「星降る夜に咲く大輪の花は暗闇を照らす」その2
☆★☆★ ユイ
暗い星空の中に咲き誇る花が光を照らす、暗翳が世界を包む中で放たれる閃光は爆裂音と共にやってくる。初めて見る光景を共有出来たユカリちゃんのあの笑顔はこの世秘宝よりもずっと価値があると思う。
私は疲労の末寝てしまったお嫁さんを抱き抱えて屋台方面に下ると家族にひと声かけて帰ることにする。家族全員分断して花火を楽しんでいるだろうから先ずは先程見掛けたノアちゃんの方へ歩く。
確か型抜きしてる最中から反対方向で見かけたから恐らく私達とは逆向きに回っていると思うから道なりに辿ると縁日の為に設けられたベンチでローグちゃんと一緒に和気藹々に楽しんでいるのかな?
「ノアちゃん」
雰囲気とかそういうの読むの苦手だから花火に見惚れている時に声を掛けることにした。相変わらず挙動不審のノアちゃんと耳だけ傾けるローグちゃんの。
「ひゃう!な、なんですか!?」
もう何度も会ってるのにたじろぐノアちゃんに心を落ち着かせると私は要件を伝えた。本当はローグちゃんと結婚する予定だったけど先約が入ってしまった為諦めざるを得ないか………それでも好きだから結婚しても毎日声を掛けるけどね。
「それじゃお姉さんは行くね♪」
言葉を伝えたし次に行こうとしたらノアちゃんに呼び止められてしまった。
「ん?」
足を止めて振り向くとあうあうと言葉を探している。
「えっと………ユカリさんとその………結婚するんですか?」
必死に考えて絞り出した言葉に私は歩き出しながら軽く頷いた。
「お、応援してます!私は良い選択だと思ってますから!」
ノアちゃんは言い終える頃に私は立ち去ることにした、元々ノアちゃんに期待なんかしてないけど出会った頃よりも考え方が柔軟になったみたい。これからもユカリちゃんと仲良くして欲しいな。
☆★☆★
「きゃっ!?アンタいつの間に!?」
まるで化け物を見るような目で見ないで欲しいな〜都合良くサナエちゃんペアとプレアちゃんペアが固まってくれて大助かりね、手間が省けたから良し。私は要件を伝えるとサナエちゃんは訝しげな表情でこう言った。
「まぁ………二人がそうしたいなら否定しないけどやっぱりあれよね、間近で同性恋愛を見るとなんか変な気分ね」
「そー?アタシは結婚前提の時点でスゴーも思うけどな」
「確かにサナエちゃんの思うことは分からない訳じゃないよね、それでも僕的には同性愛は否定したくないな」
「今の御時世は多様性が大事だからな、好きな奴を好きになればいいんじゃねーか?」
サナエちゃんはあまり良くない反応を見せるが他の人達は肯定してくれるみたい。
「いや、別に私は否定はしないわ、私だって好きな奴を好きになればいいと思うしだからってアンタ達を毛嫌いしないわ」
「でもサナエちゃん的にはバイロマンティックの方が良いんでしょ?」
私は言葉を向けるとサナエちゃんは正直に頷く、やっぱり皆が皆同じ意見じゃないことは分かってる、それでも私は好きになったこの子を最後まで愛して見せる、それは多分サナエは判ってくれると思いたい。
「でも私がそこに水を差すのは違うからアンタ達の結婚に異議はないわ、その代わりちゃんとしなさいよ?」
恋愛に純粋無垢で唯一サナエちゃんは皆とは考え方のベクトルが違うから話してて面白い女の子だと思う、多分家族の中で一番人間臭い娘かな。
「ありがとう、でも皆の愛は変わらないからね♪」
「知ってるわよ、アンタのガキに対しての愛は気持ち悪いくらい伝わってるからね」
サナエの苦言は褒め言葉として受け取ることにして私はその場を離れて最後のペアを探すことした。




