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幻影道 第五巻    作者: SAKI
65/72

「サマータイムメモリーズ・夏祭り編」その8

「それって超最新のハードじゃねぇか!?」


 事の経緯を説明するとユーゴ君は踏ん反り返る程驚いていた、何やらこの機械は起動させると昔のゲームから最近のゲームをお金を支払うだけで遊べるようになる優れものらしい。テレビに繋げると更に遊べる種類が増えて一台何十万もするらしい。今の取引価格は二十五万円すると言っていた。だから皆驚いていたんだ、確かに納得だ。


「ん〜でも私ゲームやらないし、ユカリちゃんもやらないよね?」


 だが悲しいことに私達はゲームに関心が無く宝の持ち腐れ状態となっている。


「それならサナエちゃんにあげようかな?」


 シェアハウスだから誰かやるだろうと決めた私達は後で渡そうと戦士用スマホを起動してアイテムBOXの中に入れた。


「あっ、そう言えば私の勝ちだよね?」


 スマホを懐に隠すとゆいゆいは勝負について思い出す、今の所負けだけど金魚すくいと射的は勝ったは―――


「ユカリちゃんはズルしたから得点ゼロで私の勝ちだよね?」


 は??


「何でそうなるの?」


 私は一度もズルなんかしていないし何なら射的は私の圧勝だった筈!!不正行為は目を瞑る訳ないから反論する。


「金魚すくいはユカリちゃんだけ破れにくいポイを使ったよね?射的は私を困惑させようとしたからズルだもん!」


 何という思い込みの激しさに私は憤った。


「金魚すくいはゆいゆいが下手なだけでしょ?射的もゆいゆいの下手くそだったから仕方なく・・・」


「違うもん!!ユカリちゃんが私を陥れようとしたから酷い結果になったんだもん!!」


「そんなの言い掛かりだよ!負けは認めるけど完敗じゃないよ!!」


「絶対違うもん!!ユカリちゃんは狡猾でズルいから私にズルしたんだもん!!」


 知能の低い喧嘩に押し問答を繰り返されていく、どうしても負けを認めたくないらしい。でも私だって惜敗だと言い張りたいから言い争う、物凄く醜くどちらか折れないといつまでも終わらない。


 その上涙目になるゆいゆいに私の良心が痛む、でも負けじと反論するもどんどん泣きそうになるからついに心が折れてしまった。可愛らしいお嫁さんを泣かせてしまうのは間違いでは?こんな所さえ可愛く思えてしまう私は今折れないと亀裂が入ってしまうのでは?と感じるようになってしまった。


「うぅ……分かったよ……私の完敗だよ、これでいい?」


 私自身折れてしまうと圧倒的不快感を感じながらも不正を頷くとゆいゆいはぱぁっと笑顔になる。だけど憎たらしいとは思えず天使のような笑顔が見れると不愉快な心も淀んでしまう。


「えへへ〜♪」


 本当なら怒りたいけど我慢しよう、ゆいゆいの笑顔を見るとつい自分自身を宥めてしまうんだ。笑顔を守れたから結果オーライと。どこまでもゆいゆいに甘い私を誰か殴って目を覚まさせて欲しい。


「よ〜しそれならもうすぐ花火が打ち上がるからサナエちゃんから教えてもらった絶景スポットに行こう♪」


 私の傷んだ心になんか目もくれずに今度は花火を見に行こうと私の手を引っ張る、私よりも元気にはしゃぐから少し休憩したいけどそんなこと許されないよね。


 仕方なく引っ張られる手に足早に私は走るゆいゆいの後を追いつく羽目となった、普段なら見られない姿に驚きといつも以上に子供っぽいゆいゆいに私は少し疲れてしまった、我慢し過ぎも良くないのかな?と感じつつも胸の痛みは治まることはなかった。

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