「火薬と血」その4
先へ進むに連れ洞窟は広くなっていく、大きな広場へと辿り着くとそこには色んな鉱石が壁や地面に生えている、私達は魔力を感じ取れる人間ですがここは少し不気味です、辺りは少し薄暗く鉱夫の人達には視界不良にもなりそうですね。
「ユカリさん?」
私は確認の為にユカリさん達を見るとユカリさんがスカートのポケットから明るい魔石を腰に付けた。
「皆もこれ使って、足元危ないから」
そう言うとユカリさんから奇妙な色をした魔石を私とアヤさんに差し出した。
「これは、魔石光源?」
アヤさんが語るとユカリさんはコクリと頷いた、アヤさんによるとこれは光星にある宝具店に売っている代物でランタン代わりになるだけでなくアクセサリとしても機能する優れもの、但し値段はお高め。
「わぁ〜綺麗!」
見た目重視ではありますが確かに綺羅びやかな光源なのは間違いありません、色は種類によって違うのな三原色でした。ちょっと見にくいですがこれなら辺りを見渡せそうです。
「色んな所に道があるけどあっちに大きな道があるからそっちに行こうか」
敢えて散開せずユカリさんは固まって動こうと提案し私達もそれに従って動くことにしました、道中モンスターに出くわしましたがユカリさん一人で駆逐しました。
☆★☆★ 採掘場〜休憩地点
深く進むとそこにはテントが張られていましたが人の気配は感じません、それどころかその奥に何かを貪る咀嚼音すら聴こえます。音からして人ではないだが明かりを照らすと驚愕しました。
「んー??食事中に奇襲かい?」
なんとそこには人―――― っぽい何かが潜んでいた、頭部は割れて髪の毛は散乱し腕が異常に長くまるで蜘蛛です、しかもその人は肩から更に肩が伸びてて腕が四本ある。下半身はまるでドラゴンだ。ここから察するのは一つ、研究員達の人工物だ。なのに話し方オヤジ臭く、のっそりこちらに向かって全身してきている。
「き、気持ち悪い………」
見た目のビジュアルは最悪でユカリさんは露骨に嫌悪感を示しています、それには同意ですがこいつが食い殺していたのは間違いないので消えてもらうことにしましょう。
「ふん」
腰のホルダーから銃を取り出して放つと奴は壁に張り付き避けてしまった、中々の俊敏さですが直後ユカリさんの腕部にあるワイヤーを鞭のように扱いはたき落とされる。
「行きますよ!!」
私は双剣から杖に変形し特大魔法を放つ、嵐のような風は受けたものを傷つけて吹き飛ばす!
「んにゃあろう〜どいつもこいつも邪魔しやがって!」
だが受けは場所は直撃が彼はすぐに起き上がり口の中から何かを吐いた。
「きゃあ!!」
私とユカリさんは回避しましたがアヤさんは避けられずセーターから出た綺麗な太腿に直撃してしまった。
「アヤちゃん!!」
急いで駆け寄ると肉の焦げたような匂いと共に紫色に変色していた。
「あぅ………痛いわ」
アヤさんは膝から崩れ落ち動けなくなってしまった、激痛に耐えられずに苦しそうに汗が吹き出ている、あの真っ紫色からしえ恐らく猛毒、もたもたしてるとアヤさんが死んでしまいます、早急に片付けなければ!
「素早く終わらせましょう」
「うん!」
アヤさんの状態にユカリさんも察し武器を構える、そして先陣を切って走り出す。
「はあぁぁぁ!」
大きく振りかざした剣は長びた腕に弾かれ四本の腕でユカリさんを拘束する。離そうと藻掻くも見た目に反して力が強いのか抜け出せません。
「離して!!この!この!」
無理に振り払おうとしてもびくともしない敵に私は魔法を使って足元を吹き飛ばそうとしましたが回避された。そしてユカリさんの四肢を引き抜こうとしている。
「やめて!!痛い!!千切れちゃう!!」
激痛に叫ぶユカリさんに化物は容赦することなく引き裂こうとする力を増す。
「ならば!」
私の腰にあるホルスターの銃を取り出して懐から爆薬を投げてそれを銃で撃ち抜きユカリさんごと吹き飛ばすことに成功しました。
「あ、ありがとう」
煤けた服にユカリさんは直撃を避けたものの可愛いお腹から大量に血が流れて頭部にも大ダメージを与えてしまった。
「すみません、酷いことしてしまいました」
「ううん、あのまま千切れて殺されるくれたから死ななくて済んだよ」
私は一言謝罪するとユカリさんは優しく笑い返してくれました。敵は一筋縄では行かないと判断したユカリさんは呪いの力を解放する。
「うぐ………出血してるから自傷行為の手間が省けるよ」
血を流しながら最近ユカリさんが解ったことを解説してくれました、それは【呪血】の発動方法。それはとても簡単で傷口があるなら発動出来るとのこと、勿論普段で使うなら指や腕を刃物で裂かないといけませんが流血が多いこの世界では発動し放題らしいです。ですが一つ疑問が残るのだとすればユカリさんの喉仏に何かの印が焼き付いているように見えます。
あれが何を意味するのか謎ですが今は兎に角早く敵を倒すことに専念しましよう。
「行くよノアちゃん、援護お願い」
「承知しました」
アヤさんを助けるために私達は傷だらけになりながらも勇猛果敢に立ち向かう。




