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悪魔ベンザエル

「…邪魔」


エアリアは教会の中に入ると、並み居るグレーターデーモン達を次々と斬り伏せ道を作る。劣勢を強いられていた騎士団員は悪魔達が次々と斬り伏せられていくのを見て大いに奮い立った。


「…大司教様はどこ?」

「裏口から脱出しているはずです!」


残りのグレーターデーモン達を任せ、エアリアは急ぐ。廊下を走ると裏口が開いているのが見えた。

扉の向こう側でも戦いが繰り広げられており、ローハル大司教も防御プロテクションの魔法でグレーターデーモンの攻撃を阻んでいた。

エアリアは扉を抜けると一気に前へ出てグレーターデーモン達の中央に跳び、その鎌を振るう。


舞うように流麗、その閃撃に淀みなし。辺りの悪魔達は気づけばその胴体を真っ二つにされ崩れ落ちていった。


「めんどくさいのが来たようですね。来なさい! ベンザエル!」


アーシの呼びかけに応え魔法陣が展開。その中から飛び出したのはバスタードソードを背負った人型の悪魔であった。人と違うのは瞳の無い黒い目、屍人のような青白い肌。しかし身に纏う魔力は立っているだけで周りに強大な重圧を与え、畏怖させる。


「アーシ=クセイダー、呼んだか?」

「その女を止めてもらえますか?」


アーシはエアリアを指差し命令する。


「ジルバはどうした?」

「あれはもう1人の足止めに使いました。今頃やり合ってるでしょうかね」


アーシは邪悪な笑みを浮かべる。そしてグレーターデーモンをエライネ達にけしかけた。

そしてベンザエルはバスタードソードを引き抜く。当然ただの大剣ではない。ベンザエルの魔力を具現化させた業物であり、その強度はミスリルすら凌駕する。


「いくぞ女!」

「…邪魔!」


2つの闇が激しくぶつかり合う。纏う闇の力は互角。しかしその均衡を周りのグレーターデーモン達が崩す。

エアリアめがけ無数の炎の矢が降り注ぐ。それを横に飛んでかわそうとするが、その進行方向からグレーターデーモンが突進をかけてきた。迎撃も回避も間に合わずエウルードとオーラで防御。後ろに飛ばされる。

そこをベンザエルが大剣を振り下ろし追撃をかけた。その重い斬撃をエウルードで受け止め、胸を蹴って突き飛ばす。


「なかなかやる。ちょっとサシでやりたくなってきたな」


そういうとベンザエルが指をパチンと鳴らす。


瞬間辺りの空気が変わった。


いつの間にか周りのグレーターデーモン達は姿を消していた。それだけでなく、ローハルや聖堂騎士団テンプルオーダーもいない。エアリアは一切の静寂が支配する異質な空間に閉じ込められたことを理解した。


「さっきからずっと気になっていたんだが、お前実験体に似ているなぁ」


ベンザエルが顎を撫でながらニヤニヤ嗤う。

その一言にエアリアの顔色が変わった。


「ああ、そうか。だから殺せではなく止めろか。お前が10年前にいなくなった実験体か、そうかそうか!」

「…だから何?」

「では1つ面白いことを教えてやるよ。お前は貴重なサンプルになった。お前、恩恵ギフトを持っているだろう? だがヴァサーの眷属ではないな。ホムンクルスであるお前が奴らの加護など受け取れるはずがないからなぁ」


エアリアは迷う。もしかしたら貴重な情報が得られるかもしれない。しかしこのままでは恐らくあの聖堂騎士団テンプルオーダーは全滅するだろう。しかしベンザエルも容易く倒せる相手ではない。


「となるとお前の恩恵ギフトは三原神の誰か、になるがまぁ、グランデスだろうな。他の実験体は当然三原神の恩恵ギフトなど持っていない。女、俺と来い。ヴァサーを神の座から引きずり下ろせばお前も奴の加護に怯えなくていいんだ」


三原神とはヴァサーの眷属に属しない、一般には知られていない忘れられた古き神々のことである。


「…断る。私は私からアリーを奪ったヴァルバロイを許せない。ヴァルバロイを生み出したお前らを許さない!」


ベンザエルの誘いを断り、エウルードを構える。


「お前を生み出したのが我ら神の器なのに許さない? 理不尽な話だなまったく!」


再び2つの闇が激突した。やはり単純なパワーだけを見れば互角である。闇はお互いを相殺しあい、2人は再び距離をとった。


「まさかこの俺と互角とはな。全くこれは殺してしまうかもしれんなぁ」

「…互角じゃない」


エアリアを金色のオーラが包む。瞬の加護で得た聖光気セイクリッドオーラである。


「!? バカな! なぜホムンクルスであるお前が光のオーラを持てる!」

「…本当は見せたくなかった。見せた以上確実に滅ぼす!」


エアリアはさらにその聖光気セイクリッドオーラ極滅気ルイナスオーラを重ねる。

闇は光を餌にさらに膨れ上がる。相反するはずの2つのオーラはエアリアの恩恵ギフト『後継者』の権能『神魔融合』によりさらに1段上の深淵気アビスオーラへと昇格した。


更に向上した身体能力でベンザエルに接近。

激しく威力の増したオーラで悪魔の闇を打ち破り、その肉体を切断する。


「…終わり」


大きな闇が小さな闇を飲み込み、ベンザエルは消滅した。




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