飛び蹴り。それに対して慌てて腕を交差させ、防御に転じる。防衛イージスを張る間もなく交差した腕に魔王の体重を乗せた飛び蹴りが食い込む。


「グゥゥゥッッッ!!」


両腕が悲鳴をあげ、ひびが入っていくのがわかる。激痛を奥歯を噛み締めて耐えるが、身体が動かず魔王に首を掴まれてしまう。そのまま片手で持ち上げられ、首を絞めあげられる。


「捕まえたぞ小僧! 地面にひれ伏せ!」


魔王はそのまま瞬を地面に叩きつけ、かかと下ろしを脚に落とす。鈍い音が響き、脚が変な方向に曲がった。その激痛に言葉すら出せず、のたうち回ることすらできない。飛びそうな意識を保つので精一杯であった。


「ふん、こんなものか。見込み違いだったようだな」


魔王は瞬を冷めた目で見下ろすと、右手に闇を収束させる。


「せめて苦しまずに殺してやろう」


死がチラついた瞬間、頭の中を走馬灯が走る。その記憶が見せるのはエアリアとの思い出。

初めて会ったときのときめきを。

初めて交わした口付けを。

そして初めて結ばれた夜のことを。

まだ死ねない。そう思ったとき、瞬の中で何かが弾けた。


死の恐怖を跳ね除け、抗う強い意志と確かな想い。それらは瞬を奮い立たせ、殻を破り魂をも成長させる。


「…復活リヴァイブ!」


声を絞り出し、回復魔法を発動させる。瞬の身体がみるみる治っていく様を見て魔王は慌てて生み出した闇の球を投げ込んだ。瞬のいた所を闇の柱が立ち昇る。


「ちっ! 空間を渡ったか!」


魔王は辺りを見回し小僧を探す。何か妙な胸騒ぎを感じていた。


「こっちだよ…」


見た目はボロボロ、身体の芯にはダメージも残っている。しかしなぜか瞬は晴れやかな表情を浮かべていた。その表情はとても戦場で見せるものでない。しかしそれが魔王には返って歪に映っていた。


「ああ…、なんかさぁ、うん。やっと届いた感じ?」

「何を言っているんだ小僧…?」

「さっきさ、正直死んだと思ったよ。走馬灯って言うらしいんだけどさ、可笑しいよね。あの一瞬で色んな記憶が頭を駆け巡るんだ。こっちにいた時間の方が短いはずなのにさ、その記憶の半分以上はエアリアのことばっかりだったよ」


アハハハ、と瞬は力無く笑う。そして一筋の涙が頬を伝う。


「惚気けか? 戦いを侮辱するつもりか!?」

「愛してるんだ、彼女を。だから…」


瞬の気が膨れ上がり、その気は黄金から白銀へと変わる。


神光気ディバインオーラだと…! ふははははっ!! いい! いいぞ、素晴らしいぞ小僧! いや神代創魔師よ!」


魔王は嬉しそうに笑い、高ぶる心は歓喜に震えていた。


「負けられない!」


神光気ディバインオーラを身に纏い、瞬が吠えた。

ユニーク1000人いきました。ありがとうございますm(*_ _)m


今最終章書いてるので今日はもう1話話いこうず(๑•̀ㅂ•́)و✧


おもしろいな、続きが気になる、と感じていただけたら、広告下の評価やいいね、ブックマークをいただけると嬉しいです(๑•̀ㅁ•́ฅ✨


また、もっとこうして欲しいなどの要望や感想などのコメントをいただけると励みになります꒰ঌ(๑≧ᗜ≦)໒꒱⋆⸜♡⸝⋆

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