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エウルード

「その武器はずるい!」

「…技術の差」


エアリアとアリスは対峙して刃を交えていたのだが、アリスの猛攻をエアリアは全て凌ぎ切っていた。持つオーラの質、量に技量。その3つにおいてエアリアは上回っており、そして武器の差も大きかった。神話級ミソロジーの武器に比肩する武器などそうそうあるものではない。


「いいえ、武器の差よ! ヴァルバロイ様の武器なんて卑怯だわ」

「…? これはグランデスの神器。ヴァルバロイの武器なわけない」


エウルードはアリーから受け継いだ武器である。ほのとき、これはグランデスの神器だと聞いていた。このエウルードをエアリアは大変気に入っており、初めて持ったときはまるで自分のための武器ではないかと思ったほどその手に馴染んだのだ。


「どうした、引くぞアリス」


アルハザードがアリスに後ろから声をかける。瞬から受けたダメージが酷く、口から吐血の跡があった。既にふらふらである。


「アルハザード様、武器に差がありすぎます。エルウードの奪還は難しいです」

「そうか。だがエウルードはヴァルバロイ復活に必要な鍵だ。必ず取り戻す必要がある」


戦闘中に呑気なものだな、と思いつつもエウルードのことが気になりアルハザードにエアリアが問いかける。


「…アルハザード。このエウルードはヴァルバロイの武器だとそこの女が言った。本当なの?」

「ん? 知らずに使っていたのか? それはアリーがヴァルバロイ様から奪った武器だろう? ヴァルバロイ様を召喚したときに持っていたからな。間違いない」


アルハザードの答えにエアリアは衝撃を受けた。何故アリーはそんな嘘をついたのだろうと。そしてそうなると、どうしてもわからないことが一つあった。


「エウルードは返して貰うぞ! いでよ黒き蟲よ!」


アルハザードの呼びかけに応え、大量のゴキブリが召喚されエアリアを襲う。


「…ゴ、ゴキブリ…!」


その大量のゴキブリがエアリアの周りを飛び交う。その絵面にエアリアは泣きそうになった。身体は生理的な悪寒に支配され正常な判断力をも奪っていく。


「ふはははははは! 貴様の弱点は調査済みだ!」


エアリアは半狂乱になってエウルードを振り回す。その斬撃にいつもの鋭さは微塵もなく、あれだけいるゴキブリにかすりもしない。呼吸は乱れ、精彩をかいていた。そのせいか身を守るオーラにも影響が出始める。


「…こ、来ないで!」

「よし、今だアリス! エウルードを…?」


アリスは泡を吹いて気絶していた。弱点も同じらしい。


「ええい、役たたずが! 行け! ゴキブリども!」


そしてゴキブリの大群がエアリアの身体にまとわりついた。走る悪寒に不快感。精神汚染耐性では対抗しきれぬ恐怖にエアリアはついエウルードを手放し、地面を転げ回って泣きながら悲鳴をあげた。もはやそこに最強の戦士としての姿はない。


その悲鳴を聞きつけ瞬がエアリアの元に走ろうとするが魔王が邪魔をする。


「行かせん!」

「邪魔だ! どけ!」


怒りに任せ、全力のアッパーを放つ。魔王は闇のオーラでガードするが威力に押され吹き飛ばされた。


「この力は…!」


瞬は急いでエアリアに駆け寄り、大量の水を創り上げてゴキブリを洗い流す。それでもエアリアの精神的ダメージは深刻であった。ゴキブリはまだ残っている。とにかく駆除する必要に迫られ殺虫魔法を創り上げた。


殺虫剤インセクティサイド!」


白い煙が巻き起こり、ゴキブリども駆逐していく。人には無害という都合のいい仕様である。


「引くぞ魔王! 手を貸せ!」

「あ! 返せこら!」


アルハザードの手にはエウルードが握られていた。瞬が撤退を阻止しようとするが、またも魔王ヴェールが邪魔をする。エアリアを狙って突進されてはアルハザードを追えなかった。


「くそっ!」


魔王の蹴りを受け止めエアリアを守る。彼女は今戦える状態ではなかった。


「ふむ、なかなか面白い。ぜひ今度一対一でやり合いたいものだ。今日のところは見逃してやろう」


魔王は瞬を見下ろす。射抜くような、そしてどこまでも冷たい眼光。今本気でやり合うのは得策ではないことを瞬も理解していた。魔王を見上げ、睨んだまま足から手を離す。


「賢い選択だ」


魔王はそう言い捨てるとアルハザードとアリスとともに転移していった。

エアリアは憔悴している。ゴキブリの精神的ダメージも酷いが、エウルードを奪われたことも大きい。


周囲にはアルハザードが落としていった凹んだ神鉄鉱オリハルコンの盾が残っておりそれを回収する。


「…シュン、ごめん。足を引っ張ってしまった」

「大丈夫。僕が必ずなんとかするから」


瞬は拾った神鉄鉱オリハルコンの盾からエアリア専用の武器を作ろうと考えていた。

第3、4部分である違和感を感じてた方はもうじき解消されるかも知れませんね。


おもしろいな、続きが気になる、と感じていただけたら、広告下の評価やいいね、ブックマークをいただけると嬉しいです(๑•̀ㅁ•́ฅ✨


また、もっとこうして欲しいなどの要望や感想などのコメントをいただけると励みになります꒰ঌ(๑≧ᗜ≦)໒꒱⋆⸜♡⸝⋆

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