ローハル大司教
「いや、すまなかったね2人とも。マウテアがエアリアにお熱なのは有名だったからねぇ。決着は必要だろ?」
エルザは悪びれもせず釈明する。瞬はふぅ、とため息をつくが、怒った様子は無い。
「結果的には良かったからいいよ。ムカついてたし」
「…ちょっと嬉しかったかも」
どうやらエルザの悪巧みは上手くいったようである。エアリアも喜んでおり、瞬もうっ憤を晴らせた。
悲惨だったのはマウテアだけでそれ以外は丸く収まったのである。
「なら良かったよ。いい話のタネができたってもんだ。じゃあな」
ガハハと豪快な笑い声をあげエルザは去っていった。
残された2人は顔を見合わすとクスクス笑う。そしてヴァサー教会の中へ入っていくのだった。
教会の中では信者たちが大聖堂で礼拝をしていた。その両脇にも奥に続く通路があり、その近くでは聖堂騎士が警護をしている。
「…すいません、ローハル大司教様に面会を」
エアリアがその聖堂騎士に話しかける。
「ん? ローハル大司教様に何の用だ?」
「…エアリアが来たと伝えてくれればいい」
その騎士は怪訝そうな顔でエアリアを見る。とはいえ、一応確認は必要なため、近くにいた見習い神官に命じた。
「おい、そこの見習い神官。ローハル大司教様に一応お伝えして来てくれ。エアリアと…。エアリア!?」
その騎士はここに来てエアリアの名を思い出す。
極滅のエアリア。
その名は冒険者のみならず多くの権力者や騎士団の間でも有名であった。そしてここベンジスにおいてもマウテアの関係もあって有名で、教会と繋がりがあることも知られているのだ。
「し、失礼しました。そこの神官。お連れして差し上げろ」
打って変わった態度で謝罪すると、命令の内容を変更する。
「わかりました。ではどうぞこちらへ」
見習い神官の案内で奥へと通される。長い廊下を渡り、突き当たりを曲がる。
しばらく行くと廊下の中央辺りに部屋があり、見習い神官はそこで部屋をノックした。
「ローハル大司教様。エアリア様がお見えです」
「おお、そうか。入ってもらいなさい」
見習い神官が声をかけると優しげな声が返ってきた。その声に誘われるまま扉を開けると中にいたのは眼鏡をかけた白髪の老人であった。書類に目を通していたところのようである。
「アーシ、ご苦労だったね。エアリアも久しぶりだね。息災で何よりだ」
「…お久しぶりです。ローハル大司教様」
ローハルはエアリア達が入ってくると仕事を中断し、声をかける。エアリアも恭しく頭を下げたのを見て瞬も慌てて頭を下げた。
「うむ、全くだ。3ヶ月も来てなかったじゃないか。ところでそちらの少年は?」
「…彼はシュン。私の…パートナーで大事な人です」
エアリアは頬を染め瞬を紹介する。
「ほほう。君にも春が来たか。結構結構。ああ、アーシ。もう下がっていいよ。職務に戻ってくれたまえ」
「では失礼いたします」
アーシが一礼して退室すると、ローハルはソファに座るよう促し席に着いた。促されるまま2人も席に着くと、さて、とローハル大司教が話を切り出した。
「実に良いタイミングで来てくれたね。君に頼みたいことがあるんだよ」
「…頼みたいこと?」
「実はだね。一昨日のことなのだが近くの遺跡でダルクアンクレプリカが見つかった」
その一言にエアリアの顔つきが変わる。
「知っての通りダルクアンクレプリカは神の器でもまだ再現が出来ていないはずだ。このレプリカは必ず奴らが奪いに来るだろう。そうなるとこのベンジスでは到底守り切ることはできん。そこで、だ。エアリア。君に王都ベルムントまでの護送をお願いしたい」
ベルムントまで行くとなると道程としては戻ることになる。
しかし他ならぬローハル大司教の頼みであり、ましてやベンジスでは守りきれないのはその通りだと思った。
「…わかりました、お引き受け致します。ギルドに指名依頼を出してください。シュン、戻ることになるけどごめん」
「僕は構わないよ。任せて」
とても嫌だと言える空気でもない、というのもあるが、瞬にとってエアリアの頼みにノーはないのである。2つ返事で了承し、笑顔を返した。
「…うん、ありがとう」
「助かるよ。早朝出発予定だからそうだな、2時間程してからギルドで受けておくれ」
その後2人は指名依頼を受け、ダルクアンクレプリカを王都ベルムントまで護送することとなった。
今日はもう一本投稿します。
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