教会襲撃
「…急いで教会へ行く。大司教が心配」
「! そうだね、急ごう」
2人は教会に向かって走り出す。街の中には至る所に異形の存在が家や人を襲っていた。
グレーターデーモン。
魔族の尖兵であり、その頑強な肉体は物理攻撃に対する高い耐性を持ち、魔力障壁により並の武器では大した傷はつけられない。さらにその魔力は人のそれを軽く上回り、魔法の詠唱も必要としない。そのため危険指数250とかなり高く、ゴブリンキングを凌駕する。
「あれもほっとく訳にはいかないか。エアリア、すぐに追いつくから先行ってて」
「…わかった」
瞬は走るのをやめ、聖光気を身に纏う。そして屋根の上にいた一体めがけ空間移動。
直後に顔面をスローイングパンチ。地面がなかったためである。たったその一撃でグレーターデーモンの顔面を破壊し、その身体を地面に叩きつける。
「光矢!」
聖光気をブレンドした光の矢を10本射出し、グレーターデーモンにトドメを刺す。
すると、辺りにいたグレーターデーモン達が瞬を敵と認識し、狙いを定めた。
つんざくような雄叫びをあげ無数の炎の矢を生み出す。
その全てが瞬に降り注いだ。
しかし瞬は防衛でその全てを防ぐ。
「お返しだ! 千の光矢! 」
千の光の矢が辺りのグレーターデーモンに次々と刺さり、その息の根を止めていく。
回収する次官も惜しいため、そのまま瞬間移動を繰り返して教会を目指す。
しかし道中にもグレーターデーモンがいて足止めをくらう。
強襲をかけてきた悪魔の腕をかわし、魔法の矢をかわし、闇の閃光防ぐ。瞬にとってグレーターデーモンなぞ雑魚同然だが数が問題だった。
「あーもう! 急いでるのに!」
瞬はイラついて近くの一体を殴り飛ばす。その間に他のグレーターデーモンが閃光や矢が飛ばし、楽をさせてくれない。
「うぉらぁっ!!」
と、そこへ巨大な斧の一撃がグレーターデーモンを真っ二つにする。
「裂空斬!」
「ニャッ!」
さらに素早い剣閃がグレーターデーモンの首を跳ねた。
さらにその胸からナイフが生える。
「おや、シュンじゃないか、奇遇だねぇ」
そこに現れたのは戦乙女たちだった。瞬の加護を得て聖光気を身につけた彼女達である。グレーターデーモンにも対抗できる攻撃力を手に入れたのであった。
「エルザ! エストとニャムも!」
「エアリアは一緒じゃないの?」
「みんなで魔物狩りしてるニャ!」
「助かった! 悪いけど後お願い!」
エルザ達が動いてるなら他の冒険者や聖堂騎士団も動いてるだろうと思い、後は任せることにした。
「よくわからんけど任せるニャ!」
「んじゃいっちょ暴れようかねぇ!」
瞬は戦乙女の面々に任せ教会目指して走り出す。
彼女達は聖光気を纏いグレーターデーモン達に立ち向かっていった。
瞬が道を走っていくと聖堂騎士団や冒険者達がグレーターデーモンと戦いを繰り広げているが、劣勢を強いられているようである。
瞬は理解した。ああ、これ戦乙女たちが強すぎなだけかと。たった3人で複数の悪魔とやり合うのがおかしいのである。
「ローハル大司教、こちらです」
エライネ=リコーは配下の聖堂騎士達を引き連れローハルを護衛して避難していた。
教会にもグレーターデーモンが押し寄せ、あちこちから火の手が上がっている。聖堂騎士は弱くはない。しかしグレーターデーモンが強く、一体倒すのにも犠牲が出るのを余儀なくされる程の差があった。
「ふむ、結界は機能してなかったのかね?」
「はい。何者かに結界の核を破壊されていたようです」
本来教会には悪魔達の侵入を阻む結界がされている。その結界があるため、非常時には民衆の避難の場となっていた。しかし今回の襲撃では結界が破壊されたため、悪魔達の侵攻を許してしまっていたのである。
教会の裏手の非常口から外に出るが、そこにもグレーターデーモンの手が延びていた。
「囲まれているだと!」
エライネ達が外へ出るとそこには既にグレーターデーモンが待ち構えている。しかし何故か襲いかかってこなかった。
「お待ちしていましたよ、大司教様」
グレーターデーモンを背に1人の神官が立っていた。
「アーシ! 君が悪魔達を…!?」
それは見習い神官のアーシであった。神官らしからぬ邪悪な笑みを浮かべクツクツと嗤う。
「ダルクアンクレプリカはどこですか? それを渡してくれるならグレーターデーモン達は引かせましょう」
「狙いはやはりレプリカか!」
エライネが剣を抜き、その切っ先をアーシに向けた。
「ええ、レプリカは未だ再現できない貴重品です。紛い物の賢者の石とは性能が違いすぎましてねぇ」
「狙いはなんだね? まさかまた魔神王ヴァルバロイを復活させるつもりじゃあないだろうね?」
「ご名答。魔神王様の依り代には屈強な肉体が必要でしてね。そんな肉体を作るにはレプリカが必要なんですよ」
ローハルの問いにアーシはペラペラと喋る。知られたところで彼にとっては大したことではないのだ。
「では渡すわけにはいかんな」
「それは弱りましたね。何人死ねば気が変わるでしょうか?」
アーシが配下たちに命令を下すと悪魔達が吠えた。
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