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王都動乱5

その頃、エアリアは騎士団員達と協力して侵入して来た謎の集団とデーモンの軍勢との戦闘を繰り広げていた。侵入して来た集団はそこそこの使い手もいたのだがエアリアの敵ではなく、そのほとんどは軽々と斬り伏せられ、あるいは無力化されていく。


「ちっ、何だあいつは化け物か!?」

「仕方ない、こいつを使うぞ!」


集団の中の一人が何かの結晶体を取り出す。半透明なそれは大人の握りこぶし大の大きさとそう大きくはない。しかし込められた魔力は禍々しく、怪しい光を放っていた。

そしてその結晶体を地面に叩き付けるとそれは粉々に砕け散り、もくもくと黒く深い闇が広がる。闇はやがて巨大な蛇の姿を象り、肉体を形成していく。


それは神の器が生み出した合成魔獣兵器。インド神話の7つのコブラの頭を持つ蛇神、ナーガを思わせる姿であった。その全長は実に30メートルほどもあり、城門から城へと通じる庭に鎮座する。


「な、なんだあれは!」

「あんな化け物初めて見るぞ!」


騎士団に動揺が走った。真っ先にエアリアがナーガに立ち向かう。ナーガの首は7つ。そのうち1つが毒の息を吐くとたちまち中庭に毒が広がっていった。

その毒にレッサーデーモンや謎の集団も巻き添えに、騎士団員も毒に撒かれ抵抗力の無い者から身体が痺れていく。

エアリアも毒に足を止め、距離を取る。オーラである程度は軽減できるかもしれないが、確証がなかった。


ナーガの毒は神経毒であり、強烈な麻痺効果がある。その麻痺は最悪心臓の動きも止め死に至ることも珍しくない。


「風だ! 風魔法で吹き飛ばせ!」


騎士団の誰かが叫ぶと、風の魔法を使える者は強風で毒を吹き飛ばしていく。しかし既に倒れている者が回復することはない。ナーガはその大きな口で麻痺を受けた哀れな犠牲者にかぶりつき、呑み込んでいった。


「み、味方まで呑み込むな!」


呼び出した者が大声で呼びかけるが一切無視してレッサーデーモンだろうが謎の集団だろうがお構いなく食べていく。

ナーガにとっては周りにいる生き物全てが等しく餌なのだ。


風で毒の霧も吹き飛ぶとエアリアが再びエウルードを手に突撃する。極滅気ルイナスオーラを纏わせ、餌に噛みついた首を横から一閃して切り落とす。そのことでナーガはエアリアを敵と認識。6つの首がエアリアを襲った。


6つの首は1本ずつエアリアを呑み込まんと口を開けて突撃をかけてくる。1本かわせばもう一本と受ける訳にもいかず大きく動いてかわすしかない。それは短いダッシュを何度も繰り返すもので確実にエアリアの体力を奪っていく。それでも隙をついて1本の首を斬り飛ばすことに成功。並の刃では通さぬ鱗も神話級ミソロジーという反則級の切れ味を誇るエウルードの前では形無しである。


しかしそれでも戦況は良くならない。最初に斬り落とした首からは激しい勢いで細胞分裂が起こっており、首を修復していく。再生まで実に僅か3分。生命力の強そうなナーガであるため首を全て斬り落としても死ぬ保証はない。


そして完全にエアリアにヘイトが向いており、もし今エアリアが味方のいる位置に後退すると確実に巻き込む。そのため距離を取ることもできなかった。


そして首の攻撃をかわしつつ一太刀入れてはかわしてを繰り返す。そうこうしているうちに最初に斬り落とした首が元に戻り戦線に復帰。毒の息を吐こうと息を吸い込む。


こうなるとちまちま攻撃している場合ではなかった。

ナーガが再び大きな口を開けてエアリアに迫る。

横に跳び、間一髪かわして着地。しかし疲れが出たのかふらつき、バランスを崩す。

辛うじて踏み止まるももう一体が口を開けて迫っていた。


そして逃げるまもなく、エアリアの身体はナーガの口の中に収められてしまう。

それを見ていた騎士団員達から絶望の悲鳴が響き渡る。ある者はその様子に動きを止めてしまい、グレーターデーモンの腕に捕まる。またある者は恐怖し、立ちすくむと敵に腹を貫かれた。そうして戦況は一気に悪化していった。




エアリアは飲み込まれこそしたものの、毒牙で噛まれることはなかったため怪我自体はない。しかし溶解液に満たされた胃袋に落とされ、いつまで持つかわからない。

自分の足元には他にも飲み込まれた人達がいる。まだ生きてはいるものの、溶け始めている者もいた。

そこで極滅気ルイナスオーラ聖光気セイクリッドオーラを同時展開。

そして詠唱を始めた。使うのは極滅エクストリマム裁き(インディシアム)

終焉(ウルティムス)浄滅プルガティオの劣化版である。劣化版とはいえ、その威力はエウルードを媒介にすればこのナーガを滅ぼすことは可能だと確信があった。


命と魂の守護者 全ての闇と光の母よ 我は汝の子なり

その秤を持ち審判を問うものなり 秤は罪に傾く

故に我はその罪を裁かん 愚かなる者に下す鉄槌よ

其は極大の破滅を与える光となり振り注げ

今この時我は極滅の天使とならん


極滅エクトリマム裁き(インディシアム)!」


裁きの光のその全てをエウルードに集約。2つのオーラを融合させ、魔法に転化し魔力増幅効果を上乗せする。

そして真上に向けて魔力を解放すると、極太の銀の閃光がナーガの肉体をやすやすと蒸発させる。撃ち終わる頃にはナーガの胴体より上が完全に消え失せていた。


そして、ナーガの遺体は陽の光に照らされ灰となっていく。

身体のどこかにあった賢者の石が破壊されたのだろう。


エアリアも消耗はかなりのもので、瞬お手製の回復薬を飲んで体力と魔力を回復させる。味方がやや劣勢に陥っていたのだが、エアリアの戦線復帰で戦況は再び盛り返し始めた。

並み居るグレーターデーモンを斬り伏せ、謎の集団も騎士団員達の手によって無力化ないし斬り伏せられていく。


「…着替えたい」


エアリアの胸鎧の下に着ていた服が溶解液や戦闘のせいで破れ、おへそが見えていた。ちょっと恥ずかしかったらしく、戦闘が終わると大きめのタオルでおへそを隠すのだった。


Extremum indicium ラテン語です。

今更ながら救世主をヘブライ語にしたのは統一感なかたw

ラテン語だとサルヴァトルでしたね(´-ω-)ウム


王都動乱編は今回で終わり、次回新章に入ります。後始末とかその辺はサラッと触れて終わりにします。

物語も後半に入るのでもうしばらくお付き合いくださいませm(_ _)m


おもしろいな、続きが気になる、と感じていただけたら、広告下の評価やいいね、ブックマークをいただけると嬉しいです(๑•̀ㅁ•́ฅ✨


また、もっとこうして欲しいなどの要望や感想などのコメントをいただけると励みになります꒰ঌ(๑≧ᗜ≦)໒꒱⋆⸜♡⸝⋆

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