「星降る夜に咲く大輪の花は暗闇を照らす」その4
なんやかんやあったけど取り敢えず皆との会話は終えた、個人個人の思想の成長には感銘を受けた。騎士団結成前は個々の主張が強かったのに今では環境も変わって各々やりたいことや好きなことをのんびりやらせてあげられるようになったんだね。
ハルカとの約束はちゃんと守れた、ユカリちゃんを幸せにすることも時期に叶うだろう。ハルカよりは劣るけど私も中々出来る女になったのかな?ハルカに胸を張ってがんばれたよと言える日が来るのかな、そんな想いに浸りながらユカリちゃんの家に行くとすぐに二階にあるユカリちゃんの部屋のベッドで寝かす。最後まで起きなかったな………よっぽど私といるのが幸せなのかな?
ユカリちゃんのことでニヤケが止まらない、結婚すると言ってもまだ遠いから暫くはいつも通りの生活するとして一番の問題は復讐ね。
寝かしつけると私はリビングに向かいソファーに腰を下ろした、今日一日はユカリちゃんを連れ回したから疲れちゃった。服は後で乾かすとして後はどうしようかな。
私は冷蔵を開けるも中に酒なんか入ってる訳無かった。ここはユカリちゃんの家であって私のではない、服も浴衣のままだしどうしようかな?
いっそ誰かの服パクって帰ろうかな?と最初は思ったけどよくよく考えると服のサイズが合わない、仕方なく私の家に帰って寝よう、ユカリちゃんとの夜はいつかまた来る、今度会う時はもしかしたら状況が変わるのかもしれない。
私は音を立てずに家を出ると浴衣だけど靴はそのままだから無理し無ければ足早に帰れると私は急ぎ足で帰ることにした、ごめんね、また今度ね。
☆★☆★ ユカリ
時刻は深夜二時、私の意識は唐突に戻り起き上がるとそこは既にお祭り会場なのではなく、自室だった、寝てしまったのかと思い部屋を後にするとそこは真っ暗闇だった。
私は喪失感に陥り落ち込んでしまいにその場に座り込んでしまった。折角のお祭りが私の寝落ちで終わってしまうなんて………綺麗な花火も皆の浴衣姿もおしまいと思うと凹んでしまう。大好きなゆいゆいも居ないし今日は二度寝しようとしょんぼりしながら自室に戻ろうとしたら二階からノアちゃんとばったり出会ってしまった。
立ち話も何なのでリビングでちょっとだけお話をすることにした。
「そう言えばユイさんは一緒じゃないんですね?」
すぐにソファーに腰を降ろした私はノアちゃんがダイニングで何かをしてる事に気付くももう持ってきてしまった。カップの中に入っていたのは熱くない丁度良いホットミルクだ。昼間はあんなに暑いのに夜は少し肌寒い、服もそのままだし話し終えたら早く着替えよう。
「うん、今日は帰ったみたい」
ゆいゆいの事だから睡眠を邪魔しないようにしてくれたんだと思うけどメールしてくれれば良かったのに。ノアちゃんからあの後の後日談を聞くと少し違和感が生じる。どうしてゆいゆいはメールで伝えずにわざわざ私をおぶってまで皆に会って伝えたんだろう?ゆいゆい自身機械音痴だとは思えないけど………
「ユイさんのことですから恐らく何か考えがあるのだと思いますがあの人の行動はよく分からない事が多いものですからね」
家族さえ分からないゆいゆいの行動、何となく思い当たる節があるけどゆいゆいに言ってもきっと教えてくれないだろうな。
ホットミルクを一口飲むとノアちゃんは何だか不安そうな表情を浮かべる。
「こんなこと言ってしまうのはユカリさんに失礼だと思うのですが……言ってしまっても大丈夫でしょうか?」
久し振りにノアちゃんの不安そうな表情に私は膝を進め、私は大丈夫だからと話して欲しいと頼むとノアちゃんは少し間を開けてからその重い口を開いた。
「ユイさん、私達の知らない間に何か企んでいたりしますか?」
その質問に私は答えられなかった、ゆいゆいは謎が多い女性だ、色んな事を話したり実はこんな性格で心に病を負ってるのは知っていても核心については何も知らない、だからと言って探りを入れても無理だ。
ゆいゆいは警戒心が高く寝てても少し物音しただけで起きてる“フリ”をするぐらい出来る女性だ。彼女の第六感も馬鹿に出来ない、前アリアンロッドさんから派遣されたゆいゆいの調査を何十人の偵察隊が全員皆殺しにされて位置特定もお手の物だと嘲笑ったという。
そんな人を探るなんて無理だ、それにそんな疑心暗鬼にゆいゆいを疑うなんて私に出来ない。
「う〜ん、私も分からないかも………案外家族に会いたいだけじゃないかな?」
敢えて出した言葉にノアちゃんは気難しい表情だ。
「っ………ユカリさんが言うなら信じますが……もし何かあったら教えて下さい」
いつの間にかゆいゆいに対しての不信感が出来てしまった、紛らわしいことばっかりするゆいゆいが悪いけど皆きっと不信感はあるのかな、今度ひっそり聞いてみてもいいかも。
私は出来るだけゆいゆいの事を悪い人だと思わせないように伝えるとその日はノアちゃんは頷いてくれた。ゆいゆい、お願いだからこれ以上変なこと起こさないで………皆ゆいゆいの事不審に思われてるよ。




