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幻影道 第五巻    作者: SAKI
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「刺客」その1

「ユカリちゃん、汚いけど許してね」


 不安であるユカリちゃんを廃工場の中行き、ロッカーに隠して歩くと風が変わらった、音が一切無くなり私は視界を広く見る。


 人影は一つ、それに恐らく何処か私を囲む気なのか数人以上の気配を感じる。女一人に寄ってたかって集まるなんて指示した奴はロクでもなさそうね。


「それで?さっさと出てきたら?」 

 

 私は虚空に呼び掛けると廃工場の外から武装した人間の影が見える。


「音も立てて無いのに尾けられていたことに気付くとは流石賞金百億の女だな」


 発言からして研究員からじゃない、金で雇われたか金に目が眩んだアホかどっちかね。


「百億ね〜女一人ににそんな価値無いと思うけど?」


「お前にはあるんだよ、生け捕りにすれば更に報酬が増えるってな!!」


 奴はマントで身を包んでいたから何が出るのか楽しみにしていたがただの拳銃だった。


 まぁ普通の弾丸が出る訳なく避けて確認するとそれは水銀の針だった。


「ひーひゃひゃひゃ逃げろ逃げろ!!」


 その拳銃は改造武器か、連射速度が異常だ。まるでニードルガンのようだ。勿論当たったらただでは済まされない、だが弾丸の軌道は安直で正確性が欠けている。


 いくら弾倉が多かろうがこっちは研究施設で一度に何千発を躱した私には当たらない。あの時の私は極限に集中して見切っていたけど今は極限に集中しなくても弾道予測と発射間隔、リロードする動きを見極めることが出来る、問題は背後にもいる気配か。


「おっと?」


 気配ばかりを気にしていて避けるのを忘れてしまった、水銀のニードルガンは私の腕を突き刺し神経を蝕んでいる。


「なっ!?」


 私は即座に腕を切り落として再生魔法を使い元に戻す。こんなイカれた治療法こっちでは無い技術だね。


「魔法を知らないなんて所詮は捨て駒ね」


 奴が私の行いに驚愕し集中が切れた所で一気に畳み掛ける、心が淀んだ弾丸はもう私に掠りもしない首元を突き刺そうとしたが背後から何かが私の項を直撃した。


「くくく、生け捕りなら報酬アップなんだろ?」


「おいおい卑怯だな!!ははは!」


 私は“ワザ”と膝をつき弱体化したと判断し背後に隠れていた二十人ぐらいの人物が全員私に目がけて拳銃を構える。


 強力な睡魔に全身が痺れるような感覚、吐き気と脳味噌が焼けるような激痛に流石の私でも少しキツイな。


「なーんて?」


 私は普通の人間じゃ出来ないやり方を沢山知っている、中には死ぬかもしれないが戦闘用の私には時には賭け事だってするのよ。

  

 光の剣を項に突刺し、既に腐敗した一部を切りと落とす、また再生させる。その光景に奴等は気味悪がっている。


「ふふ、雇われた兵士如きで私を殺すのは天変地異が来ない限り一生無理ね」


 私は姿勢を低くして突っ込むと奴等は動揺して構えることすら怠ってしまった。


「ふん」


 光の剣を作り横一文字に腕ごと斬り捨てる、背後から放たれた弾丸を盾にして更に突き進む。


「この女っ!?」


 踏み込むと斬る動作二怯む敵の背後には武器を構えた人間が多数、前はブラフで本命は後ろだと知らずにね。


 私は太腿から予めクナイが詰まった袋を三本取り出して背後に喉元を貫通させる。


「アンタ死ねよ」


 勿論目の前のやつも生かさない、もう片方の手で催涙スプレーを吹き掛けていたんだから。


 目の前の喉元軽く剣で切り落とすと即死した、多勢に無勢という言葉はあるけどそれは計画性があってこそ成立するものであり欠点を抱えてるのならばその計画は無意味よ。


 弾丸を最小限で回避し大胆に踏み込んで首を斬り落として問答無用に殺戮を繰り返していると廃工場の方からユカリちゃんの髪を掴み拳銃を構えていたゴミがやってきた。


「へっへへ、こいつは――――― 」

  

 刹那、私はそいつを殺していた言葉なんか発させない、私の宝物を汚い手で汚した罪はそう簡単に償えないよ?

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