「サマータイムメモリーズ・夏祭り編」その3
人気を避けて薄暗い道を駆け抜ける、確か付近に休憩スペースがあったはず!そこに駆け込むとゆいゆいは私から離れる。
「ど、どうしたの急に?」
自分の事を見ていないのか私の行動に疑問を言う、私は胸に手を当てるとゆいゆいは漸く状況を理解し―――――
「下着が見えてるけど脱げばバレないよね?」
この人の羞恥心はきっと狂ってるんだ、下着を脱ごうとするから咄嗟に手が出る。
「それでも駄目なの〜!!全くもう!」
私のお嫁さんに何か変な噂を立てられるのは私が嫌だ、私だけのお嫁さんだから誰にも渡したくない。その気持ちでゆいゆいにそのまま伝えてしまった。
「えっと、あはは〜ユカリちゃんは一途ね♪」
ちょっと煽りげある笑顔に鼻を触られると私の胸は熱くなると面白半分に付き合うゆいゆいの顔は少しずつ笑顔が消えていった。
「その・・・そんなに私の事が好きなの??海の日は私自身の告白だから変に真に受けなくても・・・」
「じ、冗談半分だったの!?」
私の言葉にゆいゆいは照れて頷いた、それでも本心は私の事を大好きだと言う。
「な、なんだ…………てっきり本気で恋してるのかと思っちゃったよ」
うぅ、今までゆいゆいのことを嫁だと思っていた私が恥ずかしい。
「で、でもね!!私だってちゃんとユカリちゃんの事大好きだよ!!ユカリちゃんがいなかったら私・・・こんなに変わることなかったから」
お姉ちゃんが亡くなってゆいゆいの心は風穴が出来たように何をしても無味乾燥で中はずっと虚空だった。私を向かい入れる時も本当はどうでも良かったらしい。
だが私といざ対面し、触れて、ゆいゆいの心は動いた。お姉ちゃんとは違う優しさや可愛らしさがあり世間知らずだからリアクションが随一面白かった。
そしてゆいゆいはこう思った、お姉ちゃんの代わりにはならなくとも私さえいればまたやり直せるんじゃないかと。それはかつて夢を見た二人の夢、それが今現実になって今を過ごして居るんだと。
「ユカリちゃんは分からないと思うけど、私の愛はユカリちゃんが思う愛より重くて硬いハート、きっとユカリちゃんの生半可の愛なんかよりもずっとずっと愛を注いでいるのよ?」
確かにゆいゆいは私の為に何でもやってくれた、衣食住の提供に正式に学校を入学するための資金もバイトも何もかも全てやってくれた。
だからこそ私は苛立つ、私のゆいゆいに対する想いは生半可なんかじゃない。私は皆に馬鹿にされても頑張ることが出来る、いつか絶対に皆に必要とされるようにつよくなるって、ゆいゆいの為なら“死んでもいい”って!私は上から目線のゆいゆいを押し倒して強く強く抱きしめた。
「ゆ、ユカリちゃん?」
突然の出来事に動揺するゆいゆいの心臓は高鳴り赤面する、私は身動きできないゆいゆいに顔を近付けると私の本気を悟ったのか目線を避けた。
「私は生半可の覚悟でゆいゆいを好きになってないの解った?」
私は脅迫まがいに言うとコクリとゆいゆいは頷いた。でもまだ駄目、ゆいゆいに分からせないとこの人は私の事を下に見るかもしれない。
初めてだけど私は手始めに毎回ゆいゆいにされるスキンシップを返すことにした。耳たぶを優しく甘噛するとゆいゆいはじたばたする。
「ゆ、ユカリちゃん!!今は駄目だよ!?」
知らない、続けて耳を舐めると心臓の音がバクバクする、誰も見てないからと黙らせて服を脱がそうとしたらギブアップと物凄い力によって引き剥がされてしまった。
「わ、分かった分かった充分に分かったから!!謝るから許して〜!」
スキンシップするのは好きなのにされるのは苦手みたい、ゆいゆいは降参すると最後に両手を掴み起き上がらせる。
「強引に触ってごめんね、でもゆいゆいが悪いんだよ?私の事馬鹿にするからさ」
「はい、誂って誠に申し訳ございませんでした」
今度こそ解ってくれたようで私は納得した、ゆいゆいは小声で私の事を何か言ってるような気がするけど取り敢えずこの後について考えることにした。




