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魔王ヴェールの挑戦

王都の騒乱はアーシとモーリスの捕獲、ランラールとナーガの討伐により概ね片付き、街中のデーモンは王国騎士団や聖堂騎士団、明と水衣の働きにより鎮圧された。

その後も瞬は城内の修理を神器創造で行ったり、遺体の後始末にと大忙しである。結局城内の後始末は3日かかったが、それでも通常よりはかなり早かった。


「今回もまた助けられたな、シュン。礼を言う」

「いえ、とんでもございません殿下。それよりモーリス様のこと残念です」

「そうだな、さすがに父上と私の命を狙い、神の器と通じてクーデターを起こして少ない数の人も亡くなっている。処刑にせねば王族の威厳は保てん。それより問題なのはこの件に北のエポドスが絡んでいることだな。エポドスのことはわかるか?」

「いえ、存じません」


この世界に来てから日の浅い瞬には地勢的なことなど全くわからない。知らないからとライオネスもそれを責めることはしなかった。


「エポドスはベルムントの北に位置する国家だ。バルドーラ同様の敵性国家でな、ゾーラントと同盟を結んでいるのはこのエポドスが関係している。ベルムントの北にはオエンスという城塞都市があるが、そこが最も防衛に力を入れている都市だな。それゆえ10年前召喚された者たちもそこで防衛に当たっている」

「見ないと思ったらそこにいるんですね。でもそのエポドスが絡んでいるなら本格的に戦争に?」

「いや、証拠としては弱すぎる。エポドスの者は集団の中にいたが無関係だと言い張れば済む。まだ本格的な戦争にはならないだろう」





ライオネスとの話も終わり、瞬はエアリアを連れてゼナを訪ねていた。ライオネスとの話から時間も取れそうなので神器ダルクアンクについて聞くためである。


「そうですね、場所は神聖オルラント皇国なので離れていますが、あそこなら転移で行けますよ。遺跡までは転移してから移動になりますが、あのゴーレム馬車なら1日で着くでしょう」

「じゃあ早速行こう!」

「ですが、奴らも狙っているはずです。恐らく魔王も来るでしょう。勝てますか? 殺さずに、です」

「勝つさ。僕だって強くなってる」


瞬は静かにはっきりと答える。瞬は自分の中で強くなっていく感覚があった。もうじき何かに到達しそうな確かな手応えがあり、それが自信となって現れていた。


「ふむ…」


ゼナは瞬をまじまじとる。魂の傷の具合を見ているのだ。以前見た時は古い傷があったが、それがかなり良くなっていたのが視えた。宮松が瞬に対し許しを請い、それを受け入れたことが大きく影響していたのである。


「いいでしょう。皇国の領内に入っても教会にもギルドにも寄ることはありません。遺跡に行くことが知られると面倒ですからね。何せダルクアンクはヴァサー教会にとっては禁忌の神器なのですから」

「…わかった」

「わかった」


ゼナの忠告に2人が理解を示すとゼナは満足そうに頷いた。


「では明日にでも行きましょう。そうですね、朝食後に私のいる客室に集合ということで。転移後街に寄る予定はありませんので準備をお願いします」

「おけ」

「…わかった」





次の日の朝ライオネスに旅に出ることだけ伝え、ゼナのいる客室に集まる。


「では参りましょうか」


3人がお互い手を繋ぐと、ゼナは転移を開始した。

その瞬間、客室には誰もいなくなった。




3人が転移をした場所は洞窟だった。地面には魔法陣が描いてあり、規則正しく石も並べられている。


「ここは私が利用している転移陣ですね。結界を張ってあるので普通の人や魔物が入ることはありません」


この洞窟はゼナが人為的に作ったもので、魔法陣は転移場所の目安にしやすいよう設置したものである。そのためこの魔法陣を利用して何か魔法を使う、というわけではない。

洞窟内はヒカリゴケが生え、ほのかに空間を照らしていた。弱冠薄暗いが、夜の常夜灯程度の明るさはある。空気は思ったよりも清涼でカビ臭くはなかった。


「では行きましょう」


ゼナの案内で洞窟を出ると、空が眩しかった。暗い洞窟内とはその差が大きいせいだろう。

外は木々が生い茂っており、手入れなどされていないため雑草が乱雑に生え、道らしい道もなかった。

草をかき分け、木々を避けて3人は進む。しばらく行くとようやく道が見えた。

そこからはゴーレム馬車に乗り、ゼナに運転を任せること6時間。朽ち果てた遺跡にたどり着く。


その遺跡は元はどこかの神殿だったのだろう。壊れた柱や崩れ落ちた石像に石床と石碑もある。そんな中でも1つの教会。そこだけは時間に取り残されたかのように綺麗な佇まいを見せていた。


「この教会の中にダルクアンクは封じられています。問題は中に入れないことですかね。あ、攻撃魔法じゃビクともしませんよ? なんと言っても結界を張ったのはヴァサーですからね」

「どうやって中に入るの?」

「この結界はヴェルム=カッソの封印魔法により封じられています。ヴァサーは元々神代創魔師でしたからね、同じ神代創魔師であるシュンなら解封できると思います」


そう言われても具体的にどうすればいいかわからず、瞬はとりあえず扉を開けようと手を出す。すると手が飲み込まれ、見えなくなった。引き抜くと手はやはりある。


「この教会の周りが別の空間と通じているんです」

「どんな原理なのそれ…。見えるってことは光が届いているはずなのに別の空間に繋がってるとか物理法則無視?」


確かに別の空間に繋がっているなら光は届かないため教会は見えないはずである。今度は顔を突っ込み中を覗くと、中は真っ暗であった。


「となると解除の魔法を作るしかないのか…。うげ、10万ポイントも使うのか…。しゃーないな…」


溜め込んだポイントの半分近くを使い、瞬は解除魔法を作った。そして実行。


解除リリース!」


力ある言葉が響き、空間が揺れる。そして音をたてて虚空に亀裂が走った。そして弾けるように光って破裂音が響き渡る。

その瞬間気配を感じ、3人は後ろに飛び退いた。瞬は急いで防衛イージスを何重にも張り、エアリアも極滅気ルイナスオーラで防御態勢に入る。


3人のいた地点に轟音とともに人影が落ち、土煙をあげる。そして土煙が止むと中から現れたのは魔王ヴェールとアリス、アルハザードとマウテアだった。


「この時を待っていた。今こそこの私と雌雄を決せよ少年、いや神代創魔師よ!」

「マウテア、貴様は中に入りダルクアンクを手に入れろ!」

「マウテア! なんでお前がいる!」

「…行かせない!」


マウテアを追おうとエアリアが駆けるもアリスが立ち塞がりエアリアは足を止める。


「存分にやり合おうではないか」


魔王が指をパチンと鳴らすと瞬と魔王がエアリアの前から姿を消した。


「…シュン!」

「ふふん、この地域は常に監視していた。封印を解いてくれてありがとう」

「これは弱りましたね。早急にあなた達を倒し、あの男を追うとしましょう」


ダルクアンクを渡すまいとエアリアがアリスに斬りかかった。

最終章1歩手前です。これ出る頃でもまだこの章書き終わってないですけどね…(ll๐ ₃ ๐)


おもしろいな、続きが気になる、と感じていただけたら、広告下の評価やいいね、ブックマークをいただけると嬉しいです(๑•̀ㅁ•́ฅ✨


また、もっとこうして欲しいなどの要望や感想などのコメントをいただけると励みになります꒰ঌ(๑≧ᗜ≦)໒꒱⋆⸜♡⸝⋆

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