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エウルードmk2

馬車ゴーレムを取り出し、エアリアを中で休ませる。髪や身体が大量の水で濡れてしまったため、身体を拭いて着替えを介助してと理性を保つのが大変だった。

エアリアを休ませた後は封絶ディメンジョンシールで魔物が寄ってこないようにして施設の探索とエクスタ草の採取をしておく。


施設の中は誰も居なかったが、何らかの研究資料が残されていた。資料内容はアリスの戦闘データで、瞬にとって特に有意義なものは残っていなかった。


用事も午前中には済んだので、エアリアが起きる前に武器を作ってしまおうと思い立つ。


「うーん、やっぱりエウルードと同じようなものの方がいいよな。そうなると素材かぁ」


瞬の手には神鉄鉱オリハルコンの盾がある。刃や穂先となる部分くらいならこれで足りそうだが柄の分が足りない。ミスリルではあまりに差がありすぎるため、残りの希硬鉱石アダマンタイトを取り出す。


その2つに更に自らの血を加えるべく腕に傷を付け、その2つに垂らした。

そして神器創造のスキルで形状をイメージ。エウルードと同じ色、といのもあれなので赤を基調にして創造。できうる限りの強化も施す。


そして解析アナライズで品質を確認する。


鎌槍エウルードmk2 品質 神話級ミソロジー

自動修復 気増幅(強) 魔力増幅(強)

魔力制御補助(極) 闇属性(極) 切れ味強化(極)


エアリアの特性に合わせ、属性も闇にしてみた。品質も神話級ミソロジーで瞬はその出来に満足する。


「気に入って貰えるといいな…」


まだ目を覚まさぬ最愛の人を想い、喜ぶ姿を妄想するのだった。




その後はゴーレム馬車を街の近くまで走らせた。歩くよりは格段に早いため、行きほどの時間はかからない。

もうじき街かな、と思える辺りでエアリアが目を覚まし御者席に顔を出した。


「…瞬ごめん。迷惑かけた」

「そんなことはいいよ。それよりもう平気?」

「…うん、お陰様で」


エアリアが瞬の隣に座る。もうじき街に着くためゴーレム馬車の速度を落とし、停止する。少し先を見るともう街の外壁が見えており、人々の行き交う様子が見て取れた。


「街も近いし歩こう。行けそう?」

「…うん。平気」


瞬が先に降り手を差し出すと、その手を取ってゴーレム馬車を降りる。そして馬車を収納した。街道でやるのは迂闊かもしれないが、周りに人がいないことは確認済みである。

周りに人もいないしここでいいか、とここで作った武器を渡すことにした。


「あ、そうだ。エウルードの代わりになるかはわからないけど、めいっぱい強い武器を創ってみたよ。名前はエウルードmk2にしてみた」


そう伝えエウルードmk2を取り出す。エアリアは嬉しそうに新しい武器を受け取った。

すると、エアリアははっ、とした様子でエウルードmk2をしげしげと眺める。


「…シュンありがとう。振ってみていい?」

「…うん、色々試してみてよ」


エアリアは早速エウルードmk2を振り回す。凪払い、突き、叩きつけ、旋回と様々な動きを確認する。その動きは一切の淀みがなく流麗で美しかった。

最後にくるりと振り回した後、がっしりと脇でエウルードmk2の柄を挟む。


「…エウルード」

「うん、mk2だよ。色違い」

「…そうじゃない。これは完全にエウルード。使った感触、肌触り、重さ、使い心地。何一つ違わない。長く使ってきたからわかる」


エアリアは神妙な面持ちで感想を伝える。瞬はエウルードを触ったことがない。解析アナライズも使ったことはないはずなのにこの一致はなんなのか、とエアリアは考える。


「そんなに出来が良かったなら何よりだよ」

「…有り得ない。いくら似せたからって、触ったこともない武器をここまで再現できるものなの?」

「スキルで創ったものだからなんとも。何か気になるの?」


エアリアの中である答えが生まれる。それはあまりに突拍子もなく、しかしそれでいて納得の出来てしまうものがあった。


「…シュン。これから話すことはあくまで可能性の一つ。怒らないで聞いて欲しい」

「え? うん」


そしてエアリアはその導いた答えを話した。


「…エウルードは元々魔神王ヴァルバロイの武器だったの。つまり、グランデスの神器じゃなかった。なら何故シュンを見つけられたのか。それが私にはわからなかった。でももしも、もしもなんだけど…」


瞬がゴクリと唾を飲む。


「…魔神王ヴァルバロイの正体がシュンだったら? それならシュンを見つけられた理由もわかる。作った本人に反応しただけだもの。それに、そもそもグランデスの神器がヴェルム=カッソの恩恵ギフトに反応する理由がわからなかった」


その答えに瞬はまさか、と乾いた笑いを浮かべる。


「僕はこの世界に来たばかりだよ? そんな何年も前からこの世界にいるわけないよ」

「…そうだね。でもヴァルバロイは召喚された存在。アルハザードがそう漏らしていたけどそれは20年前。ごめんなさい、忘れて欲しい」


召喚されたのは20年前だから瞬は生まれてもいない。そのはずだと思い直し、エアリアは頭を下げる。

だが瞬には召喚と聞いてあれ? と思うことがあった。


━━こっちの世界と僕のいた世界。時間の進みってリンクしているのかな? もしそのヴァルバロイが未来から来た、とかなら有り得るのか? もし僕ならどうしてアリーを呪い殺せる?

エアリアそっくりの、しかも育ての親でエアリアがあんなに信頼し、尊敬していた相手にそんなことできるわけがない。


そこがどうしても納得いかなかった。僕が闇堕ちとか悪い冗談だ、とエアリアの手を取り歩き始める。

瞬は絶対にこの手を離すまい、と誓うのだった。

次回急展開!


強風オールバックを聞きつつ待て!


おもしろいな、続きが気になる、と感じていただけたら、広告下の評価やいいね、ブックマークをいただけると嬉しいです(๑•̀ㅁ•́ฅ✨


また、もっとこうして欲しいなどの要望や感想などのコメントをいただけると励みになります꒰ঌ(๑≧ᗜ≦)໒꒱⋆⸜♡⸝⋆

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