王都動乱2
「一体全体何がどうなってやがる!」
宮松は長さ2メートルにも及ぶ大剣で持ってグレーターデーモンを薙ぎ倒していた。有事のために、と瞬から送られた大剣は伝説級クラスのレア度を誇る逸品である。前の4メートルの物は野外でないと使えず、汎用性に欠けるためもう少し使いやすいものにしたのだ。
隊の仲間がスリーマンセルで対応しているのに対し、宮松はその特性上単騎で戦場となった城内を駆け巡る。並み居るグレーターデーモンを一太刀で屠っては逃げ遅れた者はいないか声を挙げて確認していた。
宮松は走って逃げているモーリスを見かけると声をかける。
「モーリス殿下、何してんすか。王妃様達も大広間に避難してるはずですよ。俺が守りますから行きましょう」
「お、おお。そ、そうなのか。父上もいるのか?」
「いや、そこまではわかりませんけど。その内来ると思いますよ?」
「よし、案内しろ」
「任せてくれ」
モーリスが反逆者と知らない宮松は自分の仕事を全うするため大広間までの護衛を買って出る。
そして宮松を先導させ、大広間へと急ぐ。グレーターデーモンに遭遇することも無く到着すると、モーリスは遠巻きに中を覗く。
瞬もエアリアもいない。大賢者のゼナや騎士団長のゼストも護衛に付いているが、あの非常識な強さの2人がいないなら何とかなるだろうとほくそ笑んだ。
「よし、ミヤマツだったな。先に行け」
と先に宮松を走らせ、中へ入ると距離を取ってゆっくりと歩く。
「陛下! モーリス殿下を見つけました!」
「なに! そいつは反逆者だ! ひっ捕らえろ!」
宮松が報告を行うと国王は冷や汗が流れ捕縛を命じる。ライオネスの持つ指輪も予兆と悪意の探知が反応し、モーリスの害意を警告する。
「うはははは! 来い、大悪魔ランラール!」
モーリスは既に呪を唱え終えており、魔族の召喚を行うと魔法陣が発生。その中から一体の悪魔が出現する。
その悪魔は一言で言えば血のように赤い鎌を持つ狂った道化師。
「ウケケケケケケ! やっと俺様の出番かぁっ!」
「ランラール! そこにいる奴らを皆殺しにしろ」
「モーリス! 貴様そこまで堕ちたか!」
ライオネスがモーリスを非難するがモーリスは勝ち誇ったような薄気味悪い笑みを返すのみである。
「俺が連れて来たばっかりに…! こいつは俺が責任持って倒します。団長は陛下をお願いします!」
宮松はランラールにに対し前へ出て大剣を構える。
ゼナは国王達を守るべく結界を強化した。
「お前が俺の相手か? 舐めんじゃねーぜクソガキが!」
「うおおおおおおおっっ!!」
ランラールに向かって宮松が駆ける。身体全体を覆う闘気は
瞬の加護によりその質を高めていた。馬鹿力を活かした斬撃をランラールめがけて放つ。
ランラールはその一撃を鎌で受け止める。しかし威力に押され、身体ごと後ろへ飛ばされた。体勢を崩すことはできなかったが、更に追撃をかける。
ランラールは闇の盾を生み出し追撃に備える。宮松は構わず力任せに斜めに大剣を振り下ろした。
その一撃は闇の盾を破壊し、ランラールの鎌の柄と激突。ランラールが一瞬よろめくを
そこをなんと宮松が大剣から手を離し前へ出る。そして宮松の喧嘩殺法ローリングソバットがランラールの胸にヒット。ランラールは後ろへと吹っ飛び、モーリスを巻き込む。
「ぐへっ!」
モーリスは情けなく呻くと涙目になる。
一方の吹っ飛ばされたランラールは嬉しそうに笑い声をあげながら立ち上がった。
「ウケケケケ! いいねいいねぇ! 楽しくなってきたぜ!
俺様はな、楽しくなるとつい殺っちまうんだ! 興奮して興奮してもう辛抱たまらんぜぇっ!!」
ランラールの闇が著しい増大を見せる。口元を三日月のように歪ませ、狂気じみた笑い声を響かせた。
「…殿下。シュンを呼んで下さい。このままでは彼は殺されてしまいます」
「そ、そうだな…」
ゼナは正しく力量を測ると勝ち目がないと判断する。自分が加勢すればなんとかなるかもしれないが、その様子を隠れて見ている存在にゼナは気づいていた。
「ん? また緊急コールだ」
「…行って。私なら平気」
「じゃあ行ってくる」
瞬達は騎士団と協力して門の入り口から侵入して来た謎の集団とグレーターデーモン、レッサーデーモンの大群の相手をしている真っ最中だった。状況は騎士団側に傾いており、辺りにはその集団やデーモン達の死体が無数に転がっている。仲間の騎士達もいるので瞬は任せて瞬間移動でライオネスの元へと跳んだ。
転移召喚陣の先から出ると、宮松がピエロのような悪魔と戦っている。
「シュン、あの悪魔よりも、もう1人隠れている奴がいます。そちらの方をお願いします」
ゼナは瞬を確認するなり上を見る。そして牽制に光線を放つとそれは虚空で障壁に阻まれた。
そしてそのもう1人が姿を現す。
以前瞬が見た時は見習い神官の格好だった。今の姿は黒い神官服に身を包んだ邪悪なる神官。
神の器の幹部。アーシ=クセイダーであった。
「隙をついて強力なのをお見舞いしたかったんですがねえ」
アーシの周りに黒い魔力が収束していく。収束した魔力は両の手の間に集められ膨らんでいく、
「防衛!」
「こんな風にねぇっ!!」
頭上から極大収束閃光魔法を放つ。その黒い閃光は瞬の防衛とぶつかり闇が弾ける。4層の壁を打ち砕く凄まじい破壊力に轟音が響いた。
「防ぎ切りますか。本当にむちゃくちゃです、ねぇっ!」
瞬が後ろに瞬間移動したのに反応し、その一撃を闇の盾で受け止める。
「いい反応するね。不意をつけたと思ったのに」
アーシは少し離れて距離を取ると、大広間の上で2人は対峙した。お互い宙に浮いているが、その質は違う。
瞬は飛翔魔法、アーシは浮遊魔法である。当然スピードは瞬が上なのだが、空中ではパンチの威力も半減であった。
「そう簡単にはさせませんよ」
「お前はここで倒す。逃がさないよ?」
瞬は封絶で空間を封鎖。逃げ道を塞ぐ。そして結界のカタチを直方体にすれば地上戦も可能であった。
「これだと貴方も逃げられませんよ?」
「勝ってからいいなよ」
アーシはどこか余裕のある笑みを見せる。瞬は気を引き締めると構えを取り、身体を弾ませた。
おもしろいな、続きが気になる、と感じていただけたら、広告下の評価やいいね、ブックマークをいただけると嬉しいです(๑•̀ㅁ•́ฅ✨
また、もっとこうして欲しいなどの要望や感想などのコメントをいただけると励みになります꒰ঌ(๑≧ᗜ≦)໒꒱⋆⸜♡⸝⋆




