マウテアという男5〜闇堕ち〜
「さて、決闘は僕の勝ちだよね。エライネさん…でしたよね。貴方の名において約束は守らせてくださいね」
「あ、ああ…もちろんだ…」
瞬はすこし不機嫌ではあったが、これで付きまとう事もないのなら、とエアリアの元へ歩いていった。
エライネは戦慄さえ覚え上手く言葉が出せないでいた。エライネをして瞬の動きはあまり見えていなかった。
━━こいつに勝てる気がしない。
触れてはいけないナニカではないかとさえ思えた。
「恐ろしい奴だ…」
エライネは恐怖を頭から追い出すと、マウテアを救護室で寝かせるよう指示を出す。未だこの衝撃から立ち直れない団員たちに発破をかけるのであった。
「うーん…。はっ!!」
マウテアは目を覚ますと飛び起きた。そして周りにいた衛生兵に声をかける。
「しょ、勝負は? 勝負はどうなった!?」
「マウテアさんの負けですよ。腹を突き破られたそうじゃないですか。鎧は修理に出しましたよ?」
「そ、そんな馬鹿な! 認めない、私は認めないぞ!」
勝負の結果を受け入れることができず、わなわなと震える。
こんなはずではなかった、何故だ、と自問自答した。
「でも立会い人団長ですよね。破ったら団長の顔に泥を塗ることになりますよ? それと伝言です」
「な、なんだ!?」
「あの2人にはもう関わるな。だそうです」
その一言に絶望し、マウテアはフラフラと救護室を出て行くのだった。
その後、マウテアは真昼間から1人ヤケ酒を飲んでいた。それは酷い有様で皆の視線が注がれている。それもそのはずで、しつこく女性に付きまとい、男との決闘に負けてフラれた男として既に噂になっていたのである。
ここまで早く噂が広まった原因はエルザであった。決闘の話を面白おかしくギルドや酒場で話すと、マウテアの知名度のおかげで瞬く間に広まったのである。
チラチラ飛んでくる視線に悪態をつき、憐れみと侮蔑に満ちた視線にイライラを募らせていた。
「荒れてますねぇ…」
そこへ1人の男が話しかけて来た。見るからに怪しく、黒のローブで顔を隠している。
「んダゴラ!」
相変わらずの悪態をつくが、男はほくそ笑んだまま話を持ちかける。
「ふふっ。力が欲しくありませんか…? 私達に協力するならば、素晴らしい力を授けましょう」
「…それがあれば勝てるのか?」
「それは、あなた次第ですよ…」
そしてこの後、瞬達とは最悪の形で再会することとなる。
今回はどちらかというと幕間ですね。
ただの伏線ですw
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