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ゴ(キ)ブリン退治3〜悪い知らせ〜

一行はようやく村の入り口まで辿り着いた。

村は高い柵で囲われており、入り口からは見張り台も見える。入り口は門になっており、昼間だが閉まっていた。外敵は夜行性のゴブリンだけではなく、昼間でもモンスターが来ることはあるのだ。


門の入り口の側には呼び出し用の木槌と叩くための板が吊るしてあった。マルクスは木槌を手に取り板を叩くと軽快に叩く音が響く。


「誰だ!」

門の中から声がした。

「ゴブリン退治の依頼を受け冒険者ギルドから来ました」

マルクスが大きな声で答えるとゆっくりと門が開く。

「ギルド証を確認させてもらおう」

ムキムキなおっさんが出てきてギルド証の提示を求めてくる。おっさんの後ろには若い男衆が槍を持って待機している。おっさんがギルド証を確認すると眉をひそめる。

「第6等級か…。新米じゃねーか。大丈夫なんだろうな」

「…心配ない。いざとなったら私がやるから」

エアリアがギルド証を見せるとおっさんが驚きの声をあげた。

「だ、第1等級だとぉ!? いや、失礼しました。ゴブリン退治にまさかこんな」

驚いたおっさんは態度を急変させる。無理もない。普通ゴブリン退治くらいで超一流である第1等級が来てくれることなどないのだから。

おっさんは恭しく頭を下げ、先触れを出した後村の中へと招き入れた。


おっさんに招かれ、村長の家まで案内される。家の中は昔の日本家屋のように囲炉裏があるが、今の時期だと必要は無い。床に座れるよう座布団まであった。瞬は「ほー」と声を出して興味深く見回している。

一行は玄関で靴を脱ぎ居間にあがった。既に座布団が並べられており、奥の方で年配の男性を中心に3人の男が座って待っていた。マルクスがその年配の前に座り、エアリアと瞬は端に座る。

「ようこそおいでくださった。ワシが村長のジョセフですじゃ」

真ん中にいた村長が頭を下げると横の2人も追随するように頭を下げた。

「勇士の紋章リーダーのマルクスです。我々が来たからにはゴブリンは必ず殲滅させましょう」

「うむ。奴らは廃墟になった村を根城にしておる。その廃村の中央には大きい家が1件あるがそこは地下もある。見逃すとまた湧いてくるからな。しっかり頼むぞ」

村長が一行を睨むように見回し、説明が始まる。

「それと、冒険者ギルドに報告した新種のゴブリンですが、奴は短い時間ですが空を飛びます。素早いのでお気をつけください。それと実は…」

横の青年がもの凄く言いにくそうにしている。

「なんでしょう? 知っている内容は漏らさずお願いします」

「…実は5日前に襲撃がありまして、ええ例の新種なんですけどね?」

マルクスも嫌な予感しかしなかったが、聞かないわけにはいかなかった。自分達の手に負えない上位種がいるのではないかと思ったからだ。そして嫌な予感とは往々にして当たるものである。

「村の娘が4人も攫われてしもうた。しかも1人は恩恵ギフト持ちなのじゃ。それも生まれついてのな…」

「ちょっと待てよ! それ、洒落になんねぇぞ! で、その子の恩恵はなんだ?」

バークの顔に焦りの色が見える。

「…癒しの祝福じゃ」

村長が言いにくそうに口を開く。

「よりによって祝福系か! まずいな、下手をすればキングがいてもおかしくない!」

バークが頭を抱える。他の者たちも顔色が良くない。

「え? どういうこと?」

「…祝福系の恩恵ギフトは他者に恩恵を与える。子を産むと資質の高い子が産まれやすい。それはゴブリンであったとしても例外ではないの」

瞬の疑問にエアリアが答える。上位種がいると新米冒険者ではまず歯が立たない。どうしたものかとエアリアは思案した。

「そうよ。ゴブリンにもメスはいるけど、人間を攫うのは上位種が産まれやすいから。そして祝福系の恩恵ギフト持ちの女性冒険者は必ず避妊魔法を処理されるか、貴族の妾になることを強要されるか、ね。男性なら婿に迎えられるけど」

その恩恵ギフトを持つ娘が村にいた、ということは教会に伝えていない、ということである。祝福系の恩恵ギフトを持つ者は教会への登録義務があり、保護されるのだ。

その説明を聞き、瞬は自分にも恩恵ギフトではないがスキルで『祝福の恩寵』持ってるけどそれは。等と考えるのだった。


しばしの沈黙の後、エアリアが口を開く。

「…ここは最悪を想定するべき。私も闘うことにする。シュンは上位種出てきたら手加減無しでお願い。聖光気セイクリッドオーラ使ってもいいから。みんなはとにかく生き残りを優先して戦うこと。特にロエルナとマーニャは絶対死守」

特にマーニャは恩恵ギフト持ちであるため、ゴブリンが連れて逃げていくことも考えられた。

「あの、教導はどうなるのでしょう」

「…数で圧倒的に負けてるはず。1人も欠けずに生き残れたらそれだけで高評価あげていい。終わった後にアドバイスもちゃんとする」

ロエルナが念の為確認すると、とにかく生き残れだった。数の脅威というのは、バカにならないのだ。

「厳しい戦いになりそうだな。村長。今日はここで泊めてもらい明日討伐でどうだろうか。我々もここに来るまで結構な戦闘を繰り返しているんだ」

実際エアリアは手を出さず、瞬も加減していたため勇士の紋章たちの体力はあまり残っていなかった。このまま行くのが自殺行為であることは皆も自覚している。オルクスの要望は当然のことだった。

「そういうことでしたらどうぞ泊まっていきなさい。食事も用意しましょう」

村長は快諾し、今日は村長宅に泊まることになった。



その日の夜のことだった。瞬は縁側で1人夜空の星を眺めていた。都会では見られない星の絨毯に釘付けになっていたのである。

「…シュン、まだ起きてる?」

そこへエアリアがやって来た。時刻にするとまだ夜9時頃で瞬の感覚だとまだ寝る時間ではない。しかし田舎の夜は早く、村には明かりを灯す魔道具は珍しいもので、夜の明かりは月明かりくらいである。

「僕のいたとこだとさ、こんなに星いっぱいの夜空ってなかなか見られないから」

地球でも山へ行けばそういう星空は見られるが、そのためだけに夜の山を登ることもそうあるものではない。だから空いっぱいの星の瞬きは珍しいものだった。

「…明日はかなり激しい戦いになると思う。囚われてる人達がいる以上みだりに家屋は壊せない」

「そうだね。そうなると何か手札を用意しないといけないか。何か新しい魔法作ってみるよ」

瞬には既に使うべき魔法のイメージができていた。自分の戦闘スタイルに合った魔法と情報収集に特化した魔法。求めたのはその2つ。

「…うん。頼りにしてる。おやすみなさい」

「うん、おやすみ」

エアリアが一足先に居間へと戻って行った。客室という洒落たものはないため、全員居間で雑魚寝である。


「…よし、いいのができた」

瞬は新たに作った2つの魔法に満足すると、夜空に向かって蹴伸びをし、居間へ戻って行った。

だいたい3000字くらいを目安に書いてます。でもたまに5000文字いくかもしんないw


特にストーリー上大した戦闘でないものやシーンは極力省いてます。

他にも結構省いてるとこあるんですよね。

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