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幻影道 第五巻    作者: SAKI
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「夏の終わりと新たな挑戦」その2

 私はDVDを見せつけながら言葉を発するとゆいゆいは苦渋の面を浮かべ歯ぎしりする。


「これを見て気付いたんだ、今のゆいゆいはこの主人公と類似してる。天才肌で“負け”という概念を知らず悔しさやくだらないプライドで認めず仲間を危険にまで曝して見限られたことを、それの轍を今ゆいゆいが行おうとしている!たとえ一人で勝手に言っても同じだよ、勝手に傷だらけで帰ってきて皆を危ない目にするよね?」


「そんなの私が無傷で帰ればいいでしょ」


「そんなのゆいゆい一人では無理だよ」


 私は物怖じせずたとえゆいゆいに押されて地面に突っ伏しても私は負けない。たとえ苦しくて胸が張り裂けそうになっても私はゆいゆいを罵倒し続ける!


 ゆいゆいは胸倉を掴むのを止めてベッドに押し倒された。


「ユカリちゃん、勝手に判断するの止めなさい。私だって完治した状態でなら負けない」


「ううん、ゆいゆいは負けるよ」


 私だから過度な暴力は振るわれないがそれでも耳を強く引っ張られ引き千切られる程痛い。


「っ………人は一度失敗すると脳内が記憶して同じ過ちを繰り返さないようにするけど身体があの時の恐怖をフラッシュバックさせて結果的に全部失敗する、その殻を破るには切っ掛けがないといけない。背中を押されたり怒られたりしないと人は前へ進めない生き物なんだよ!!ゆいゆいはきっとあの記憶がフラッシュバックしてまた負ける!格好良くて優しくて大好きなゆいゆいが惨めで負けるのを私は見たくないよ!!」


 私は沸々と湧き上がる怒りを放つとゆいゆいは私の思いが届いたのか暴力を振るわなかった。腕骨折か足を斬り落とされる覚悟はしていたがどれも当てはまらなかった。



「私は弱いからすぐ負けるし皆に馬鹿にされるけど私はそれさえも糧にして家族の弱点や癖、手段や距離を脳内に叩き込んでもまだ全然弱いよ。でも私は悔しくても負けを認める、だって認めないのは格好悪いし成長出来ないと思ってるから死ぬ気で頑張っても負ける私に対してゆいゆいは違うでしょ?相手の攻撃、投擲、射撃のポイントを把握して最低限の回避して疾風怒濤で敵を薙ぎ倒せる実力と頭脳と勇気がある、それなのに負けたのは“自分が負けることはない”と勝手に自負してるだけだよね?そんなんだから負けるんだよ!!」


 ごめんなさい、私は馬鹿だから感情的に怒ることしか出来ない。それでも分かって欲しい、ゆいゆいは誰よりも強くてお姉ちゃんの復讐の為にこんなに頑張って生き抜いて先鋭揃いの騎士団を作り上げたことを無にしないで欲しい、自分の行ってきた功績を無にしないで欲しい、私の最高のお嫁さんだと誇らして欲しい。ごめんなさいと心の中で呪詛のように唱える。


 私は泣けないのに振り絞って大好きなゆいゆいのことを沢山告げた、格好いい所や抜けてる所、いっぱいいっぱい言った。


 子供で無知で使えない私はこういうことしか出来ない、決して挫けて心に凝りがあってはならない。ゆいゆいは本当はもっと強い、だって最凶のお姉ちゃんなんだから!!


 私は完全燃焼に言葉を告げると私は目線を下に向けた、きっと怒られる、子供如きの私がゆいゆいの辛さを知っているはずがない。私は覚悟して目を瞑ると頭を撫でられたような感覚を感じる、目を開けるとそこにはいつもの大好きな彼女の姿があった。


「全くもぅ……私の為に醜態晒すなんてユカリちゃんぐらいよ?」


 包み込むような優しい雰囲気、愛らしい微笑みに私は胸の苦しい痛みが消えていった。

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