「最凶天才殺し屋お姉さん」その3
「やっぱり実力が違いすぎるや」
いつの間にかお昼を過ぎて夕方、地球に戻り三人で公園に行くとベンチで私達は黄昏れる。これまで沢山ミッションを受けたり、家族と訓練や指導されて多少は知識は身についたと思ったけど戦闘はまだまだみたい。ゆいゆいとの年齢はそこまで大差ない筈なのに戦闘も知識も家事も全部ボロ負けしている。
最初はクローンだからかと思っていたけどそんなの私の思い上がりだ、戦闘用戦闘用クローンだから強いのは当たり前なんかじゃない、お姉ちゃんと共にして人間性と誰かを守る為の力が増して最強お姉ちゃんになったから強いんだ。
ゆいゆいから聞いた話だと元々全属性魔法は未完成のままだったらしい、戦闘用として無理矢理戦場赴き、改造され、モノとして生きてきたから何もかも中途半端な身体で放置されたから未完成のままだったと言っていた。
魔法は身勝手の力だけで練度は増えない、魔法は自分だけのモノ。それをどうこう扱おうが勝手だけど誰かの為に強くなり、自分の理想の為に技を磨き
上げて初めて“個性”を手に入れられる。
属性は似たり寄ったりだけど開花は十人十色、同じ属性でも必ず個性が出るからその練度によって見極めることすら出来ると初めて【戦士】としての誇りを担うことが叶うとゆいゆいは少し浮かない表情をしていた。
確かゆいゆいの新たに増えた属性は【闇】だったような………人生の経験において最後に開花させたのはお姉ちゃんが亡くなったその後らしい、復讐に燃え上がる消えることのない灯火は普通の闇魔法である炎は異様なまでに青く光る煉獄の炎、決して潰えることのない神火の怒りがゆいゆいにもたらした最後の力らしい。
そして今現在は更に能力が高まり今では世界初の異形にしてどの魔法派生に属さない【X魔法】を生み出した張本人であり能力を限界突破した時に生み出す【特性能力】を何個も持ち、【神魔法】すら持つ女性と昇華したらしい。
因みに神魔法とは一体何なのか聞いたけど難しすぎて理解出来なかったけど兎に角普通では有りえない魔法を使えるらしい。そこには禁忌魔法も入っているらしい?
「それにしても一体あの身体にどこにそんな身体能力が―――――冷たい!?」
二人でゆいゆいの強さを改めて実感して反省していると最後から首筋に冷たい缶ジュースを当てられ奇声を上げてしまった。
「まだまだ若いのに黄昏れる場合じゃないでしょ?お姉さん達はまだまだ強くなれるんだからさ!」
そう言って背後から私達を囲って抱きしめる、天真爛漫な笑顔に私達は毎回癒やされてしまう。
「それに戦争は夏祭りが終わるまでやらないから今のうちにユカリちゃん達を好き放題遊べるからそれまでお姉さんに付き添ってもらうからね〜♪」
肩を優しく叩くとさっきまで激しい行動をしていたのにまだ余力が残ってるのかと二人で怪しんでいるとやはり手を抜かれていたんだと気付くのに時間は掛からなかった。
「いつかユイお姉様が本気で戦ってくれるようになるかな?」
アスカちゃんの言葉に私は頷いた。
「私達が足掻き続けるならいつの日チャンスが到来するかもよ?」
その日は何時になるかは分からないけど私達が諦めず生きていれば最強お姉ちゃんを本気にさせることが出来るかもしれない、私達は目標を掲げて缶ジュースを飲み干す。
いつの間にか何処かへ行こうと手を振りながらゆいゆいは笑顔で名前を呼んでいる。
「行こうユカリちゃん」
「うん」
私は腰を上げアスカちゃんに手を伸ばすと頷きその手を掴み一緒にゆいゆいと遊ぶことにした。
今は全力で生きよう、そうすれば自ずとチャンスをは巡ってくるものだから今は目の前に起こる出来事を楽しもう。私はそう信じて大好きなお嫁さんの影を追った。




